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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
41/45

二時間目を待ちながら(41)

ある日。二時間目を待ちながら。


心春が冬菜の所にやってきました。

「おはよう、ふーちゃん」

「あっ、心春さん。おはようございます。心春さん。聞いてください」

「何?」

「昨日ハレー彗星を見たんです!」

「おっ、やったぁ! で、何かお願いしたの?」

「それが一瞬で消えてしまって」

「そうだよね。ハレー彗星ってすぐに消えちゃうよね。意地悪だよね。でも見れただけでも運が良かったね」

「はい。一瞬でしたけど、すごく綺麗でした」

「ちなみに、ふーちゃんはなんてお願いしようとしてたの?」

「えっと、『みんなが幸せに暮らせますように』って」

「へぇ、偉いね。ふーちゃん。でも長いよ」

「え? 長いですか?」

「うん。すぐに消えちゃうでしょ?」

「心春さんでしたらどんなお願いしますか?」

「私だったら、えっと、お願いしたいことはいっぱいあるけど、一瞬で消えてしまう事を考えて、短く『幸せ!』ってお願いするよ」

「『幸せ!』・・・・・・ って、お願いするんですか?」

「そうだよ」

「お願いというより、現状報告みたいですけど」

「だって短くしないと消えちゃうでしょ? ふーちゃんも次にハレー彗星を見た時の為に、短いフレーズで考えておいた方がいいよ」

「それでは、私も『幸せ』ってお願いします」

「うん。後、ハレー彗星は続けざまに現れる時があるからいくつか考えておいた方がいいよ」

「次のお願いですか? 次は『平和』でしょうか?」

「おぉ、平和! ついでにもう一つ」

「それでは、ええと、その、『勇気』でしょうか? いつでも勇気が持てるようにと」

「じゃ、続けて言ってみて」

「幸せ。平和。勇気」

心春は力強く言います。

「もっと強く!」

「え、えっと。幸せ! 平和! 勇気!」

「そう。言えたね、ふーちゃん」

「え? どういう事ですか?」

「ハレー彗星に頼らなくても、ふーちゃんの望みは力強く声に出すと、きっと叶うようになるよ」

「そ、そうですか? でも声に出してみると、現実に叶うような気がしてきました」

「でしょ? 幸せ! 平和! 勇気!」

心春が言うと、続けて冬菜が言いました。

「幸せ! 平和! 勇気!」

心春は勢いあまって拳を上げて叫びます。

「おぉー!」

すると二人は一気に教室中の注目を浴びてしまいました。

心春はしばらく手を挙げたまま固まっていましたが、気を持ち直して言いました。

「えっと、じゃ、ふーちゃん。幸せ、平和、そして勇気だよ。頑張って!」

心春は自分の席に戻って行きました。

冬菜は一人自分の席に座ったまま、まだみんなの注目を浴びており、ずっと赤面しています。

「ゆ、勇気ですよね? 心春さん……」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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