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死んだと思ったら魔界で生まれ変わった  作者: 鳥羽こたつ
第二章
30/146

新入隊員

残業時間が40時間行きました。悲しいかな。

プロローグを入れると今回で30話、次で本編がとうとう30話です!これからもよろしくお願いいたします!

遺跡との戦いから2週間がたった。あれからも魔族と戦う日々が続いている。

相変わらず囚人用の腕輪を付けられているが、着実に守護隊のメンバーとのきずなは深められている。…気がする。その証拠にあまり俺の素性について聞かれることがなくなった。

ディスプさんも手の怪我がだいぶ良くなり、今では俺たちと一緒に戦いに参加している。

守護隊の戦闘員は意外と多く、色々な組み合わせで戦いへと赴いた。いかにも力がありそうな斧を持つお兄さんや、猫のような身軽な身のこなしをするお姉さんなど、十人十色というのはこういうことなのかと思った。

だが、やはり最初のメンバーとディスプさんの5人が一番戦いやすい。

キードさんの雑だが正確なサポート、隊長のぶっきらぼうな後衛、そしてリモコさんとディスプさんの突撃。俺はその中間に入り、隙を見てとどめを刺す係だ。この構成が中々効率よく戦えていて、多くの戦いをこの組み合わせで乗り越えてきた。

しかし、あれから少しだけ俺も変わった。


「何だ。今日もそれか」

「あ、ディスプさん」


全くものを食べなくなった。いや、何を食べても満足できなくなった。

味覚がなくなったわけではない。だがどんな味付けで食べても自分の好みのものを食べられていないのだ。何というか、常に何か食べたいと思っている割に何を食べてもおいしいと思えなくなった。

そんなこともあって、最近は栄養食のゼリーが俺の主食だ。それで腹が膨れるはずもなく、常に腹が減っている状況でもある。


「いや、なんか最近これしか食べれなくて」

「そんなんで腹が膨れるのか?って、これ前も聞いたよな」

「確かに腹は減ってますけど。どうせ食べれないなら作ってもらわない方がいいかなって」

「そういうものじゃないだろ。いくらお前が」


そこまで言うとディスプさんは食堂の周りを見渡し、近くに人がいないことを確認してからテーブルにトレーを置いて俺の顔に近づいて囁くように話しかける。


「いくらお前が普通の人間じゃないからって、体はオレ達と同じものなんだろ。ちゃんと食わないと体壊すぞ」

「気持ちはありがたいんですが、どうしても食べられないんです」

「そうかよ。仕方ねえ、本当は無理やりにでも食わせたいけどな」


足手まといになるなよ。と言ってディスプさんは俺の迎えに座ろうとした。しかし、そのタイミングを見計らったかのように聞きなれた警報音が鳴る。続いて聞こえる呼び出しの名前には俺たちの名前が含まれていた。


「行きましょう」

「あぁ」


ディスプさんはトレーのパンをトマトスープで喉に押し込むと、俺よりも早くエレベータに向かって駆け出す。結果遅れる形で俺はエレベータに乗り込んだ。



入口には既にキードさんが車を用意していた。しかし、いつものような軽自動車ではない。大人数で乗ることができそうな大型車だ。車内には既にキードさんと隊長が運転席と助手席に、そして後ろにリモコさんとシュっとした顔の比較的美形な男が座っていた。


「おせぇよ。お前ら、今度おれの部屋掃除な」

「あ、じゃあ自分の部屋もお願い」

「え、あ、私は大丈夫ですから」

「すみません。あの、ところでこの人は」


そう言うと美形男は満点の笑顔をこっちに向けた。まるでキラリという音が出そうなくらい眩しい顔だ。逆に腹立たしい。


「初めまして、ですよね。僕はイオマ・アースリヤ。元々研究員だったんですが、つい先日こちらの方の配属となりました」


よろしくお願いいたします。そう言って彼はグローブをした手を差し出す。俺が言えることではないが、こういうときは手袋を外すべきなのではないだろうか。

俺はガントレットを付けたまま握り返すが、ディスプさんは付けていた手袋を外してズボンで手汗を拭いてから握り返した。こういうところに人の性格というところが出るのだろう。


「イオマはしばらくおれの監視下で見ることとなった。で、しばらく経験を積ませるためにこのチームは固定で行動することにした」

「そのためにわざわざ大型車の練習させられる身にもなってくださいよ。つーか、大型運転できる人なら他にいますよね」

「どうせお前暇だろ。それより早く発進しろよ」

「はぁ。わっかりました」


しぶしぶとエンジンをかけ、がたがたと車体を揺らしながら6人乗りの車は発進する。

俺とディスプさんはこの車の一番後ろの席に座っている。前の様子を見ると、イオマさんとリモコさんが何か談笑をしていた。


「なぁ」


ディスプさんが食堂の時と同じように小声で話しかけてくる。


「何ですか?」

「あの二人なんだけどさ。何かいい雰囲気じゃないか」

「ゔぇ?」


そう言われてから改めて2人の方を見ると、確かに楽しそうに話していていい雰囲気だ。

何だかうらやましい。そう思っていると助手席の隊長が怖い顔でイオマさんを睨んでいた。


「おい新入り。言っておくがな。リコに色目なんて使うんじゃねぇぞ」

「えっ。すみません。そんなつもりではなかったんですが」


困惑した表情を浮かべるイオマさんをミラー越しに見たのか、キードさんは小さく笑っていた。


「気にしなくていいよ。隊長ってリモコのこと娘みたいに思っているからさ。親バカなんだよ」

「てめ、キド!適当なこと言ってんじゃねぇ!ぶっ殺すぞ!」

「隊長!?やめてください!拳銃はダメです!」


隊長は懐から拳銃を取り出してキードさんに突きつけた。トリガーに指をかけようとするのを、リモコさんはそれを必死に止めようとあることないこと言葉を並べて隊長をなだめている。車は右へ左へ揺れ、目的地に着くころには全員が車酔いをしていた。

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