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成れ果ての不死鳥の成り上がり・苦難の道を歩み最強になるまでの物語  作者: ネクロマンシー
第1章 壊れ続ける日常
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第28話 簒奪の亡者

 ノアは泣き疲れたのか眠ってしまったテトをニーナに任せてベッドに寝かせた後、鳥のマスクを着用し黒いコートを羽織り闘志を燃やしてタルタロスを出た。いく場所はティグリスのアジト、アヴァロンへ。西区はノアが国に来て初めて足を踏み入れた地で見覚えのある建物もいくつかあり小道を歩いていると建物の中にいくつか薄っすらとギラつく気配がある。おそらく前もいただろうが自分が未熟であったため気がつかなかったのだろう。バッカスとの鍛錬の成果を今日発揮すべきだと鍛錬の記憶が訴えかけてくる。


 廃墟だらけの風景が続き、一見死んだ町にしか見えないがノアの眼には確かな存在を感じる。ノアは隅にある寂れた小屋に入ると視線を下に向けた。


「地下か」


 小屋の中に入ると地下に続く階段がありノアはその階段を警戒しながら降りた。しばらく降りるとさっきまで錆びた鉄の壁やひび割れた煉瓦で出来ていた壁が一変、壁の色が金一色に変わり外の風景が嘘のように豪華なシャンデリアが吊り下げられてあったり壁絵が飾られていた。ここのどこかにティグリスはいるはずだ。

 おそらくティグリスはこの区域を占領し自分達の場所を肥やして上の人達、廃墟の住民は見捨てているのだろう。目がチカチカするほど金が飾ってある通路を通っていると数人の男達が前方に現れた。



「貴様っ!ここで何をゴポォ!!」


 ノアは男達が何かを言い終える前に叩きつぶしそのまま奥へと進んだ。進んでいくうちに敵の数も増えてき出したがノアは邪魔するものは1人残らず潰した。そして道が広くなりひらけた場所へと出ると金のしゃちほこでできた玉座があり、そこに白虎はいた。


「わざわざ何をしにきた。もう少し待っていればこちらから出向いてやったものを、自分から首を差し出しに来たのか?」


 膝をついて暇そうに欠伸をしていたティグリスはノアを見ると口角を上げて豪快に笑った。


「仲間を連れ戻しに来ました。キュプラーはどこですか?」


「ハッ、さぁな。だがお前も嘘じゃないことくらいわかっとるだろうに。あいつはお前を裏切ったんだぞ?そんなやつのために一人でのこのこと殺されに来たのか?」


「ええ、でもそれだけが目的ではないですし、殺されるつもりも毛頭ないですよ」


「ガハハ、他の目的ってのはなんだッ…」


 目を細めて愉快そうに笑うティグリスの顔に影がさす。ティグリスがそれに気づいた頃にはもう遅く、顔面にノアの脚が叩き込まれていた。






「白虎、お前を倒しにきた」









 玉座ごと吹き飛ばし金色の壁に衝突したティグリスが煙の中から姿を現すとノアはマスクの下で好戦的な笑みを浮かべる。


「僕が負けることは僕が許さない。僕の邪魔をしたやつらは一人残らず根絶やしにしてやる」



「ハハッ!この俺様に勝とうってか⁉︎笑わせてくれる。いいだろう、相手してやる」


 ティグリスは鼻血を乱暴に腕で拭うと懐の中から3つほど宝石を取り出した。金色に輝く小さな星のかけらのような宝石。


「あれは、ジェム?」


「この世は金が全てだ‼︎お前にも金の力を見せてやろう」


 その光景にノアは目を疑った。なんとティグリスは手に持っていたジェムを口に放り込むと噛み砕いたのだ。


「一つ何かを成し遂げようとした時に最初に壁となるのが金だ。金が無ければ何もできねぇ。金があればあるほど出来ること、やれること全てを広げられる」


 噛み砕いた金を飲み込むとティグリスの白い毛が、白い尾が金色に輝きだし眼光が増していき金の虎へと変わり果てる。獰猛な笑みで牙を剥き出しにし足を踏み出すだけで床がひび割れる。ノアも臨戦態勢に入り漆黒の翼を天井に向けて大きく伸ばした。


「金は人を醜い獣に変える。見るがいい!これが〈簒奪〉。この世の全てを手に入れる力だ!〉


 金色の虎と一羽の鴉が衝突した。














「ハァ…ハァ…なぜ当たらない」


 ティグリスは何十発攻撃を繰り出そうとまるで未来を全て知っているかのようち避けるノアに痺れを切らした。


「なら、これでどうだぁ!」


 ティグリスは脚に力を込めて矢のように跳び拳を繰り出した。それを当然のように避けたノアにあらかじめ予測していたティグリスは尾を伸ばした。

 だがノアはそれすら避け、避けぎわに蹴りをお見舞いした。



「どれも前回に見たよ」


 ノアはティグリスの猛攻を嘲笑うように怯んでいるティグリスの顔面にもう一発蹴りをぶち込んだ。




「ガァッ!クソが!舐めやがって。・・・いや、舐めてたのは俺様のほうか。いいだろう、お前の賞金は5000だったよなぁ?それならそれ相応の代償を払わねぇとな!」



 ティグリスは懐からもう7つ金色の宝石を取り出し噛み砕いた。


「俺様は金を喰らえば喰らうほど強くなる。見せてやる、これが5000ジェムぶんの力。お前も少しはやるようだが財力に勝る力はねぇことを教えてやる!」


 更に輝きを増したティグリスの突進をノアは避けきれずに直撃する。そのまま壁にぶち当たり床に落ちる前にティグリスが距離を一瞬で詰めてノアを壁ごとぶち壊した。血を吹きながら転がるノアに起き上がる隙すら与えまいと更に金色の光爪が遅いかかった。






「痛ったいなぁ」


 ノアは不機嫌そうに声を漏らすと手を床について体を勢いよく起こすとナイフを抜きティグリスの爪を止めた。力はややティグリスに分があるようで少しづつノアが押され、体勢が崩れつつあったが流れるようなナイフさばきでティグリスの爪をいなすと力で押し勝てると思っていたティグリスが勢い余って前のめりになる。その隙をノアは見逃さずティグリスの腹をナイフでかっさばいた。



「ァァァァアこの野郎」


 腹に手を当てても止められないほどの血を流したティグリスは冷静さを失い獣のように吠える。それからティグリスの攻撃は乱暴に腕を振り回すだけの単調な動きになりノアの攻撃を幾度となく食らってしまう。


「これでもか…ッゴァ、ぶち殺してやる!」


 押しつぶそうとするように両手を振り上げてティグリスは襲いかかるがノアは翼で空中へ飛び上がり背後に回ると渾身の蹴りを背中に叩きつけた。

 ティグリスはそのまま壁を越えて奥の部屋まで吹き飛んでいき、金色で包まれたこの空間もひび割れ始め崩壊しかけていた。




「流石にもう動けはしな…」


 先ほどの蹴りで脊椎を砕いた感触があった。もう動ける状態ではないと判断して勝ちを確信していたノアがティグリスの様子を見て目を見開く。

 ノアの目の前にいるのは手負いの虎などではなく黄金に煌めく虎が佇んでいる姿だった。後ろには壊されて空っぽの金庫らしきものがある。ティグリスはノアに吹き飛ばされたあとこの金庫の中のここにある全ての金を捕食したのだ。


「認めるぜ、お前の力。だが俺様は負けるわけにはいかねぇ。手に入れてきたこの金で証明する。大金の前では人は等しく無力であることをな‼︎」


 ノアは眩いほどの光を放つティグリスに目を細めながらナイフを構えた。そしてティグリスが動き出したのを確認すると眼で動きを把握しながらそれに合わせてナイフを当てようとする。しかし、ティグリスの閃光のような速度に身体がついてこれずにティグリスの攻撃を避けれぬまま爪を打ち込まれる。


「なっ、こいつさっきとは比べものにならない!」


 ノアは体内にくいこんだ爪を引き抜こうとティグリスの腕を掴むが、その腕はビクともせずにそのまま体ごと持ち上げられノアは頭から壁に叩きつけられた。



「金があればいとも簡単に命を奪え、金が無ければ大事な命一つ救えない」


 ノアは粉砕された壁の瓦礫と吹き飛ばされ意識が朦朧とし始める。そしてその先に待っていたのはノアに異能を撃ち出さんと囲んで構えていた何十人ものティグリスの部下達だった。


「金なんて、この世界になかったらよかった」


 ティグリスは目から光を揺らがせながら指を鳴らし、部下達は一斉にノアに向かってマナの塊を放出した。



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