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24.ファルシオン海賊vsウィリアム海賊

 小生はすぐに角を光らせて、体中を砂鎧で守りを固めた。

 そして、船内から出てきた賊に向かって大地のつぶてを見舞い、賊は船から落ちて水面へと吸い込まれていく。

 海賊船の見張り台にいる海賊は、慌てた様子で叫び声をあげた。

「て、敵襲! 敵襲! ユニコーンだ……鎧のユニコーンが手下を率いて乗り込んで来たぞ!!」


 各船からは次々と海賊が現れたが、小生はすかさず岩つぶてで攻撃した。

 賊は次々と攻撃を受けて倒れたが、運よく攻撃を逃れた連中が弓矢で応戦してくる。それらの矢は全て小生の鎧にはじき返されたが、矢じりの先には毒の臭いがした。

『毒矢か……アジな真似を!』

 小生は再び岩つぶてを放つと、残った12人の海賊を残らず戦闘不能に陥れ、ゴメス隊に命じた。

『突入せよ!』


 ゴメス隊のメンバーは、4から5人の小隊に分かれて海賊船に突入した。

 船中で無数の叫び声が響く中、小生は海賊船の前に立って、戻ってくる海賊に向かって岩つぶてを連続的に見舞った。

 海賊は7人から12人くらいの小隊で動いており、小生は効率よく1部隊ずつ岩つぶてで撃破していく。

「な、なんだこのウマぁ!」

「たかがウマ一頭だろう! 根性見せろお前らぁ!」

『大地の洗礼!』

「ごぎゃあああああああ!?」


 5部隊めを撃破した時、よろよろと立ち上がった海賊は、近くに倒れていた人魚にナイフを突きつけた。

「そこまでだクソウマ! こいつの命が……」

 直後に、海賊の死角の岩を浮かせると、そのまま男の後頭部に激突させた。

「ぽぎゅ!?」

『特別に貴様は、暴力地獄への推薦状を書いてやろう』


 その直後、船の一つから叫び声が響いた。

 見張り台に立っていた海賊が水面へと投げ落とされ、突入したゴメス隊の部下ガンザスがユニコーンの旗を掲げたのである。


 旗印を見た海賊たちは動揺し、対照的にマーメイドたちの士気は大いに上がった。

 彼女たちは引き付け作戦を変更し反転攻勢をかけ、海賊たちは浮足たった。次々とゴメス隊のメンバーは海賊船を制圧してユニコーン旗を船に掲げていく。

 戻ってきた海賊たちは、たなびくユニコーン旗と、解放されて武器を持ったマーメイドたちを目の当たりにすることになった。


『お前たちに勝ち目はない……武器を捨てて両手を上げろ!』

 海賊たちは次々と武器を捨てると、両手を上げて降参のポーズをとった。


 こうして我らは、4隻の船を接収し125名の海賊を捕縛することに成功したが、ゴメス隊のメンバーは4人が死亡。6名が負傷する被害を出した。

 また、海賊は船内に仲間の亡骸を保管しており、今回の戦闘を合わせて87名の犠牲者を出したようだ。春先とはいえ、このまま船内に放置しておくと腐敗が進むので、ゴメスたちやマーメイドたちに依頼し、表に出すことにした。



 そして戦いがひと段落付いたとき、マーメイド族の女王が姿を見せた。

 女王と聞くと、普通は壮年近くに差し掛かった女帝のような人物を思い浮かべるかもしれないが、ここを収めている女王は、少女と呼んでも差し支えが無いほど若かった。

 そうなるとどうしてもエマニュエルと比べてしまうが、マーメイド族の女王には鋭さがなく、戦乱の世を渡り切るには少々頼りない印象を受ける。


 彼女は痛ましい表情で荒れ果てた島を見回っていたが、捕縛された125名の海賊と、こと切れた87名の海賊の死体を見ると驚いた表情をした。

「こ、これほどの敵を……一体、どうやって?」


 彼女は最初はゴメスを見ていたが、すぐに彼の仕業ではないことがわかったようだ。

 確かに彼の周りには、無数の悪しき魂が飛び交っているが、その大半が1年以上前に倒されている者たちばかりである。

 女王の瞳がゴメス隊をひとりひとり映していったが、やがて一頭の黒毛馬を映したとき、大きく瞳を開いていた。

「…………」


 どうやら彼女は気が付いたようだ。小生の周囲に飛び交っている魂の数はゴメスの比ではない。

 今年だけでも殺めた数は、軽く見積もっても1000。トータルだと更に桁が1つ上がる。恐らく、化け物か何かに見えているだろう。

 彼女は、胸に手を当てると深々とお辞儀をした。

「一角獣様……ご助力、心より感謝いたします」

 小生はあえて、女王ではなく王と彼女を呼ぶことにした。

『災難だったな。マーメイドの王よ』


 小生は海賊の1人に目をやると、その臆病そうな海賊は「ひぃ!」と叫びながら身を引いていた。

『この海賊たちだが、生かすも殺すも貴殿しだいだ。民の感情が怒りでコントロールできないのなら、残らず首を落とすがいい』

「ひぃっ……!」

「鬼ぃ!」

「悪魔だっ!」

 マーメイドの女王は困り顔になっていた。どうやら彼女は、血生臭い行動をあまり好まないようだ。


『逆に理知的な民なのなら、海賊を1人逃がし……頭にこう伝言させるといい』

「なんと?」

 小生は女王の耳元に近づくと、囁いた。

『…………』

「…………」

 彼女は頷いた。

「その知恵を使わせていただきます」


 マーメイドの女王は、先ほど睨んだ時に怯えた海賊を指さすと、側近と思しきマーメイド2人が両脇を抱えて海賊の捕虜を連れてきた。

「ひっ……あ、あっしで……ございますか……」

「耳を貸しなさい」

 話を聞いた海賊は、うんうんと頷いていた。

「わかった。確かに伝えるから……仲間たちに危害を加えないでくれよ!」

「この者に小舟と食料を……」


 海賊に小舟を渡すと、その者は「へへっ……」と言いながらオールを使って大海原へと消えていった。

 その様子を見ていた、マウラは険しい顔をしながら言った。

「あの者……きちんと役割を果たすでしょうか?」

 するとゴメスはしかめっ面のまま言った。

「奴さんはそのまま逃げるつもりだろうなぁ……だが」

 その顔は不敵に笑った。

「女王様やキャプテンは、それを百も承知で逃がした……そうでしょ?」


 小生は何も答えなかったが、顔は思わず笑ってしまった。


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