二時間目を待ちながら(24)
ある日。二時間目を待ちながら。
夏海の前を、紙飛行機が横切りました。
「わっ、何? 紙飛行機?」
夏海が周囲を見渡すと、教室の入り口に、千秋が紙飛行機を飛ばした最後のポーズのまま、立っていました。
「千秋が飛ばしたんか?」
千秋はスタスタと飛ばした紙飛行機を取りにいくと、今度は夏海の所にやってきました。
「どう?」
「『どう』って、言われても」
「飛ばして、みる?」
千秋は夏海に紙飛行機を差し出します。
「え? いや、ええよ。別に」
「そう?」
「なんで紙飛行機なん? クラスで流行ってるんか?」
千秋は左右に首を振りました。
「私だけ」
「そ、そうなん?」
「これ、飛ばすと、面白い」
「紙飛行機やったら、うちも作るの結構うまいで。子どもの時よく作ったからな」
「やっぱり」
「やっぱり?」
「そんな、気が、した」
「そんなオーラあんの? うち」
千秋はこくりと頷きました。そして千秋は夏海をしばらく見つめていました。
「あ? 何? もしかして、作って欲しい、とか?」
千秋はまた頷きました。
「いい?」
「まぁ、ええけど」
「ほんと?」
「うん」
無表情の千秋の顔に一瞬、子どものように喜んだ表情が見えました。
「ありがとう。お礼に、これ、あげる」
千秋は夏海に紙飛行機を差し出しました。
「いや、別にいらんで」
千秋は夏海の机に紙飛行機を置いて、自分のクラスに戻って行きました。
「千秋も、心春みたいに子どもやからな」
夏海がつぶやくと
「はい? 何か言った、夏っちゃん?」
近くにいた心春が反応しました。
「いや、独り言や」
夏海は何気に、千秋が置いて行った紙飛行機を見ていました。
「ん? え? これ、すごい上手やん! めっちゃ細かく作られてるやん! うち、こんなん作られへんで!」
夏海は見事な紙飛行機を見て驚いていました。
「何? どうしたの? 夏っちゃん」
心春がまた尋ねました。
「いや、スマン。今のも独り言・・・・・・」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




