第85話 終戦と大将軍
帝国は陥落した。あくまでも地表の住宅街区の民間人と軍が全滅しただけであり地下にもまだ帝国住民がいるらしい。
しかし軍という抵抗手段を失った今となっては、その地下に避難している民間人や貴族そして皇帝に成す術はないのだ。
王たる【最古の七閥王】より殲滅命令を受けた約2000柱の悪魔達は一通りのヴァイシアの情報を圧縮した圧縮情報を思念伝達にて聞かされたがかなりの好待遇だったらしい。
そもそもヴァイシアより事前払いとして支払われた褒賞は、人間と人造種なる不死の魔物の死体であった。
人造種は希有能力「不死性Lv1」というスキルがありその名の通り死に対する抵抗力が増加するスキルである。
この「不死性」だけでも凄まじいが更に希少剣と1体につき100もの死体と魂を受け取った。その為、彼等は王たる彼女等への忠誠心は勿論のことヴァイシアの事を忠誠というよりは神として崇める信仰対象とした。
そして献上品として倒した人間の死体を送る事を王たる5柱は決めたらしくここまでの報酬を得た彼等も王の拒否権なき命令にしても本人達は進んで命を刈り取っていく。
彼等は知らないが、この後ヴァイシアの暴走によりとんでもない破格の報酬を受け全員の忠誠が更に高ぶる事となるのだが…。それはまた別のお話である。
そして戦いも大詰めという所で、破格のエネルギーが天と地を割った。
ヴァイシアの更新した最高火力技である暴荒怒斬爆の爆発的エネルギーである。
一兆近いMPの半分と七つの究極能力を付与し神器武器にて出力した一撃は天の大気を軽く両断していた。
幸いな事にチエによる魔法によって修復自体はされてはいたがその際に大気と地下では別の現象が起き今後数十年で少なくともこの大陸の魔物の質が向上する事となる。
天は割れた後に修復されたが、それでも一瞬割れた為に莫大な魔力が浸透し拡散された。結果、雲に魔力が混じり雨となって地表に振り注ぎ新系統の魔物である。樹木種が誕生する結果となった。
更に樹木種誕生により地下に蓄え留められていた魔力が一気に解放され脈の様に流れ出し結果的に魔物が活性化した後に魔脈と呼ばれるそれは結果としてとてつもない規模の生態系変化を起こすこととなる。
少なくとも今この瞬間に何かが起こる訳ではないが今後この大陸は二番目の魔境として恐れられる事となる。
(…何が…あったん?)着いてから思ったのはその一言である。
私は、本軍を率いて援軍として悪魔達に陥落させる様に命じたが…まさかもう既に終わっているとは思わなかった。
まさか2000で帝国を殲滅させるとは思わなかった。そういえば…私基準で考えていたがこの目の前に跪く五柱は【最古の七閥王】だったし断然強い存在だったわ。
少なくともSランク(存在値100万〜1000万)それも中位となると500万?は存在値があるんだったね。しかもそこに技量も乗る分凄まじい強さだ。
少なくとも今の軍団長クラスだと相手にはなるだろうけど勝てなさそう(名前与える予定だし、肉体も個人個人ドワーフと協力してつくるつもりだし…。)まぁそれはそれかな。
茨木童子とトリュフ、ヴァイアは流石にドン引いているが、ギメルは平静である。変な所で胆力があるんだよねぇコイツ。
さて、ゴホン
「思っていた以上の戦果…流石は悪魔族の頂点クラスとそれを支えてきた臣下。」
ヴァイシアの一言に2000の配下は大歓喜、しかし遮る事はせず静かに噛み締める。
「正直に言えば貴女達の言葉を信じきってはおらず本軍を率いて援軍として駆けたが全員満身創痍であまり力は出せなかっただろうし、助かりました。
さて、報酬の件ですが…どうしましょうか?」
本軍としてやって来たのは【蒼竜軍団】と【緑鬼軍団】である。
ヴァイシアは元気そうだからと連れて来たものの、今見るとかなり全員が満身創痍であり最悪被害が出る可能性がありかなり本気で助かったのである。
その為、がっつり報酬を用意する予定である。
「勿体ないお言葉、恐縮です。今後とも我々は貴女様にお仕えしても宜しいのでしょうか。」
ヴァイシアの言葉を噛み締めつつも不安そうに仕える許可を待つ白と四柱の王達。
「私に仕えたいと?」
ヴァイシアが聞き返す。予想外にも彼女等は自身に仕えたいと言い出したのだ。報酬を考えている最中であった事とどんな要求を受けるかビビっていた分、内心ではかなり驚いている。
「召喚直後も申し上げました通り我々一同、貴女様のお役に立つことが喜びです。
報酬は必要ありません。ですから、どうか。」
深々と頭を下げる白に続き他四柱も頭を下げる。
ヴァイシアは稀にいる体質である悪魔に好かれる体質のようだ。
本人も元々配下にしたいとは考えていたが、悪魔は位が高い程にそれだけ高い報酬を支払わねばならないその為最高位たる【最古の七閥王】である彼女等を配下にするのは無理かも知れないと思い始めていたのだ。
それが本人達からの希望で配下に加わることを志願された為内心では大喜びである。
しかも報酬は必要ないと事らしい。変わっていると言えば変わっている悪魔だ。
「貴女達が良いなら歓迎する、が報酬は必要だから…取り敢えず帰るか。」
やはり助かった節もあるので報酬は必要だろう。肉体と名前、あとスキルでも造って渡そうかな?とヴァイシアは考えていたがこの3点セットにより遠くない未来では【赫蝕軍団】という最強軍団が誕生する事となるのだった。
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人間の国家を2か国潰し大多数の人間を刈り尽くした翌日。
魔王アリシアの本拠点である世界樹の下の根の幹。
アリシアとラリアナさんが所用を終わらせて戻って来たのでそのままアリシアの我儘により私は褒美を貰う事となった。
要は、"昇格式"である。
完全に戦争が集結したのでゆっくりめにやる予定ではあるのだが【最悪王】の二つ名を持つ魔王サタンの訪問が一ヶ月後にあるらしいので、あまりゆっくり出来なさそうである。
世界樹の下の幹のくぼみには幹部四名と軍団長、兵士によって埋め尽くされていた。
何より人間の領土が全てアリシアの管轄下に入ったので領土運営や種族把握及び管理にめっちゃ労力を使いそうである。
正直めんどくさいが、個人的に転移者や召喚者の受け入れも行うのであまり悠長にしていられなさそうだ。
まず幹部四名が前に立つ。
色々あるがグウルさんは肩身は何もしてなくね?と思っていたのだが…。
何か、勝手に戦争には参加しておりサラッと進化していた。
人竜種から人龍種へと進化しており存在値は100万に到達していた。
てかいつの間に…。後で問いただそう。
だが実際グウルさんが暴れて至おかげで兵の被害がチエさんの計算によれば1割程減っていたらしい。
最高にイカれてやがるぜこの白髪の五十代。
一応本人たっての希望により異世界人の受け入れや戦争によって解放された奴隷の魔人などの保護を担当する幹部となるらしい。
と言うことで
「今回の人魔大戦において良く働いてくれた今後は保護や領土運営においてその力をかして貰いたい!
今日からお前は幹部の【領護帝】を名乗るのだ!」
「は!有り難く!!」
グウルさんの幹部名が正式決定した。
領土と保護を合わせた名前である。
領土は"テリトリー"、保護は"プロテクト"の捩りであり帝"ロード"は元々アリシアの幹部が三魔ノ"王"だった為四柱へと人数が増えたのだから"帝"になったのである。
ちなみに私が考えました私のネーミングセンス神ってない?
ルナやシュンもめっちゃ良いと言っていましたよ〜。流石私の神センス。
今後は領土運営や保護及び補助において頑張って貰う事になるので、完全に裏方だね。
元々里の長もやっていたし蜥蜴人族との交流もやっていたので問題ないだろう。
手伝う予定だし。
さてお次は元三魔ノ王であるグランさんである。
全軍団用の武器を急仕上げとはいえ間に合わせてくれた存在である。
労いの言葉を受け取ると片膝をつき
「有り難く受け取らせてもらうだ、今後も全員を支得られるように頑張るだ。」
とのことである。
いつものような訛りが少なめであり覚悟が伝わってくる。
さて、グランさんだが幹部名は【鍛労帝】である。
鍛冶"ファージ"、労働"レイバー"である。
やっぱり私が考えました。
次は幹部になってから僅か2週間以下のトリュフである。
戦争時は敵の強者をうちのギメルと共に倒しているのでかなりの戦果を叩き出した。ギメルと並ぶ強者である。
アリシアからの言葉には全力で答える。
流石、真面目だねぇ。
ちなみに幹部名は【壁軍帝】である。
壁"ウォール"、軍"ミリタリー"である。
意味としては軍を守る壁という意味であり彼のスキルが相当な数の兵士の命を守る事に大きく貢献すると私は考えておりこのような名前にした。
やはり私が考えた幹部名である。
最後はメルシアさんである。
戦果もそうだが一番は兵士の再生を行なってくれておりかなりの人数が助かった。
僅か1秒程度で6名を完治させる圧倒的な他者への再生能力を持っていた。
アリシアからの言葉には
「賜りました。このメルシア、誠心誠意お仕えさせていただきます。」
ととても冷静に答えていた。
癇癪持ちのヤンキー娘の様な性格であり帰って来た妹であるダナシアに馬乗りになりボコボコに殴り続けていたのを茨木とギメルが見ていたらしい。
ヤンキーである。
ちなみに幹部名は【治蘇帝】である。
治療"キュア"、蘇生"リサシテイト"を使っており何かプリ◯ュアみたいになってしまった。
と言うことで四天王の表彰式は終了したので四天王ではなく別の呼び名をアリシアが付ける。
流石にコレは私が付ける訳には行かないからね、仕方ないね。
「と、いう訳でお前達四人を纏めて【肆将帝】と命名する。今後ともよろしく頼むぞ!」
「「「「は!!喜んで!!」」」」
なかなか良い名前であり歓声が上がるが、私はこういう席は苦手である。
しかしやるっきゃねぇ!!行くぜ、女は度胸!!
私が壇上に立つそしてアリシアより言葉を受ける。
「良くぞ、全軍を率いて戦ってくれた!お前の功績を認め【大将軍】に任命する!
"【肆将帝】"よりも階級は上かつ、我が民を守る軍の全指揮権をお前に委ねる是非とも頑張ってほしい!!」
「は!有難き、幸せ。」
しかし私は気づく、【肆将帝】よりも上?つまり…アレとんでもなく昇格してね?
てかグウルさん?聞いてないぞオイと思いグウルさんの方に目をやるとにこやかに親指を立てていた。
おい上司この野郎やったな貴様。
けどまぁ良いや、てか全指揮権を受け取ったと言うことだしかなり動きやすくなったからね。
もう良いや。と思いつつ思念伝達にてアリシアに
《聞いてないんだけど?》
〈〈言ってないからな!別に良かろう動きやすくなるんだし!〉〉
《良いけど、ハァ…。せめて一言言おう?》
〈〈スマンスマン、だがよろしく頼むぞ!〉〉
《はいよ。》
という会話を行った。
仕方ない、しかし【大将軍】と言う名前は良いね、前までの元帥も良かったけどやっぱシンプルなのが一番良いと思っていた矢先。
「と言う訳で、大将軍ヴァイシアより一言全員に向けてどうぞ!!」
貴様、、、、、、。私は睨むがアリシアは知らん顔をしている。嵌めやがった。
チエさ〜ん、どうすれば良い?困った時のチエさんであるきっと素晴らしい答えが帰ってくるはず。
『口調を変えてみるのはいかがでしょうか?』
口調を?なんで?
『威厳のある口調にする事で士気向上や信頼関係構築に大きな影響があります。
今の口調では威厳もクソもありませんから。』
酷いね〜。
『事実でしょう?私も口調変えてますよ?』
たしかに今のラフな口調と真面目な口調で変化している。まぁ口調の使い分けが大切なんだね。
よし…。
アレ?言うことは?
『ハァ、補助しますよ。』
スンマセン
という訳で威厳ある口調、焦りを感じさせず尚且つ堂々とした口調がベストだろうね…ぅ〜む。
こんな感じか?
「皆さん、今日この日よりこの魔王領土を守る盾となり敵を打ち破る矛と成る事を各々が自覚しなさい。
私の指揮下で動くと言うことは魔王アリシア様の民全てを守る責任が伴います!
民の全てを纏めて守り抜きますよ?良いですね!!!」
「「「オォーッ!!!!!」」」
全員が怒号の様な雄叫びを上げる。凄まじい熱気であり流石にビックリである。
さて、再度軍の編成を済ませて新領土の調査頑張りますかね!
私はまだまだ休めなさそうである。




