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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
33/45

二時間目を待ちながら(33)

 ある日。二時間目を待ちながら。


 心春がシャーペンの上に付いている鎖付が付いたマスコットキャラクターをクルクルと高速で回していました。夏海がやってきます。

「何回してるの? 心春」

心春は回すのを止めて夏海にシャーペンを見せました。

「ほら」

鎖の先には雪だるまのキャラクターがあります。

「私のお母さんの実家が山形なんだけど、この前、サクランボと一緒にこのシャーペンも送ってくれたの」

「ふーん。ええなぁ。サクランボかぁー」

「これはシャーペンですけど」

「見たら分かるよ」

「このシャーペン、いいでしょ? すごく気に入ってるの」

「山形県って言うたら、すごいんやろな?」

「うん。すごいらしいよ。体の半分以上が埋まる事もあるんだって」

「へぇ、すごいな。サクランボ」

「え? 雪だよ」

「雪? そうか。雪も多いやろからな」

「うん」

「ちょうど今頃なんや?」

「7月だから雪なんて降らないよ」

「雪じゃなくて」

「え? あっ、サクランボの事? そうだね。今頃だと思う」

「ふ~ん、今頃か。食べ頃かぁ。そっかぁー」

心春はちょっと呆れた顔で夏海を見ました。

「実はね、夏っちゃんにもサクランボ食べてもらおうと思って・・・・・・」

心春の会話の途中でしたが、夏海が割って入ります。

「え? そうなん? いや、なんか悪いわ~。ほんまにええの? うちサクランボ大好きやねん! もしかして知ってた? ありがとう!」

「持ってきたんだけど。好きなのも知ってたから。でも、なんとなくその気が薄れてきてるような・・・・・・」

「おっ! 心春! そのシャーペンめっちゃいいやん! 雪だるまめっちゃかわいい! ええなぁ! 羨ましいわ! 心春、羨ましい!」

夏海はわざとらしくシャーペンを褒めました。心春の目が更に細くなります。

「いいよ。そんな不自然な」

「いやいや、悪い。心春はシャーペンの話をしたかったんやもんな? ええと、そのシャーペンはすごいわ。うん、すごい」

「ほんと?」

「うん!」

「どの辺が?」

「『どの辺が?』ときたか。どの辺やろな? まぁ、その雪だるま、っぽいやつ?」

「雪だるまだよ」

「その雪だるまが、なんて言うか、上手に作られてると、思うわ」

「へんてこな顔がなんか面白いでしょ?」

「へんてこな顔? そうなん?」

ここにきて、ようやく夏海はシャーペンをしっかりと見ました。

「あれ? ほんまやん! めっちゃ、かわいいやん!」

「だから、さっきから言ってるでしょ?」

「ほんまかわいい! っていうか、顔が面白~い!」

「でしょ?」

「なんか、うち、サクランボいいから、このシャーペン欲しくなってきた!」

とても嬉しそうに夏海は心春の顔を見ながら、また同じ事を言いました。

「欲しくなってきたぁ!」

「え? ほんとに言ってるの?」

「うん。ほんまに欲しい」

一瞬、心春は沈黙してから言いました。

「だ・・・・・・ 駄目だよ!」

「いいやん! 心春のケチ!」

「ケ、ケチじゃないもん! サクランボを食べてもらおうと思って持ってきたもん!」

「サクランボは今回、我慢する! このシャーペンのために我慢する!」

「駄目だよ! 夏っちゃん! これ私のだよ! あげないよ!」

「だっ! だって! 心春がうちにこんなかわいいもん見せるから悪いんやん!!」

「ぎゃ、逆ギレ!?」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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