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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
40/45

二時間目を待ちながら(40)

ある日。二時間目を待ちながら。


心春が冬菜の所にやってきました。

「おはよう、ふーちゃん」

「あっ、おはようございます」

心春は冬菜の机の上を見ると、おにぎりの絵の下敷きがありました。

「あれ、ふーちゃん。これ、おにぎり?」

「この下敷きですか? はい。おにぎりです」

「おぉ! ふーちゃんもおにぎり好きなんだ?」

「え? そうですね。おにぎり好きですよ?」

「ちょっと待っててね」

「はい」

心春は自分の席に戻って、黄色い分度器を持ってきました。

「見て、ふーちゃん!」

「えっと、分度器ですか?」

「うん。黄色いでしょ?」

「はい。珍しいですね」

「何かと似てない?」

「何か、ですか?」

冬菜は下敷きと分度器をじっと見て考えます。

「ほら、お弁当に持って行く食べ物といえば、おにぎりと?」

「梅干し? ですか?」

「おしい! 梅干しもいいけど、黄色くてカリカリする物といえば?」

「あっ、たくわんですね?」

「正解! ふーちゃんのおにぎりと私のたくわんがあれば、もうどこでも行けちゃうよ」

冬菜はクスクスと笑って言いました。

「そうですね。どこでも行けますね」

そこに夏海がやってきます。

「おはよう」

「おはよう、夏っちゃん」

「おはようございます」

「何?『どこでも行ける』って、どっか行くの?」

心春が分度器と冬菜のおにぎりの下敷きを持って言いました。

「これとこれさえあれば、どこでも行けるね、っていう話をしてたの」

「その分度器とその下敷きがあれば、どこでも行ける?」

心春が『うん』と頷きます。

「あぁ、分かった。分度器で方角測って、下敷きで煽りながら空飛んで、どこでも行けると言う訳か?」

心春が説明します。

「具体的に行くんじゃなくて、気分的に行くんだよ」

「そりゃそうやろう? 実際に分度器で方向を測れれへんし、下敷きで空飛ぶって、もはや論外やん」

「夏っちゃんが言ったんだよ?」

「え? うちの推測間違えてた?」

「全然、違う。全然」

「なんで『全然』二回言うたん? でも何? 分度器と下敷きでどこでも行ける? どういう事?」

冬菜がアドバイスしました。

「夏海さん。ヒントはこの下敷きの絵と、分度器の色と形に隠されています」

「下敷きの絵? おにぎりか? それから分度器の色と形? ん?」

悩み続ける夏海を見かねて、心春は正解を言いました。

「夏っちゃん、答えは『たくわん』だよ」

「たくわん? おにぎりとたくわん?」

心春と冬菜は頷きます。

「それがヒントなん?」

「違うよ。答えだよ」

「え? それでどうやってどこでも行けるようになるの?」

心春と冬菜が言います。

「だから『気分的に』」

「クイズみたいに言うと分かりにくいですよね。かなり飛躍していますが、おにぎりとたくわんがあれば、遠足みたいに、どこかに出かける気分になりそうで」

「うん。言いたい事は大体分かった。でも納得できん。だって水筒がないやん」

心春が言いました。

「だから『気分的』にだって」

夏海が断言します。

「水筒が無かったら気分も乗れへん!」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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