第52話 百鬼夜行①
グリアドの目の前5mには、黒角の"鬼"がいる。
グリアドには「鑑定」スキルが無く実際の存在値量を測定することが出来ないが長年の勘から先程の大筋肉猿より遥かに存在値は多いだろうと予想した。
しかしその見立ては過小評価である。
悪路王は"元"とはいえ魔王の幹部であるりその存在値はA級オーバー即ちS級に既に到達している。
というか
悪路王
「なんか色々考えているみてぇだな人間。
けど一応教えといてやるが俺の存在値は2550万だしお前より多いぞ?
勝てそうか?俺に。」
本人が言う通り1000万を超えておりS級モンスターである。
グリアド
「わざわざどうも!お前こそぶち殺されたくなければさっさと失せな!」
グリアドがそう言うと踏み込み地を割り盾を両手でしっかりと握り突進する。
グリアドの存在値は550万であり悪路王との差は4倍である。
存在値だけを基準とするなら悪路王が圧倒的に有利だろう。
しかしこの世は存在値だけが強さの価値基準ではないのだ。
4つのその者の強さを測る"値"が存在する。
身体性能存在値、身体操作能力値、能力取得値、殺傷戦闘能力値の4つである。
グリアドの、存在値は"人間"基準でも最上位に位置するがその力の根源となるのは自他ともに認める身体操作能力値の高さである。
更に音速の数倍程度の突進"普通"なら当たる下手をすれば死に至るだろう。しかし5mの距離での突進、更に自分を狙っての攻撃なのだから躱すのは意図も容易い。
軽い左方向ヘの回避で楽に突進を躱し腰から刀を引き抜き横腹を切り裂く。
内蔵までは届かなかったもののジリジリと斬られた範囲が拡張されていた。
グリアドが横腹を一瞥すると"黒炎"が傷口で燃え傷口の拡張をしていた。出血は血管ごと焼かれている為にないが、放っておけば内蔵まで"黒炎"が広がるだろうとグリアドは直感し傷口の"黒炎"をぶっ叩き鎮火する。
術者の悪路王のMPを媒介にしているとはいえ所詮は火である。空気中の酸素を消費して燃えているのだから空気を遮断すれば直ぐに消火出来るのだ。
悪路王
「なんだ。せっかく出血しないようにわざわざ焼いてやったのに。人の善意を踏みにじるなよ。」
グリアド
「焼かれんのは痛かったんでな!消火させてもらったぜ!」
そう言うなり盾を右手に持ち替えると凄まじい連打を悪路王に放つ。
ただの連続殴りだが威力は凄まじい。
A級上位モンスターでも死ぬ程度の威力である。
悪路王
(ふ〜ん。コイツ、さっきの狼と猿相手に手加減していたな。最初から本気なら即全滅させられただろうに。)
悪路王はそう思いつつ回避を続けタイミングを見計らう。
そして盾を持っていない左腕を肘から斬り落とす。無論"黒炎"で止血という名の持続攻撃も添えて。
グリアドには「痛覚大耐性Lv4」があり生半可な攻撃では痛みを感じないが、脊髄反射による本人の意図しない反射行動により0.001の隙が生じてしまった。
そこを見逃す程、この鬼は甘くないし優しくもないのだ。
両足を膝から両断し流れるように横薙ぎで左の股関節を斬り落とす。
鎧のせいで斬りにくいのもあり刀が通らないのと刃毀れを起こさぬように"関節"から両断しているのだ。
グリアドが凄まじい形相で盾で悪路王を殴り飛ばそうとするが、両足を切断され、片腕を失いバランスが取れなくなっている今のグリアドの攻撃など当たる筈も無かった。
五体満足のグリアドの攻撃ですら一撃も当たっていなかったのだから当然である。
視界が半分に分かれる。
盾での防衛を捨て攻撃に転じた事と頭に装備を付けていなかった事で頭を横に斬られたのだ。
《経験値が一定に達しました。名前"悪路王"鬼人Lv75が鬼人Lv76になりました。》
《経験値が一定に達しました。鬼人Lv76が鬼人Lv77になりました。》
《経験値が一定に達しました。鬼人Lv77が鬼人Lv78になりました。》
《経験値が一定に達しました。鬼人……………
……………
…………
………
……
…
…
…
…………………………………。鬼人Lv94が鬼人Lv95になりました。》
《各種ステータスが上昇しました。》
《スキル熟練度ボーナスを獲得しました。》
人間とは魔物や魔族にとって経験値がとても美味しい生物である。
悪路王
「ん、存在値だけは高い野郎だったな。盾の権能使えばもう少しは持久戦出来たと思うんだがまぁ良いか。」
自他ともに認める身体操作能力値を誇っていたグリアドだったが相手はそんなの知ったことではない。
勝敗を別けたのはグリアドの慢心であり存在値含めた四項目全てにおいて悪路王が圧倒的に強かっただけである。
勇者親衛幹部最強の一角が倒された瞬間である。
…………………………
ふざけるなよ!そう思いのは無理もない。エルイネは魔法使い役職、つまり後衛である。
その為、近接戦闘が苦手なのだ。
グリアドや勇者グロウスに「身体強化魔法」を掛ける寸前の所でこの黄角の少女に邪魔された。
本来なら後方から敵陣に大魔法を放つだけでも自分は良いのだ。
近接戦闘なんて魔法使いの役職じゃないのだから。しかし
茨木童子
「どうした?
さっさと切り替えねば戦闘すら成り立たんぞ?」
エルイネ
「うるさい!私は後衛なんだよ!お前みたいな野郎とは違うんだ!!」
エルイネは無詠唱で"撃雷的当"を放つ。
MPの1/20をたった一発で消費したが流石に効いただろう。
しかし
茨木童子
「ふむ。耐性貫通を付与した上将魔法か…。
しかし練度が低いな。
余のHPは一割も減っとらんぞ?」
馬鹿な。
自分の身体性能の中で一番多いMPの軽く2000万以上はあるというのに…。
しかも「耐性貫通Lv5」を付与した魔法の中で最速の雷撃系の上将魔法だぞ?!
避ける事も耐える事も普通できないだろうが!
一発でかなりの量のMPを消費する攻撃をたった一人の片腕の鬼に一点集中でぶち込んだのにも関わらず目の前の片腕の鬼はピンピンしていた。
一万年以上栄華を極めるクロイダ帝国の中でも最強の魔法使いたる自分の本気の攻撃で倒れないなどあって良い筈がないのだ。
「鑑定」によるとこの鬼に「多重結界LvMAX」と複数の大耐性がある事が分かった。
恐らく「多重結界LvMAX」に十個の大耐性をぶち込んでいるのだろう。
そのせいで魔法効果が阻害され耐性を貫通しても全身を覆う"結界"までは貫通出来なかったのだと思う。
ならば
エルイネ
「理屈さえ分かってしまえばコッチのものよ!受けてみなさい!「貫通多段雷撃」!!!」
この魔法は結界ごと耐性も破れるよう"撃雷的当"を何層にも重ねたものであり一層事に各種耐性を貫通し結界も破れるよう即時改良した必殺魔法である。
即時改良した魔法とあってMPは半分を切ってしまったが流石に死んだだろう。
てか死んでくれなければ、接近されて死んでしまう。今まで接近されていなかったのは対魔物用の結界を張っていたからこそ接近されなかったのだ。
何度でも言おう!私は後衛であり近接戦闘なんてできないのだ!!てか普通に"痛いのが嫌だ"けど国を護りたくて魔法使いになったんだ近接戦闘なんて"痛いのが嫌だ"という本来の私の信念に反する。
茨木童子
「お前の全力はそんなものか?んじゃ次はこっちから行くぞ?」
「−−−−ッは?!」
エルイネが反応するより尚早く右下から斬り上げられ杖を持つ手が斬り飛ばされる。
「は?エ?痛ッ嫌ァァァアアアッ!!!!」
エルイネの悲鳴が響き渡る。
実際にこの世界の後衛の特徴として直に攻撃を受けないことにより「痛覚耐性」が著しく低いもしくは無い者が多いのである。
しかし"里"の守護神たる巨人族は別であり高い痛覚大耐性を獲得しているがこのエルイネは持っていなかったようだ。
痛いのが嫌だという思念から直接の戦闘を避けていた事と
茨木童子
「やかまし」
目の前の失った腕を抑え蹲っている女を見ながらそう言い放つ。
弱い、根性もなければ実戦経験も乏しいカスである。痛いからなんだ?次の攻撃に備え防衛をしたり攻撃される前に攻撃するものではないのか?
「…やはり、師匠が特別だっただけか。」
誰にも聞こえぬ程の茨木童子の小声の言葉だったがそれ以前に
「ハァハァッ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛い辛い痛いなんで、なんで私がこんな目に…。やだァ。」
エルイネの精神が痛みによって崩壊し怒涛のように痛みを口にしていた為誰の耳にも届くことはなかった
本来なら一撃で胴を両断する所をあえて腕のみ斬ってみた結果、なんとも醜悪な物を見せられ不快感が込み上げてくる。
「どうせ出血死するだろうが終わらせてやろう。せめてもの情けと思え。」
そう言い放ち刀を構える。そして首を切断し目の前の女を殺した。
《経験値が一定に達しました。名前"茨木童子"鬼人Lv65が鬼人Lv66になりました。》
《経験値が一定に達しました。鬼人Lv66が鬼人Lv67になりました。》
《経験値が一定に達しました。鬼人Lv68が鬼人Lv69になりました。》
《経験値が一定に達しました。鬼人Lv69が…………
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…………………
………………
……………
…………
………
……
…
…
…………………………………。鬼人Lv85になりました。》
《各種ステータスが上昇しました。》
《スキル熟練度ボーナスを獲得しました。》
「なんともまぁ弱い人間じゃったな。」
命をかけた戦闘で出し惜しみなどするからこうなるのだ。
そう思わずにはいられなかった。
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作者の雑談コーナー!!
はい。一つ良いですかね?今回でこの「底辺虫系JKの異世界冒険譚」が51話になりました。
更にPVが"3500"にもうすぐ到達する所ですね。
…いや〜。もう最初の1話を出してから2ヶ月経ちましたね。
普通に"小説になろう"のPVがなんだろうと思ってなかった訳ですがようやく最近になって分かって来ましたよ?!
PVって作品が観られた回数的なやつなんですね。
んで3500って51話になってコレ…少なくないですかね?
いや〜ね?最近"異世界"作品って量産化?してるとか言われてますけど掘り出し物で面白いのあるじゃないですか?!
私はそういう"掘り出し物"にこの作品をしたいわけですよ!
と最近思うわけですよ。(変な所で意地が出てきた)
つまりね?私の"承認欲求"が訴えかけてくるわけですよ。
せめて1万PV…いきたいなぁって!!
という訳で少しづつですが1話から内容を改変していこうかなぁと思います。
もっと正確に言えば文章量を1話から少しづつ増加させて内容を濃くしようかなと。
最初らへんの話って1000文字ぐらいで内容薄かったですしお寿司。
あと最近結構読みやすい感じに文章書けるようになってきたんで読みやすくするって意味も込めてます。
まぁとりあえず最後に、噛んでも噛んでも味のするガムみたいになれるように頑張ります。
以上、お疲れ!…明日…月曜か…。




