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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
35/45

二時間目を待ちながら(35)

 ある日。二時間目を待ちながら。


心春と夏海と冬菜の三人がいました。心春が冬菜に言いました。

「ふーちゃん、この前ね、夏っちゃんと山に登ってきたの」

「山ですか! すごいですね、お二人とも」

夏海が言いました。

「山言うてもハイキングみたいな低い山やけどな。うちら二人とも実は山好きで時々登るねん。うちは気分転換に、心春はダイエットのために」

心春がすかさず言います。

「ダイエットのためじゃないもん! 自然を味わうためだもん」

「そっか。でも心春、山歩いたからちょっと痩せたんとちゃうか?」

心春は嬉しそうに言いました。

「え? ほんと? どのあたりが? どこ?」

「腰とか引き締まったんとちゃう?」

「そう? 痩せた? そう見える?」

夏海が冬菜に説明しました。

「と、まぁ、こんな風に。小春はダイエットのために登ってるみたいやねん」

「ひどい、夏っちゃん!」

「心春が正直に言わへんから」

「でもでも、私、ほんとにちょっと痩せたと思わない?」

心春はくるりと一回転すると、夏海が言いました。

「そうなん?」

心春はガクッと膝を付きました。夏海は冬菜に尋ねます。

「冬菜も一回登ってみる?」

「あっ、はい。是非。でも、体力が少し心配です」

「しんどい時もあるけど、ゆっくり登ったら大丈夫やから」

「はい。登る前に、少し練習をしておきます」

「練習? どんな?」

「えっと、そうですね。例えば・・・・・・ あっ、滑り台を下から上に登っていくとか」

「パンツ見えるで?」

「せ、制服のままでは練習しません! ちゃんとジャージに着替えます」

「一人でジャージに滑り台、それも恥ずかしいで? しかも危ないし」

「それでは、ジャングルジムで」

「あんまり山登りと関係ないような」

「そうですね。困りました。砂場で山を作っても、小さすぎて練習にならないでしょうし」

冬菜は、自分で作った砂山を一またぎで簡単に越えてしまう姿をイメージして、何だかおかしくて笑ってしまいましたが、

「公園以外の場所はないのか!」

夏海にツッコまれて慌てました。

「す、すみません! 公園以外は車とか自転車とか危険がいっぱいで」

「ビビリ過ぎや! でも、特に練習せんでも大丈夫やって。ゆっくり登ろ」

冬菜が笑顔で答えました。

「はい。お願いします」

夏海は心春に言いました。

「じゃ、決定やな。なぁ、心春。今度三人で登ろ」

心春が頷いて言います。

「了解! でも、何グラムかは減ったんだよ?」

夏海は首を傾げます。

「何が何グラムなん?」

冬菜が夏海の耳元で囁きました。

「あの、体重の話だと思います」

「まだその話してるの!?」

夏海は驚いたものの、すぐに気を取り直し、心春を気遣います。

「うん、まぁ。ほんま体重減ってると思うで」

冬菜も続けます。

「はい。夏海さんの言う通り、体重減ってるように思います」

夏海が少し面倒くさそうに繰り返しました。

「減ってる、減ってる。体重、ほんまに。体重減ってるよ」

心春は怒って言いました。

「もう! 『体重、体重』って、私どんなに太ってるの! って思われるじゃない!」

夏海は心春のお腹を指して言いました。

「どんなに太ってるって、こんなに太って・・・・・・」

冬菜は慌てて夏海の口を手で塞ぎます。

「なっ、夏海さん!」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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