決断の時
(このサブタイ前使ったよな?)って思ったら、決「別」の時でした。
今期はわたてんばかり見ています。ひなたちゃんは可愛いなぁ。
オレの問いかけに鎧の男は応えず、しばらくふらふらと歩き始めた。まるで酔っぱらっているかのような動きだ。それでも鎧の男の足は一歩ずつローパーに向かって進んでいる。
ローパーは触手をしゅるしゅると伸ばし、自身に近づいて来る者に向かって叩きつけようと上に向かって一直線に張った。
「危ねぇ!」
ローパーの触手が男の頭に襲い掛かる。シュっと空気の切る音が聞こえ、次に聞こえたのはその触手が何かに当たる音だ。
「よし」
そのまま男に当たると思われた触手の一本を、鎧の男はしっかりと掴んでいた。もちろんローパーの触手は一本だけではない。残りの触手は男は逃さず、上から執拗に叩きつけている。しかし、鎧のおかげだろうか。男は自分を狙う触手など歯牙にもかけず、掴んだ触手を手繰り寄せ、ローパーを自分の近くに引っ張っていた。
やがてローパーは攻撃を諦め、触手をひっこめた。それは男の掴んでいた触手も同様だ。男の手に握られたまま触手がひっこめられたことにより、鎧の男の体がローパーへ引き込まれていく。
「もらった」
男は引きこまれた時の勢いを利用し、そのままローパーの本体に抱き着いた。ローパーの体はゼリーのようにプルプルとしている。その体を男は次々と引きちぎっていった。
次第に広がっていくローパーの体。全てを引きちぎったあと、男はその場に転がるゼリー状の残骸を一つ一つ踏み潰した。
「…すげぇ」
圧倒している。怪我をしないように立ちまわっていたわけでもないのに。
そして男は一度こっちを見た後、再び茂みの方へ向き、ふらふらと歩いて行った。
「お、おい待てよ!」
オレは右足をひきずって男へ駆け寄り、その鎧を掴む。
「お前、竜だろ。今まで何してたんだよ」
「…」
男はプルプルと肩を震わせて、オレの質問にはやはり答えない。
「答えられない事情があるってことかもしれないけどな。一言くらい残してもらえないとこっちだって色々考えるんだよ」
「…」
男はだんまりを続けている。意地でも話さないつもりか。こうなったら、いつかのように体を押さえつけよう。そう思ってヘッドロックをしようと首に手をかけたその時だった。男は首に回したオレの腕を払い、そのまま足払いをしてオレの体を地面に倒すと、流れるように組伏せられた。
なにやらうめき声のような声が聞こえる。鎧の兜からだ。まるで何かをこらえているかのようだ。だんだんとその声が近づき、兜の中からぎょろりとした眼がオレを捉えていることに気が付いた。その眼は獲物を見つけたトカゲの眼に類似していた。
「ディスプさん!目閉じて!」
後方から聞こえたイオマの指示にとっさに従うと、次の瞬間空気が漏れるような音が聞こえた。それと同時に、男が苦しみもがく声も。
口に入った何かにむせつつも、オレを組伏せていた手が離されたことで立ち上がることができた。その場にふらついていると、今度はグイっと腕を引っ張られた。驚いて目を開けると、腕を掴んだのはイオマだった。そして、目の前では毒ガス玉によるガスが広がっている。先ほど投げたのは例の毒ガス球だということか。
「ガスがなくなり次第、とどめを刺しましょう」
「でも、あいつは」
「竜さんに似ているって言うんでしょう。でも、さっきの見ましたよね。確実にあいつはこっちを殺そうとしている。僕たちがあいつを取り逃がしたことで、誰かが死ぬかもしれないんですよ!」
確かにそうだ。
さっきオレが組伏せられた時、あいつはきっとオレを殺すつもりだったんだろう。今のあいつは恐らく人間に危害を加える存在だ。分かっている、分かってはいるつもりだ。
だが、覚悟が足りない。情けない話だが、今のオレはあいつを倒したくないって思っている。話し合えば、また一緒にいられれば、元に戻るんじゃないかと考えている。また、守護隊の仲間に。
ガスは消えた。決断の時だ。
──オレは、どうする?




