第51話 大自然vs人類戦と見せかけて百鬼夜行
狂牙狼の群れ、大筋肉猿が駆け出し火飛竜が飛び始めた。
狙いは人間の軍勢である。
同盟はない、元来の動物由来の縄張り意識のみが彼らを人類との戦闘へと動かしていた。
弱い者でもB級中位相当の魔物達からのお出迎えである。
対するは勇者親衛幹部とそれぞれが率いる4000の勇兵である。
勇兵は全員がD級もしくはC級程度の存在値しか持ち合わせていないが一般級の装備を装備しており合計の存在値は平均C級中位程であろうか。
ちらほらとB級程度の実力を持つ者もいるが恐らく彼は"部隊長"である。
狂牙狼は一匹だけでも討伐するのに全身鎧のC級100名程の規模で挑まなければ勝つのは人間にとって極めて厳しい魔物である。
それが40匹で突進してきた。
ただの愚直な突進、躱すのはいとも容易いだろう…というわけでもなく群れの平均的な平均速度能力が軽く一万を超える彼らの走る速度は最大時速500kmであり"音速域"には到達していない。
しかしそれでも人間が反応出来る速度ではないはずなのである。
しかし…
グリアド
「来るぞ犬共が!!気張れてめぇら!!」
グリアド率いるタンク兵約3500が一斉に最前列に立ち人並みサイズの盾を構える。
グリアド自身が最前列で受ける構えであり300mを2.16秒で走破する怪物達の最前列の突進を受け止める。
タンク兵達の横側から4匹の狼が容易く侵入しその爪が複数名の腹を切り裂くも他のタンク兵が一匹に対して10人で盾を狼に押し付け動きを封じにかかる。
一般級程度の防具では受けきれないのである。
グリアド自身も3匹同時に相手をしていた。盾を両手で握り盾に攻撃を加える狼を吹き飛ばす。
(チッ。狼共が面倒だな。だが一番の問題は群れのリーダーの姿が見えないことと猿と飛竜が上空から見下ろしてくるばかりで攻撃してこねぇことだな。)
大筋肉猿は、依然として一歩も動こうとしていない。
様子見であろうか?それとも…。
火飛竜が遂に火球を地上に向けて放ってきた。
一発で直径5m程が焼ける威力であり"上位魔法"クラスの攻撃である。
反応出来ない者は即ち"死"である。
エネイネ
「躱せるものなら躱してみなさい!上将魔法〘重雷撃〙!!」
大魔法級に分類される程の威力を持つその魔法は火飛竜の一匹の翼を破り、狼の群れに直撃した。
この一撃で群れの半分が消えたが味方の兵にも被害が出た。
グリアド
「エネイネ!お前少しは考えて魔法撃てや!!」
エネイネ
「んなこと言ったってそれで大勢死んだら元も子もないでしょ?!!」
エクスタ
「とりあえず負傷した皆さんを回復させますね。集団治療!」
先の一撃で負傷した兵達の回復が行われるも大筋肉猿が火飛竜が、狂牙狼の族長が動いた。
大筋肉猿はただの跳躍で地を割り抉り飛ばし軍に突撃してきた。
グリアドが反応するもアッパーで上空70mまで吹き飛ばされ更に跳躍し飛ばした兵を下方向に叩きを落し兵に隕石の様に加速した兵の死体がグリアドに衝突する。
グリアド
「クソ猿が…!んぉ!!」
足を掴まれ地面に叩き付けられる。何度も何度も何度も地は抉れる他の兵に自身の身体がぶつかりその度に死人が出る。
使われているのだ自分が"武器"として。
エクスタ
「エルイネ!あの大筋肉猿に魔法を!」
エルイネ
「分かってるわよ!上将魔法ッ!」
火球がエルイネに向け放たれた。
火飛竜の相手は弓兵達が行っていたはずなのだが、その一瞬の思考は一目見て分かった。
火飛竜の口に弓を持つ腕があった。
喰われたのだ弓兵は、たったの数秒もかかる事なく。
本陣を率いるグロウスは後方であり人が多く来ることが出来ない。
被害は約200名を超えようとしていた。
その時、だった。
「やれやれ。初手から俺が動くのか?まぁ良いが、最速で終わらせてやろう。」
黒い和装の額に2本の鋭く長い黒の角が生えた黒髪の男が現れた。
右手に魔力が迸る。
兵の誰一人も反応出来なかった恐らくただ一人以外は…。
「とりあえず死んどけ。黒炎爆!」
黒い火炎の爆発が、立ちのぼる。
目の前の敵とも言えぬ雑兵を全て焼き払おうと言うばかりの範囲全てをただ焼き殺す為の攻撃。
爆炎と爆発は外方向に向け広がり範囲内の全てを焼き圧力で殺すだろう。
事実、人間の軍勢の前方の部隊と交戦していた大筋肉猿、狂牙狼、火飛竜が焼死した。
爆炎と爆発によって空気が外へ逃げ出し爆発範囲内の空気が薄まるそしてそれを認識した瞬間に外へ逃げた空気が薄まった空気を"正常値"に戻すべく急速に戻り始めた。
吹き戻しの風である。
しかし
「お?マジかあんま減ってねぇな。」
エルイネの魔法部隊全員が魔法防御壁を展開したことで、MPを媒介としている"黒炎爆"の熱波を防ぎ。
タンク部隊が外方向への"空間圧力"と吹き戻しによる"爆風"を防いだ事。
更に
グロウス
「ふぅ〜。みんな大丈夫かい?!」
勇者グロウスが"黒炎爆"の起点となった地点で威力を半減させた事が決め手となり人間の軍勢は未だ1万と9千程生き残っていた。
「なるほど?テメェが現代の勇者か?」
先程の一撃を放って尚MPに余裕のある黒い男がそうグロウスに問いかける。
グロウス
「そうだ!僕が現代の加護勇者グロウス・ニコリウスだ!
君は"鬼人"だね?
千年前の僕の祖先と戦闘した鬼族の魔王の配下かな?」
悪路王
「あ?俺の事知らねぇのか?
結構テメェ等の事ぶち殺しまくってるからてっきり知られてると思ったんだが?
まぁ良いや。
俺の名は"悪路王"先代魔王たる"酒呑童子"の側近だ。」
「そこまで言う必要なかったではないか?」
一人の少女の様な見た目の鬼が現れそんな事を言がよく見ると左腕が肘から欠損している。
悪路王
「うるせぇなぁ。どっち道殺すんだから言った所で変わりゃしねぇよ。茨木童子。」
黄色の2本の角が生えた少女の名は茨木童子と言うらしくどちらも推定A級オーバー個体である。
茨木童子
「余の"鑑定"と"過去の記憶"によるとあの勇者、加護が多い。
戦闘事態はお主でも"酒呑童子"様でも成立するが攻撃がほぼ効かんぞ。」
悪路王
「あぁ〜。思い出してきた。
けどあん時は加護60個ぐらいだったよな?
100個まで増えてね?」
茨木童子
「相手は究極能力所有者じゃしな。
更に人間の特性として"後任"さえ決めてしまえば能力の引き継ぎが出来る。
恐らく代々受け継ぎ続け加護を増やしたのだろう。」
悪路王
「へぇ。究極能力にしては控えめか?」
茨木童子
「控えめではあるが、代々受け継がれてきたと言う歴史と加護も受け継がれていると言う事実のせいで凄まじい性能となっているようじゃな。」
悪路王
「んじゃ俺はあの盾兵の目立つ奴を殺す。お前は他殺れ他。」
茨木童子
「あの勇者は…。
って酒呑童子様が来ているし問題ないか。
では余はあの魔法使いの女の相手をしようとぞ。」
悪路王と茨木童子がグリアドとエネイネに向けて動き出した。
しかし当然許すはずもないのは勇者グロウスである
グロウス
「させないよ。」
しかし悪路王と茨木童子の移動を阻む為の英雄長剣の一撃は紅蓮に染まる大太刀にて防がれてしまった。
酒呑童子
「貴様の相手は妾じゃぞ?勇者よ。」
魔王アリシア幹部、三魔ノ王が一王"災極ノ王"にして先代魔王"酒呑童子"到着である。
酒呑童子
「それではさっさと終わらせようぞ。百鬼夜行じゃ!」
更に後方より大量の鬼族の軍勢が猛スピードで接近して来ていた。
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作者メモ 鬼族について
名前が実際の鬼と同じ名前ですが考えるのがめんどくさいだけです。
まぁアレよ。
私のネーミングセンスがイマイチなのと覚えやすさ重視です。
さて鬼族には五系統の"色"が存在し"色"事に性格が少し異なります。
赤色 系譜の王 酒呑童子
赤の系譜の鬼族は、かなりの欲張りであり努力家が多いのが特徴。
存在値も平均でかなり高いが、技術力が極めて高い。
青色 系譜の王 夜叉
青の系譜の鬼族は、感情的な性格でありキレやすい短気な奴等。
系譜の王にも偶にキレるがボコされている。
一番制御が難しい系譜だが他の系譜よりも弱い系譜の王は強いが五色の中では最弱の色である。
黄色 系譜の王 茨木童子
黄の系譜の鬼族は、我が儘だがかなり友好的な性格。
落ち着きがないもののやる事はしっかりやる。
相手の技術を観察し使えるものを厳選、自身の技術に合わせるなど柔軟な戦闘方法をとる。
緑色 系譜の王 温羅
緑の系譜の鬼族は、結構な怠け者であり向上の欠片もないが天才肌の者が多い。
酒呑童子や悪路王、茨木童子からは本気出せよと言われるがめんどくさいの一点張りである。
黒色 系譜の王 悪路王
黒の系譜の鬼族は、何か失敗した時に人のせいにする性格の者が多い。
赤の系譜より存在値が高い者が多く基本的にゴリ押し戦法。




