二時間目を待ちながら(17)
ある日。二時間目を待ちながら。
冬菜が夏海の所にやってきて挨拶しました。
「おはよう御座います」
「お、冬菜。おはよう。そんな堅苦しくせんでいいで」
「はい。あの、今日はリボン付けてきたんですね」
「リボン?」
「はい。とても似合ってると思います」
夏海が自分の頭をさわると、確かにリボンらしき物が付いていました。
「ほんまや。心春やな。いつの間にこんなんつけたんや? どうりで姿見せへんと思ったら」
「心春さんが付けたのですか?」
「せや。こんないたずらするのは心春しかおれへん。冬菜、心春を探すで」
「あっ、はい!」
二人は教室を巡回して心春を探しますが、見つかりません。
「たぶん、千秋のクラスに行ったな」
「探しに行きましょうか?」
「まぁ、もういいか。これ以上、冬菜にも悪いし」
「私は全然構いませんよ」
「でも、まぁ。そのうち戻って来るで。しばらく放っとこ」
「もしかして、ですが、心春さん、私達が来るのを待ってるんじゃないでしょうか?」
「え? どういう事?」
「夏海さんが探しに来る目的でいたずらして、隠れて待ち伏せして、今もなおずっと見つけてくれるのを待っているような気がします。心春さんは夏海さんに早く見つけて欲しいと、思っているんじゃないでしょうか?」
段々と力を込めて話す冬菜に、夏海は曖昧な返事をしました。
「う・・・・・・ん」
「行きましょう! 夏海さん」
「う~ん。・・・・・・でも行くの面倒くさいなぁ」
「え?」
「チャイム鳴るまでには戻ってくるよ」
結局二人は心春を探すのを諦めました。しばらくして
「やっほ~!」
と心春が戻ってきました。
「『やっほ~』とちゃう! うちの頭にリボン付けたやろ!」
「かわいかったでしょ?」
「勝手に人の頭に付けるな!」
「夏っちゃん探しに来ると思ってたのに」
「そう心春が思ってると思って、あ、え、て、探しに行けへんだの」
「夏っちゃんの意地悪!」
「どっちが意地悪やねん! でも冬菜が探しに行こうって誘ってたな」
「え? そうなの?」
冬菜は恥ずかしそうに慌てた様子で言いました。
「あっ、はい。心春さん、待ってるような気がして」
「そうなんだ。ありがとう、ふーちゃん」
「そろそろ次の授業始まるで」
「そうだね。各自、自分の持ち場に移動!」
心春は自分の席に向かい、冬菜も席に戻って行きました。ふと夏海が気が付きました。
「(あれ?)」
冬菜の肩にさっきのリボンが付いており、夏海が呼び止めます。
「冬菜!」
冬菜が『はい』と、振り返りると、肩のリボンが羽ばく前の蝶のように揺れていました。妙に冬菜の雰囲気に合っています。呼び止めたものの、夏海はこれもありかな、と思いました。
「いや、やっぱ何でもない」
「ん?」
「似合っているよ」
「え?」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




