二時間目を待ちながら(43)
ある日。二時間目を待ちながら。
心春が夏海の所にやってきました。
「おはよう、夏っちゃん」
「おっ、心春。おはよう」
「夏っちゃん。千歳飴って知ってる?」
「知ってるよ。どこ切っても同じ模様の長細い飴やろ? 七五三とかで見たことある」
「そうそう。千歳飴ってすごいよね。おっきいよね。かぶりついて食べる飴なんてなかなかないよ」
「せやな。でも、かぶりつけるって言うたら、ペロペロキャンディーもあるで」
「あっ、そうだね! 一度かぶりついてみたいなぁ」
「うちはやっぱり舐めて食べてみたいな。ほら、『ペロペロキャンディー』って言うくらいやから」
「今度見つけたら挑戦してみない?」
「せやな。挑戦? してみよ」
そこに千秋がやって来ました。
「おはよう」
「あっ、ちーちゃん」
「おっす、千秋」
「何? ペロペロキャン? ディ? って」
夏海が言いました。
「区切るところ間違えてる。ペロペロキャンディー知らんのか?」
千秋は頷くと、心春が説明しました。
「丸くて、大きくて、ぺったんこで、グルグルのやつだよ」
「グルグル? 妖怪?」
「違うよ、キャンディーだよ。妖怪じみてるけどキャンディだよ。見たら『あっ、これか』って分かると思うんだけど」
「千秋も一緒に店に探しに行くか?」
千秋が頷きます。
「でも、私、お店とか、あまり、行った事ない」
「店の案内も兼ねてうちが連れて行ったるで」
「私も知ってる所は案内するよ」
「じゃ。行く」
「よし、決まりや。今週の金曜日の放課後とかは、どう?」
「私は全然いいよ!」
「私も。大丈夫」
「じゃ、その日に決定!」
言いにくそうに千秋が言いました
「あの、」
「ん? どうした、千秋? まだなんか心配な事でもあるか?」
「『妖怪』じゃ、ないけど、『化け物』だった、って言うことは?」
「違うって! キャンディーやって! なんで心配やねん!」
「あっ。違うよ、夏っちゃん。ちーちゃんには見えるんだよ!」
「見えるって、まさか」
「フッフッフッ、実はちーちゃんは・・・・・・ なーんて、嘘、嘘」
「まさか、さすがの千秋でもそこまではないやろ?」
千秋はいつものたどたどしさで言いました。
「う、うん。多分」
真実がはっきり分からなくて、微妙な空気になりました。
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




