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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
27/45

二時間目を待ちながら(27)

 ある日。二時間目を待ちながら。


 心春が夏海の所にやってきました。

「夏っちゃん。昨日はありがとう。助かったよ」

「あぁ、靴ね。いいよ、そんな何度もお礼言わなくても。予備の運動靴があったからな」

「夏っちゃんは用意周到だね」

「そんな時のための用意じゃないけど。でも探したけど、結局、靴は見つかれへんだな」

「うん」

「一体どこに飛ばしたねん?」

「う~ん」

「ほんまに悩んどるな」

心春は急に明るい声で言いました。

「もしかして、月まで飛んでいったのかな?」

「あぁ、もう現実逃避? 靴は諦めたんやな?」

「諦めてないよぉ」

「うん。じゃ、仮に靴が月まで飛んで行ったとして、それをどうやって取りにいく?」

「やっぱり止めよう、その話。そんな気分じゃないし」

夏海が驚いて言いました。

「心春が話を振ったんやろう!」

「普通、月まで飛ばないし」

「だから、心春が!」

「絶対どこかにあるはずなんだよ」

「何気にスルーしたな」

「誰かが拾ってくれたのかな?」

「誰が靴を、しかも片方だけやのに、拾ったりする?」

「うん。どこかの心優しい人が届けてくれたりしないかな?」

「まぁ、そんなに靴が大事やったら、もう天気予報を靴飛ばしなんかで占ったりせえへん事やな」

「どこかの心優しい人が届けてくれたりしないかな?」

「なんでその台詞を引っ張るねん? 期待してるんか? まさかシンデレラみたいな事を・・・・・・」

「まさか。だって白馬の王子様が学校までやってきたらおかしいでしょ?」

「王子様? 心春の話自体、もうすでにおかしいわ。現実逃避、第二弾やな」

冬菜がやってきました。

「あの、心春さん」

冬菜の手には、片方の靴がありました。

「これ、今、千秋さんが持ってきてくれたのですけど」

「あぁ!」

心春が驚きと喜びの声を上げました。

「心春さんのですね?」

「うん! そう、そう! 私の靴だよ! ありがと~」

「いいえ、お礼は千秋さんに言ってあげてください」

夏海が言いました。

「そっか、じゃ、千秋が心春の王子様やな」

冬菜がキョトンとして言いました。

「え? 王子様? 千秋さんが? 心春さんの?」

「靴を見つけてくれた人やからな。なぁ、心春?」

「え? うん。そうだよ。ちーちゃんは王子様だよ。その・・・・・・『一日王子様』だよ」

冬菜は首を傾げます。

「一日王子様? 一日だけ王子様?」

夏海が言いました。

「男子じゃ無かったから、急に時間を限定したな」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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