二時間目を待ちながら(30)
ある日。二時間目を待ちながら。
夏海が心春の所にやってきました。
「最近、風邪が流行ってるらしいな」
「みたいだね。朝のニュースでも言ってたよ。『風邪にご注意ください。ハックション!』って」
「キャスターが風邪ひいてるやん。心春は大丈夫なん?」
「うん。今の所はね。毎日、帰ったらうがいしてるもん」
「うちもやわ。うがいは大事やな」
「そうそう。私ね、一回のうがいで結構息が長く続くんだよ」
「ふーん」
「最初はすぐに息が切れたけど、毎日繰り返すうちに結構長い時間、うがい出来るようになったんだ」
「へー、それは良かった」
「夏っちゃん。良かったと思ってないでしょ?」
「いや、まぁ。やっぱ、うがいは長くした方がいいかも知れんけど、無理にしたら逆に体に悪いんとちゃう?」
「うがいの自己ベスト記録を超えたいと思わない?」
「え? 何?」
「自己ベスト記録」
「聞こえてはいるけどな。自己ベスト記録? まさか心春、うがいする時、時間測ってるの?」
「もちろん!」
「もちろん?」
夏海は感心していいました。
「・・・・・・アホ?」
「しかもタイムウォッチでだよ!」
「『しかも』の意味も分からんし」
「うがいをする前に何度か深呼吸して、水を口の中に入れます。そして大きく大きく鼻で息を吸ってタイムウォッチをスタート! 同時にガラガラとうがいをします」
「それ面倒臭いなー」
「うがいはもともとちょっと面倒だから、せめて楽しんでやろうと思って」
「それ、楽しい?」
「うん。やってみたら、結構楽しいよ」
「あぁ、そう。なんか羨ましいわ」
「じゃ、夏っちゃんもやってみる?」
「いいです」
「そう? 楽しいのに。でもこれをするのに、一つだけ問題があるの」
「え?」
「息が続くまでうがいをするんだけど、ギリギリまでするから、むせてしまって、うっかり飲んじゃう事があるんだよね~。ド・ン・マ・イ!」
「『ドンマイ!』じゃない! 汚いわ!」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




