二時間目を待ちながら(20)
ある日。二時間目を待ちながら。(20)
心春が自分のお腹を何度もつまんでいました。そこに夏海がやってきます。
「おっ、なんや? 心春。今日は自分の腹で遊んでるんか?」
「そうなの。って違うよ、夏っちゃん。最近また太りだしたかな~、て思って」
「心春は甘い物好きやからなぁ~。太っても仕方ないかな?」
「う~ん。そうなんだけど。胸とおしりのあたりがいっつも窮屈なの」
「嫌味か、それは!」
「そして、ついでに、お腹も」
「そうかぁ? 心春はそんなに太ってるようには見えへんけどな」
「制服着てるからだよ。最近絶対太ってきてるの。スカートがちょっときついんだもん」
「気にしすぎやと思うけどな。最近で何キロ増えたん?」
「測ってないよぉ」
「後で体重計に乗ってみるか? 保健室で貸してくれるで」
「体重計!? 体重が増えたかも知れないと思う人にとって、あれは処刑台だよ!」
「体重計は体重計!」
「はぁ~。ダイエットしなきゃ……」
「ダイエット? 心春が? 無理、無理。三日坊主、いや、三日ももてへんな」
「なんとかして、四日は頑張りますよ」
「四日でも一緒や! まぁ、ダイエットするんやったら、毎日続けられる事がええな」
「毎日? 例えば?」
「せやなぁ。まぁ、毎日じゃないけど、うちは二日に一回はジョギングしてるで」
「え! そうなの?」
「せやで」
「すご~い!」
「まぁ、中学の時、陸上部でほぼ毎日、朝練で走ってたからな。習慣みたいなもんかな」
「だから夏っちゃん、運動神経抜群なんだ?」
「抜群じゃないけど、好きやな。せや、心春も一緒に走ってみるか?」
「う~ん」
「最初は心春のペースに合わせたるで。走ると体の余分な物がそぎ落とされる感じがして気持ちええで」
「余分な物?」
「うん」
心春はふと夏海のやや小ぶりな胸と、小さなお尻に視線が行きました。
「(余分な物?)」
「心春?」
「はい?」
なんとなく夏海の背中に怒りのオーラがあるように見え、心春は恐怖を感じました。
「今、うちの胸とお尻見たやろ?」
「い、いえ! み、見てません! お、お代官様、お許しを~!」
「問答無用や!」
夏海が両手をグーにして心春のこめかみにぐりぐりと押し付けました。
「痛~い! ごめん! 夏っちゃん!」
「ジョギングしてる人でも、胸もお尻も大きい人いっぱいおるわ! たまたまうちが小さいだけで、悪かったな~!」
「違うの! 夏っちゃん! ほんとに痛いから! 許して~!」
※しばらくしてお待ちください。
「しゃーないな。許したるわ」
心春は涙目で頭をさすりながら言いました。
「散々やった後だよぉ~」
「まぁ、でもそんなにお腹の事は気にせんでもええと思うで。今のままで、心春は十分かわいい、って」
「えへへ、ありがとう。夏っちゃんもだよ」
夏海の頭グリグリ攻撃が再開されました。
「痛~い! なんでぇ~!?」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




