二時間目を待ちながら(31)
ある日。二時間目を待ちながら。
夏海と心春、冬菜が話していました。
「田舎って最近、見直されてるらしいな」
夏海が言うと心春が尋ねました。
「へぇ、どうして?」
「う~ん、都会におる人たちには、田舎って懐かしいと感じる風景なんかもな。時間に追われることも少ないやろし」
「この辺もどっちかって言うと、田舎だよね?」
「せやな。田んぼや畑が結構あるもんな」
冬菜が嬉しそうに言いました。
「おかげで地元の野菜や果物がたくさん食べられますね」
「まぁな。無人販売とかもあるしな。でもスイーツがな~。おいしいスイーツの店やったら都会の方がいいんやろな~。あと、服も。都会の方がいいな~。あ~、都会に行ってみたい!」
「夏っちゃん。田舎が見直されてる話をしてたのに、いつの間にか都会がいいって話になってるよ?」
「ホンマやな。でも、うちはやっぱ、都会に憧れてしまうわ」
冬菜が頷いて言いました。
「どちらも魅了的な所がありますものね」
「ふーちゃんはどっちが好きなの?」
心春が冬菜に尋ねます。
「え? 私ですか? ええと、そうですね、私も都会には惹かれますが、のんびりしている田舎の方が私には合うような気がします」
「私も田舎かな? でも、都会にも行ってみたいな。う~ん、どっちだろう?」
悩む心春に夏海が言いました。
「まだ先やけど、この学校を卒業したら、この田舎に残るか、都会に行くか、決める事になるやろうな」
「そうだね」
「そうですよね」
心春が言います。
「もし離ればなれになっても、私達はこの地球上のどこかにいるんだから、連絡は取り合おうね!」
「あ、はい。でも心春さん、まだ先の話ですよ?」
「せや。気が早すぎるぞ、心春。早くうちらとおさらばしたいんか?」
夏海がいたずらっぽく言いました。
「違うよ! 夏っちゃんの意地悪」
「あはは。でも心春は地球上におれへんかも知れへんで。火星とかに行ってたりして」
「え? 私、NASAの火星探査員になってるの? すごくかっこいいね、それ!」
「いや、心春が火星に行くとなれば、宇宙人に仲間と間違われて連れて行かれるしかないかな?」
「なんで私が宇宙人なの!」
心春が両手を挙げて怒って言うと、夏海は笑います。ふと冬菜が不安そうに言いました。
「心配な事が一つ、あるのですが・・・・・・」
心春が寂しそうに言います。
「心配は嬉しいけど、一つだけ?」
「火星って携帯の電波が届くのでしょうか?」
「しかも、そこ?」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




