表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第46話~クラウド編~

 クラウドの背を見送りながらピエールが優しく微笑んだ。


「何か見つかれば良いですねぇ。さてと、今日はやること済ませてきましたからね、あなた方のお手伝いをしましょう。そうですねぇ、この辺りのお片付けをしましょうか」


「み……」


 ナシュマは各所に散らばった文献に目をやった。調べ始めてから向こう、余り片付けをしていなかったために、足の踏み場がなくなりつつある。いい機会なのでピエールに手伝ってもらい、溜まりに溜まった文献を整理していった。


 本を戻しつつ、ついでに書架に溜まった埃を小さな箒ではたく。


「みぅ?」


 皮膚の下が泡立った。どこかに図書館と同じく、存在を隠すための魔術が仕掛けられている。


「ナシュマ、どうしました?」


「み!」


 そより、と微かな風を感じた。入口とは逆方向、風が入るとは考えられない書架のみが並ぶ方向からだ。


 付近を飛んでみれば棚と棚の僅かな隙間から風が入って来ている。床にも引きずったような傷跡。何があるのか気になった。ナシュマはピエールを連れて来て、床の傷を指し示す。


「おやおや。この書架でしょうかねぇ。ナシュマ、一緒に退かしてみましょう」


「みー!」


 そして書架を退かしたのだが、後ろには変哲もない薄汚れた白い壁があるだけだ。


「おかしいですねぇ。何かあると思ったのですが」


「…………」


 ナシュマはじっと壁を見つめる。書架を退かして、はっきりしたのだ。この壁の奥に何かがある。


 躊躇なく壁へ飛び込んだ。案の定、体が壁を擦り抜けて、隠された部屋の存在を明らかにした。ピエールも顔を覗かせ、驚いたように髭をひと撫でする。


「おや、こんなお部屋が隠されているなんて思いもよりませんでしたよ」


 暗い部屋。床に白く光る魔法陣。中央には大人の身の丈ほどの白い光が風のように渦巻いていた。


「あの風はなんでしょう。強い魔法の匂いがしますねぇ」


 ピエールが目を閉じて息を吸い込んだ。


「ふむ、セントラルクルスの風ではない匂いがします。どこかに空間が繋がっているようですね。転送装置、というところでしょうか。折角なので行ってみましょう」


「みぃっ?」


 ナシュマは驚き、ピエールの行く手を阻む。教会の責任者という感覚はあるのかと、疑いたくなるほど無防備な行動だ。


「みぃ」


「大丈夫ですよ。腐っても昔は聖騎士でしたし、それにこういうのは、はっきりと何なのか知りたいのですよ。教会を背負うものとしてね」


 止めようとしたナシュマを軽くあしらい、ピエールが風の中へ姿を消す。ナシュマも急いで風に飛び込んだ。


「……!! みぎぎっーー!!」


 強く、どこかへ引っ張られるような感覚だ。だがそれもすぐに終わり、突然風から投げ出される。


「みぃぃ……」


 体勢を立て直して辺りを見渡した。石造りの部屋の壁は白く光り、窓はないのに明るい。壁自体が発光しているようだ。


 床の魔法陣は消え、祭壇には風が音もなく渦巻いている。教会とは似て非なる場所だ。


「いやぁ、凄いですねぇ。でもここはどこなのでしょう?」


「み」


 分からないままピエールと小さな部屋を出る。


「みー……」


 ナシュマは、新たに現れた部屋に思わず溜め息を漏らした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ