第7話 アシュラム伝説
アシュラム伝説についての話になります。ルキナの過去も…!
この街に来て2日目。
昨日はこの街の観光に徹していたわけだが、今日は俺の記憶を取り戻す手がかりを探す事にした。
「しょうがねぇな。コイツは貸しだぜ、ルキナ。今度奢れよ。」
て事で、頼んでもないのにダイルも付いて来ることになった。
しかし、記憶の手がかり探しと言っても、思い当たる節もなく結局昨日の観光とほぼ変わらない状況である。
そして、「図書館で本読んでたら、何か思い出すだろう。」
とあくびまじりのダイルの安易な考えのもと
ルキナ達はこの街で一番大きな図書館に来ていた。
「おい、何か見つかったか?」
「いや、まだ何も。」
本棚を前に2時間以上もにらめっこ状態だ。
ふと、あるタイトルの本に目が吸い寄せられる。
『アシュラム伝説と輝石』
本を取ってページをめくる。
これは3000年前のこの世界に伝わる聖戦の伝説である…
その昔、人々は聖地アシュラムを求めて2つに分裂し、戦いを繰り広げていた。
戦いは何年も、何十年も何百年も続いた。
戦いが続き、野は荒れ果て、死者は増え続けそれでも戦いは続いた。
そんな時、初代アビスソルジャーであり、その絶対な力を持つ1人の英雄、ルキナが彼の持つ七色に輝く宝珠の埋め込まれた『降魔の剣』を使い戦いを収めた。
何百年にも渡る聖戦が1人の英雄によって終わりを告げたのだった。
そして、彼は二度と争いが起こらないように聖地アシュラムを奈落に沈めた。
そして、役目を終えた『降魔の剣』も悪用されぬよう七色の宝珠を7つに分け、この世界のあらゆる場所に散りばめた。
剣は奈落の王に渡したのだった。
また、彼は、初代アビスソルジャーであり、初めて奈落の存在を知り、初めて奈落の王と契約した者であった。
現在のアビスソルジャーの契約の際、自分が最も大切にするモノと引き換えにアビスソルジャーの力を得るという儀式は、ルキナによって、アビスソルジャーの強大な力を悪用されないために作られたと言われている。
ルキナは、一通りページに目を通し、次のページを開いた。
そこには、かつて英雄ルキナが使ったという『降魔の剣』に埋め込まれていたという七色の宝珠が7つに分けられた石、“輝石”のイラストが載っていた。
それぞれの7つの石が鮮明に描かれていた。
“輝石”は、一つだけでも、強大な力を持ち、アビスソルジャーであったとしても、その力は扱う事は出来ない。
この石は、人間の理を超えたモノなのだ。
と石の危険性が克明に記述されていた。
それぞれの輝石の説明に目を通す。
赤の輝石
紅蓮の炎の力を持ち、その力は大地を焦がし、あらゆる場所を灼熱の地獄と化す。
青の輝石
全てを飲み込む大海の力を持ち、大国を一夜にして潰す。
黄の輝石
大地を震わし、何者にも揺るがない大地の力を持ち、あらゆるモノを防ぐ堅守を持つ。最強の盾。
緑の輝石
大気を操り、天を動かす。あらゆるものを切り裂く風の力を持つ。最強の矛。
紫の輝石
全てを撃ち落とす雷の力を持つ。神速を持つその力は、捕らえる事すら出来ない。
白の輝石
世をあまねく照らす、希望の光の力。聖なる力は退魔の力を持つ。
黒の輝石
全てを暗闇へと導き、包み込む闇の力。その力は誤って使われれば、世界を終焉へと導くであろう。奈落に最も近い力。
ルキナは輝石の説明を読み終えた。ふと、緑の輝石に神経がいく。
「こっ…これって!?」
「どうした?ルキナ。何か分かったか?」
ダイルはルキナが見ている本を覗き込む。
「何だ?アシュラム伝説の本じゃねぇか?まさかお前、俺にルキナって名付けられたから、その気になってんのか?可愛いなお前。」
ダイルがニヤニヤとした顔でこっちを見る。
「そんな事じゃねぇ。これ見てくれよ。この石と一緒じゃないか!?」
ルキナはポケットから例の緑の石を取り出し、本に載っている緑の輝石と照らし合わせる。
「おい、お前またか…!!もしそれが本当だとしたら、早くその石を隠せ!命を狙われるぞ。」
ダイルが血相を変えて石をルキナのポケットに急いで隠す。
「お前が砂漠でサンドワームと戦った時に、その石光っただろう?そしたらサンドワームが真っ二つになっていた。間違いなくそれは、“輝石”だろう。でも何でお前が“輝石”を…??」
「分からない。何も思い出せない。」
「まぁ、記憶が無いから仕方無いだろう。しかし、その“輝石”を持っているって事は、それを悪用しようと考えてる奴だってごまんと居るわけだ。お前、知られたら命を狙われる。気をつけろよ。」
「ああ。」
正直、アシュラム伝説の強大な力を持つ“輝石”を自分が持っているなんて、信じられない。
ルキナは、過去への手がかりを一つ手に入れたのだった。




