二時間目を待ちながら(37)
ある日。二時間目を待ちながら。
心春が写真を見ていました。そこに夏海がやって来ます。
「心春、何見てるの?」
「写真だよ」
「写真?」
心春は写真を夏海に見せます。
「朝日? 全部、朝日なん?」
「ううん。朝日じゃなくて、夕日だよ」
「夕日か。なんでこんな写真ばっかり持ってんの?」
「夕日を撮るのが趣味なの」
「趣味? 夕日の写真撮るのが?」
「うん、そうだよ。家に帰ったら、夕日が見える時間に写真を撮りに行くの。夕日って何か物寂しげだけど、同時に強いエネルギーを感じたりもするの」
「ふーん。心春の感性はちょっと独特やな・・・・・・」
「ほんとはね、朝日も撮ってみたいんだけど」
「朝、起きられへんと?」
「正解!」
「他に何か撮れへんの?」
「最初は色々撮ってたんだけど、今は夕日にはまっちゃって」
「『夕日にはまる』って、なんかちょっと、かっこいいな」
「気がついたら夕日を撮るようになってたの。こういうの、なんていうのだろう? つまり」
「無理して言わんでいいよ」
「そう、夕日がね、私を呼んでるの。呼んでるんだよ?『おーい、心春!』って」
「もう、かっこいいを通り越して・・・・・・」
「プロとか?」
「病気やな」
心春はガクッと肩を落とします。
「いや、冗談やで」
「まぁ、ちょっと大袈裟に言ったけど、結構、素敵だよ」
「心春の口から『素敵』かぁー。ふ~ん、今日も行くの?」
「行きたいんだけど、昨日雨が少し降っていたでしょ? 体操服がまだ乾いてないと思うの」
「え? 体操服で写真撮ってんの?」
「うん。そうだよ」
「素敵やわ」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




