長袖
俺達は龍斗の家についたのでチャイムを鳴らす
「お~っす龍斗。今日も来たぞ~」
『わざわざ言わなくてもいいから。今鍵開けるから少しだけ待ってろ』
そうして暫く待つと扉が開いた
「待たせたな、入っていいぞ」
「いえ~い邪魔するぜ~」
「お、お邪魔します……」
「兄と違って雪ちゃんは礼儀ただしいなぁ。悠斗も見習えよ?」
「余計なお世話だ、ほらとっとと部屋に連れてけ」
正直我ながら人の家に来ておいて部屋に連れてけはどうかと思うが龍斗だし、その辺はどうにかなるだろう。
「へいへい、分かりましたよっと」
階段を上ってから二つ目のドアに入るといつものように…気のせいかな?普段よりも散らかってるような気がするんだが……
「なぁ龍斗、お前の部屋が散らかってるのはいつものことだが今日は普段よりも酷いような……」
「気にするな、というかお前はいつも俺が気付かないうちに部屋の中にきてるよな?というか昨日も来ただろ、その後色々あったんだよ。……あ、それと雪ちゃん。今日は気にせずに楽しく過ごしていいからね?なんなら俺らのことはほっといて悠斗にいろいろしててもいいから」
色々ってのも気になるが、それよりもこの野郎。
「龍斗!?お前なんてことを!」
「いいんですか?」
「あぁもちr「俺はよくないぞ!」…ちっ、割り込まれたか」
まじで止めて欲しい。本当に勘弁してくれ、心が死ぬ
「悪いな雪ちゃん。このままだとマジで悠斗のメンタルが死にそうだから今日は勘弁してやってくれ」
「本当にお願いします、誰か俺の心を守って下さい…」
「ほらこの通りだ。今日はその辺にしてあげてくれ」
「分かりました。取りあえずやめます」
よかった。なんとか止めてくれた。……取りあえずってのが引っかかるけど。
というか今気付いたが……龍斗の奴なんで夏なのに長袖なんて着てるんだろうか?……二人が来たら聞いてみるか
「ところでさっきから気になってたんですけど……龍斗さんはどうして夏なのに長袖の服なんて着てるんですか?」
「そ、それは……」
雪ははっきりと俺も気になっていたことを聞いた。何故か龍斗は息詰まっている。
「なぁ龍斗、今は別に言わなくてもいいぞ。一也と准が来たら話してくれ」
「……分かった。全員揃ったら話す。別に忘れてくれてもいいんだぞ?」
「駄目だ、二人が来たら話せ」
「……はぁ、気が乗らないなぁ」
ここまで話すのを渋るとは…ホントに何故だ
「ま、まぁいいだろう。二人が来るまでなんかしようぜ!雪ちゃんは何かしたいことあるか?」
「私は何でもいいです。お二人が普段何してるかが見たいので。」
……雪は本当に見てるだけで満足なんだな。欲がないなぁ。
「じゃあいつも通り俺がお前に一方的に勝つ格闘ゲームだ!」
今のところ格ゲーでは龍斗相手に一回も負けたことはない。
「悠斗テメェ…今日こそお前に勝ってやるから覚悟しろよぉ…」
「で・き・る・も・の・な・ら・やっ・て・み・ろ」
「なめんなああああああああああああ!」
龍斗がぶち切れたがいつものように全戦全勝してやった
「ほれ、こんなもんだ」
「兄さん凄いです!」
「何で勝てないんだよ……!」
まぁ答えは簡単。動体視力やらが既に人間を超越しているからだ。いわゆる小足見てから昇龍余裕でしたってやつだ
そしてそんな風に話しているとチャイムの音が聞こえてきた
『おーい鍵開けてくれー!』
「今行くからちょっと待ってろよ」
そう言うと龍斗は立ち上がって玄関へと向かって行った。
「二人きりですね、兄さん」
「そ、そうだな。直ぐに戻って来るとは思うが、それまでは暇だな」
流石に家主がいない中で色々弄ることは出来ないしな。……この短い時間でエロ本でも探すか?…雪もいるしやめておいた方がいいな
「……それならお願いがあるんですけど」
すると雪がお願いをしてきた。いったいなんだろうか?…背徳はNGだぞ。取りあえず返事はしなくては
「なんだ?」
「短い時間でもいいんです!手をつないで下さい!」
手をつなぐ?それだけでいいのか。これなら別にいいな
「……それぐらいなら構わないが」
「ありがとうございます!」
少しだけ力強く手を握りしめてやると、雪が今まで見せてきた表情の中でも1、2を争えるような笑顔を見せてきた。……うん、やっぱり兄としての色目なくてもなんだかんだで美少女だよな、こいつ。多分世界で一番じゃないか?
「「…………」」
暫くすると階段を駆け上がる騒がしい足音と喋り声が聞こえてきた
『なぁ龍斗、本当に何でお前はこんなにクソ暑い中長袖着てるんだよ!』
『本当にね、僕も気になるから教えてよ』
『だぁぁぁあああ!うるせぇ!何も聞くな!気にすんな!』
『『気になるぞ!』』
……なかなかにカオスだなぁ向こうは
「二人とも待たせたな。一也と准が到着したぞ」
「お~っとマジで妹ちゃんきてるじゃん。いやぁ相変わらずかわいいね!俺とどこか出かけない?」
一也の奴何言ってるんだ。ぶっ飛ばすぞ
「ナンパとかマジで気持ち悪いよ愚一也」
「あたらしい罵倒のバリエーション来た!?愚一也ってなんだ!」
愚か+一也で愚一也ね。新しいな。まぁ取りあえず
「おい一也……人の妹をナンパするとはいい度胸じゃねえか。」
「ごめんなさい一也さん」
雪も一切考えずに振ったな。安心した
「畜生!振られた!……なぁ悠斗その拳下げてくれよ!」
「駄目だ!だが安心しろ。手加減はしてやる……からなぁ!」
「ヒュバイッケオオオオオ!」
どんな叫び声だよ。
数分後に一也は復活したので龍斗にいよいよずっと気になっていたことを聞くことにした。
「で?龍斗、お前はなんで長袖着てるんだ?」
「……そっか~、覚えてたか~忘れてなかったかぁ…はぁ」
「いいから教えろよ」
「ほらさっさと白状して」
俺達三人が問い詰めると龍斗はとうとう口を開いた。
「今日は…なんだか寒く感じたから」
「「「汗が凄いぞ」」」
「くっ……今日はなんだか我慢したくなったから」
「お前別にしなくてもいい我慢をするような奴じゃないだろ」
一向に本当のことを話そうとしないな。本当になにがあるんだ。……次に嘘ついたら二人に龍斗を押さえつけて貰うか。
「……寒いから」
「それはもう言っただろ!……二人ともこいつを取り押さえろ」
「「応!」」
「なっ……お前ら止めろおおおお!」
しかしこの後俺は驚愕した。何故なら龍斗の長袖を無理矢理捲ると……
「……!?」
そこには無数の切傷があったからだ。




