二時間目を待ちながら(19)
ある日。二時間目を待ちながら。
心春が夏海の所にやってきました。
「ねぇ、夏っちゃん。昨日テレビでやってた爆弾の特集、見た?」
「爆弾の特集? なんか物騒な番組やな」
「魚雷が近づいてくる戦艦に水中で爆発するの。ドカーン!」
「ふ~ん。なんでそんな番組見たん?」
「たまたま、テレビ付けたらやってたの。それから、お風呂に入ろうとしたんだけど、入ったら魚雷がドカーンて爆発するんじゃないかなって心配になって」
「魚雷がねぇ……」
「夏っちゃんもプールで泳いでいて、いきなりドカーンって爆発したらびっくりするでしょ?」
「びっくりするだけで、済んだらいいけど」
「夏っちゃんがもし、海に入ろうとして、みんな普通に海で遊んでいるのに、夏っちゃんだけ水に入った途端、ドカーンってはじき飛ばされたら、びっくりすると思うの」
「待って。なんでうちだけ海に入った途端はじき飛ばされるの? それやったら海に入っている人、みんな吹っ飛ばされるやろ?」
「ううん。その魚雷は賢いんだよ。狙った獲物しか爆発に巻き込まないの」
「だから、なんでうちやねん!」
「例えば、だよ。でも、もし夏っちゃんが世界中を敵に回して、命を狙われる事になっても、この私が—― 」
「まずそんな状況ありえへんけど。じぁ、まぁ、仮になったとして、どうやって守ってくれるんや?」
「代わりに生き延びるから」
「心春は命狙われてへんから生き延びて当然やろ! なんでうちだけ不幸な目に遭うねん。ドラマや映画で言うところの『かわいそうなのヒロイン役』みたいな」
「ヒロイン!? 夏っちゃん、本当に命を狙われるよ!」
「うるさいわ! でも命狙う言うたら、お金持ちのする事やろ? もしかしてうちのを命を狙いに来たんじゃなくて、うちをさらいに来る設定やったら、その話に乗ったってもいいなぁ。お金持ちのかっこいい青年に『お前を奪いにきたぜ』なんて、ちょっとロマンティックやない?」
「う~ん。まぁ、ね?」
「なんや、その愛想笑いは! 例えベタでも、心春にはこういう乙女心がないんか?」
「う~ん。じゃ、夏っちゃんが、そのかっこいい青年と出会ったとして」
「うん」
「どのタイミングで魚雷を飛ばしたらいいの?」
「うちらは水中で出会ってたんか! って言うか、そもそも、なんで魚雷の話を持ち込むねん!」
「そもそも魚雷の話をしていたんだよ?」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




