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妹とは即ち胃痛の種

話の内容等により順番を変更しました

ある晴れた日の土曜日。俺はいつもよりも早い時間に目を覚ました。……と言っても起きたのは早朝で夜中ではないんだが。

 

 いつもだったら朝起きて飯食ったら直ぐに龍斗の家に行くが……この時間じゃ確実に連中は皆寝てるだろう。

 

 スマホでも弄って時間を潰すか?…いやベッドの上でスマホを弄っていると妹から確実に説教を食らうから弄るならベッドから降りようかな

 

 「……とかなんとか考えてはいたけどなんかするのはやっぱり面倒くさいし二度寝しようかな」

 

 一応言っておこう。俺は基本的に体を動かすことは好きだ。……でも寝起きでは正直あまり動かしたくはない。……正直好きなことすら面倒にさせる寝起きのローテンションは異常だと思う

 

 「……いや、でも二度寝したことがバレたらそれはそれで雪から説教だしな。……深夜に目が覚めたとかなら兎も角」

 

 そもそも俺が今日起きた時間は六時くらいだ。多分だが学生は大半がこれぐらいの時間に起きるのではないだろうか。いつも休みの日はだいたいあと二時間は寝てるんだが、まぁたまには早く起きるのは悪くはないだろう。

 

 「……取りあえず適当に着替えて軽い散歩でもしてこようかな。うん、多分これが最適解だ」

 

 三十分も外を歩けば目も覚めるだろうし、程々に運動にもなる。まさしく一石二鳥だな

 

 「……その前に一応雪の様子を確認しておくか」

 

 妹の様子を確認するために俺は隣の部屋に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は妹の部屋の扉の前に立ち、軽くノックをした

 

 「反応がないってことは寝てるのかな?」

 

 ……取りあえず中に入ってみるか。ありえないけど妹になにかあったら大変だしな。もし誘拐とかされてる感じだったら転移して犯人は半殺しだ

 

 「……我が妹よ、鍵ぐらい掛けておこうぜ」

 

 もしも泥棒とか不審者が入ってきたらどうするんだよ……お前は兄としての色目なしでも相当にかわいいんだからさぁ…襲われるぞ。……まぁそんな奴らの気配は感じた瞬間に半殺しだけどな。もしもマジで手を出した場合は慈悲なくぶっ殺す。その後異界に送ってやるから証拠は残らないし。

 

 「入るぞー……うん見事に寝てらっしゃる」

 

 取りあえず散歩に行ってくるっていう置き手紙でも置いておくか。

 

 「よっと」

 

 ほい完成。これくらいなら創造魔法を使えば一瞬で出来る。というか俺の持ってる『全能』ならたいていの物は一分もなく創れるんだけどな。

 

 「用件も済んだことだし、外に出ますかぁ」

 

 

 

 

 

 「風が気持ちいいな。それになんだか今日は夏にしては比較的涼しいし、多分今日早く目が覚めたのは折角だから散歩してこいって意味だったか」

 

 今はスマホで音楽でも聴きながら歩いているが、やっぱり暇なので必然的に独り言が多くなる。

 

 「……早朝散歩もいいものだな。明日からは早めに起きることを意識してみるか。……まぁ余裕で寝過ごしそうな気はするけど」

 

 こうして独り言を言いながら歩く。これも結構楽しいかもしれないな。今度龍斗も巻き込んでやろう。

 

 「というか気付いたらもう眠気が吹っ飛んでるな。なんだか大声で叫びたいけど流石に近所迷惑だし自重するけどな」

 

 こんな感じ時間を潰し、時には一人で芝居をして歩くこと数十分。気がつけば家まで戻ってきていた

 

 「もう家に着いてしまった。雪は起きてるかな?」

 

 俺が玄関の扉を開くと

 

 「あ、兄さん。おかえりなさい。今日は随分と早い起床でしたね」

 

 妹が迎えてくれた

 

 「おう、ただいま、そしておはよう。何故か今日は早くに目が覚めたんだよ」

 

 「そうだったんですか。あ、朝ご飯はもう出来てますよ。折角早くに起きたんですから今日は一緒に食べましょう」

 

 「……そうだな。俺っていつも起きるの遅いから朝をお前と一緒に食べることはあんまりなかったし」

 

 と言っても朝だけで昼と夜は普通に一緒に食べてるんだが


 「それじゃあリビングに向かいましょう!」

 

 余程嬉しかったのか妹は鼻歌を歌いながらリビングに向かった。……今はいいかもしれないけどいつかはこのブラコン治さないとマズいよな

 

 

 

 

 

 「いただきます。やっぱり雪の作る料理は美味いな。将来はいい嫁になると思うぞ」

 

 「本当ですか?それなら私を兄さんのお嫁さんに

 

 「無理」

 

 「酷い!」

 

 義理の妹ならもう少し考えたんだが、実の妹だぞ。流石に近親はアウトだ。

 

 「そんな冗談言ってないで話をしようぜ。」

 

 「冗談なんかじゃないです!私はいたって真剣に言ってます!」

 

 「冗談じゃないなら余計に駄目だ!俺達は実の兄妹なんだぞ!世間のことも考えてくれ!」

 

 「世間からの評価なんて愛の前では些細なことです!世の中には兄妹同士でエッチなことをしてるアニメだって

 

 「アニメと現実は違うんだよ!頼むよ、もうこの辺にしておいてくれよ!俺の胃痛がヤバイから!」

 

 本当にこれ以上は俺の精神が限界だ。というか単純に料理を褒めただけなのにどうしてこうなった!

 

 「むぅ……分かりました。それならこの話はもうやめます」

 

 「……ありがとう」

 

 取りあえず今日はこの精神的な疲れは龍斗を弄って癒やすか。

 

 「……お前は最近学校どうなんだ?」

 

 「特に変わったことはないです。友達とお話したりしてます。……それで兄さんは?」

 

 「俺も最近は特に変わったことはないな。お前と同じように友達と色々と話してるよ」

 

 まぁうちのクラスの連中は俺含めて全員異世界召喚されたせいで一般人と比べて化け物レベルの身体能力になってるが、慣れたから特に何もないってことでいいだろう

 

 「そうですか。……あの彼女などは

 

 「いるわけがない」

 

 「それなら私などはいかがですか!」

 

 「もうその話は終わっただろ!」

 

 もう終わった話をぶり返さないで欲しい。特にこの話は辛い。

 

 「そうでした。すみません」

 

 「……………」

 

 ヤバイどうしよう。後はどんな話すればいいんだろうか

 

 「兄さんが好きなお話でいいですよ?」

 

 あれ?なんか考えてること読まれてね?

 

 「兄さんの考えてることならだいたい分かりますよ?」

 

 「やめて!人の考えてることを読まないでくれ!」

 

 「表情に出てますから。兄さんの僅かな表情変化を確認できれば私には余裕なのです」

 

 「凄いな、将来はメンタリストにでもなればいいと思うぞ」

 

 「無理です。これはあくまでも兄さんに対してのみですので」

 

 ……ナニソレコワイ

 

 「それはそれとして、どんな話を聞かせてくれますか?私の知らない話でもいいですよ。分かるように勉強しますので」

 

 「わざわざ勉強しなくてもいいと思うんだが……」

 

 「いえ、兄さんとお話するためならどんなことにも全力でやるつもりなので」

 

 「……頭空っぽにしてゲームでもしようか」

 

 「いいですね。今すぐ始めましょう」

 

 「今すぐじゃなくて飯食い終わってからな、流石に飯食ったままゲームするわけにはいかないだろ」

 

 会話をしながらも食べていたが、まだ半分しか食べていない。ゲームをするのは残りを食べて片付けをしてからだ

 

 「それもそうですね。なら急いで食べましょう」

 

 別にまだ時間はあるんだしそんなに急がなくても良いと思うが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝飯を食べ終わって片付けをしてからは早速ゲームを始めた

 

 「う~む…ここはいったいどうすればいいんだ」

 

 「あ、兄さん!よく見たら右下の辺りになにか光ってます!」

 

 「マジで!?おぉ…本当だ。よく見つけられたな」

 

 「いえいえ、それ程でも。いったいあれはなんなんでしょうか?」

 

 「行ってみないとまだ分からないな、ほいジャンプ、ジャンプ。よし到着!え~っと『月の石』……このクエストアイテムこんな所にあったのか」

 

 月の石はとあるサブイベントを進めるために重要なアイテムだ。ネットではこのサブイベントは感動したという声も多い。

 

 「そのアイテムって重要なものなんですか?」

 

 「そうだな、メインストーリーを進める上には要らないんだが、とあるイベントを進めるために重要でずっと探してたんだよ。ありがとな」

 

 そうして俺は自然と雪の頭を撫でていた。……俺もひょっとしたらシスコンなのかもな。

 

 「に、兄さん!?いきなり撫でられるのは心の準備が!」

 

 ……日頃散々アピールしてくるのに突然撫でられるのは駄目なのか。

 

 「おっと悪かったな。嫌なら今すぐ引っ込める」

 

 「い、嫌じゃないですよ?むしろもっとやって下さい!」

 

 「……やっぱ引っ込める」 

 

 正直このままだとまたさっきの話に戻りそうだ。

 

 「あ…駄目です、引っ込めないでくださ

 

 言いきる前に俺は手を引っ込めた

 

 「むぅ……」

 

 目に見えて不機嫌になったがしょうがない。もうあの話はキツいのだ

 

 「そんな顔するなって……ほらこれやるから機嫌直してくれ」

 

 俺は瞬時に創造魔法でチケットを創って手渡した

 

 「そんな紙で私の機嫌は直りません!直したいならキスして下さい」

 

 「……その紙に書いてあることをしっかり見てみろ」

 

 「……中沢悠斗を一日だけ好きに出来るチケット?…あの、これってつまり……?」

 

 「そうだ。期限は来週の土日の間。使える回数は一回。つまり来週のどっちかだけは一日中なんでも付き合ってやるってことだ。常識的な範囲でだけどな」

 

 そう説明した途端に妹の表情は明るくなった。

 

 「ほ、本当にいいんですか?こんなもの貰ってしまったら我儘が止まらなくなりますよ!?」

 

 「オッケーオッケー、男に二言はない!ただしキスとかは駄目だ!」

 

 「そんなご無体な!そんなことを言われたら私のしたいことの七割は出来ないです!」

 

 危ねええええええええええ!七割もあったのかよ!

 

 「……もう本当にそういうのは勘弁して下さい。胃痛が…胃痛が…」

 

 「……分かりました。」


 ようやく納得してくれた。本当にありがたい。ところで雪の予定は何かあるのかな?

 

 「ありがとう……ところでお前は何か予定はあるのか?」

 

 「いえ、予定といえることは特にありません。強いて言うならお留守番ですね」

 

 「俺はいつも通り龍斗の家に行こうと思ってるんだが……」

 

 「はい、分かってます。でも龍斗さん達と一緒に遊ぶのもいいですけど、出来るだけ早く帰ってきて下さいね?やはり一人だと寂しいので」

 

 ……冷静に考えると俺の家は両親が二人とも海外に出張してる、それにそもそもこいつは学校で話す友達は一応いるらしいが人付き合いがあんまり得意ではない、だから休みの日の雪は必然的に一人になってるわけだ。悪いことをしてたな……あ、そうだ

 

 「それなら今日はお前も一緒に来いよ、三人ともいい奴らだから多分お前のことも受け入れてくれると思うぞ」

 

 「いえ……気持ちは嬉しいですが皆さんの迷惑になりそうなので……」

 

 「おい中学生、遠慮なんかしないでもいいんだよ。それぐらいなら人に迷惑掛けてなんぼだ、だから来い」

 

 そして俺はスマホを取り出し結果は見えているが、ナインで『起床したら返答求む、今日は妹も連れてきていいか?』と聞いてみた。

 

 返答は早いもので龍斗以外の二人からは直ぐに分かりきった返答が来た。龍斗は単純に今は寝てるのだろう

 

 「ほら見てみろ!少なくとも一也と准の二人は快く了承してくれてるぞ!それに龍斗だって起きたら同じ返答がくるさ!」

 

 「……本当にいいんですか?」 

 

 「当たり前だろ。俺が嘘ついた事なんて今まであったか?」

 

 「ごめんなさい。結構あると思います」

 

 即答かよ!

 

 「……まぁいい、今回は絶対に嘘じゃない、これが嘘だった場合来週のチケットの効果に背徳なのもオッケーにしてやる」

 

 だって本当だしな。嘘じゃないからな。え?フラグ?『全能』をなめるんじゃない。フラグなんて余裕でへし折れる

 

 「マジですか!?」

  

 「マジだ、マジ」

 

 「言質は取りましたよ!だから誤魔化さないでくださいね?」

 

 「誤魔化さない誤魔化さない。ほらまだまだ時間は残ってるからゲームの続きをするぞ、気付いたことがあったら言ってくれ」

 

 「はい!了解しました!」

 

 そしていつもの時間までゲームをした。途中でナインの音がしたので見てみると龍斗からもオッケーという返事が来た。……あぁ本当にいい奴らだなあいつらは。うん、こいつらのことは一生大切にしよう。

 

 そんなことを考えているうちに時間になった。

 

 「うっし!そろそろ時間だ。準備は出来たか?」

 

 「はい!しっかりと!」

 

 「ならいい、じゃあこれから出発だ。まぁ隣に行くだけだけどな」

 

 こうして俺達は龍斗の家に向かった。

 

 ―――この時の俺は龍斗に向かって冗談抜きで怒ることになるとは思っていなかった

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