二時間目を待ちながら(42)
ある日。二時間目を待ちながら。
千秋が冬菜の所にやってきました。
「あっ、千秋さん、おはようございます」
「おはよう」
「今日はどうしたんですか? 教科書忘れたから借りに来たとかでしょうか?」
千秋は首を左右に振りました。
「何と、なく」
「そ、そうですか。そう言えば、千秋さんとは高校に入ってクラスが別れてから、中学の頃みたいに一緒にいる事が少なくなりましたね。あの時はずっと一緒でしたから」
千秋は無言で少し頷きました。
「でも千秋さんとはずっと友達ですよ! これからもずっと!」
「分かってる」
冬菜は力んで言いましたが、千秋はボソッと言いました。
「あの、千秋さん。クラスで新しい友達は出来ましたか?」
「新しい、友達?」
「はい」
千秋はしばらく無言の後、言いました。
「人間で?」
「え!? もっ、もちろんです! 他に何があるんですか!?」
千秋はしばらく無言の後に言いました。
「友達か、どうか、分からないけど、話せる、人は、いる」
「そうですか。その人が新しい友達じゃないですか? どんな人ですか?」
千秋はまた、しばらく無言の後に言いました。
「普通、かな?」
「普通、ですか? それだけだと分かりづらいです・・・・・・」
「特徴らしい、特徴が、ない」
「そ、そうですか。あっ、もしかして男の子、とか?」
千秋は首を左右に振りました。
「多分、女」
「た、多分って何ですか!?」
「自分の、こと、いつも、『ボク』って、言っている」
「そうなんですか? ボーイッシュな人ですか?」
千秋は首を横に振ります。
「ロンゲ」
「ロ、ロンゲって男の人に使う言葉ですよ!? やっぱり男の人なんじゃ・・・・・・」
「多分、女」
「多分、って。セーラー服、着てますか?」
「うん。でも、セーラー服は、男性でも、着る人が、いる」
「いっ、いません! え? あれ? でも、もしかして女装していたり?」
「私も、調べた、訳じゃ、ないから、はっきりとは、分からない」
「何か女の子として不自然な所とかないですか?」
「サッカー、好き」
「サッカー好きな女の人はたくさんいると思います! もっと他に明らかに不自然な所とかはないですか?」
千秋はしばらく無言の後、言いました。
「そういえば」
「そ、そういえば?」
「大きい」
「大きい? 体つきが男性みたいにごつごつしていて大きいんですか!?」
「胸が」
「え?」
「同じ、高校生とは、思えない。あれは、不自然」
「そ、それはでも、決定的に女の子ですよね?」
「あの、大きさは、絶対に、不自然! 不自然、だっ!」
「あの…… 聞いてますか? 私の話……」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




