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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
16/45

二時間目を待ちながら(16)

 ある日。二時間目を待ちながら。


「ふぁ~あぁ~、眠たいなー」

「うん。なんだか今日は特に眠たい気がするよ」

「心春はいつも眠たい言うてるけどな」

「うん。いつもだよー」

夏海と心春が机に上半身べったりとへたり込んでいる所へ、千秋がやってきました。

「友達、紹介します」

と千秋はいきなり会話を始めました。

「ともだち?」

夏海の言葉と共に、二人は眠たそうな顔を上げました。

「あの、ふ、二見 冬菜ふたみふゆなです」

とても早口の挨拶が聞こえ、夏海と心春は少し目が覚めます。どこから声がしたのか分かりませんでした。よく見ると千秋の後ろに、声の主は隠れていました。

「あっ、はじめまして。えっと、北宇智 夏海きたうちなつみです」

「はっ、はじめまして。五条 心春ごじょうこはるです」

二人は簡単に挨拶をします。

「あの……」

「ん?」

「い、いえ何でもありません!」

冬菜は何か言おうとしたが、やっぱり止めてしまいました。そして千秋が小さく挙手して言いました。

吉野 千秋よしのちあきです」

「千秋は知っとるよ」

「千秋ちゃんは自己紹介しなくていいよ」

「そ、そうよ」

軽くボケたつもりが千秋は夏海、心春、そして冬菜にもまじめに突っ込まれてしまいました。なお最後の冬菜の声は、非常に小さいものでした。夏海が冬菜に近づきます。

「へ~、千秋の友達かぁ」

夏海が上から下まで冬菜を見ると、冬菜は赤面してしまい、また千秋の後ろに隠れました。

「さっきから、どないしないしたんや?」

千秋が説明します。

「少し、恥ずかしがり屋」

「少し? かなり恥ずかしがってるように見えるけど。でも、まぁ、これからよろしくな。千秋の友達やったら、もううちらの友達や。な、心春?」

「うん。もちろん! よろしくね!」

「よ、よろしく、お願いします」

冬菜が頭を下げると、夏海は握手の手を差し出しました。しかし、冬菜は手を出さない。

「あの」

「ん? どないしたん?」

「汗で、手が……」

冬菜が手のひらを見せると、汗でベトベトでした。

「そんな緊張せんでいいよ。そうそう早速やけど、うち、友達の名前はみんな呼び捨てやねん。いきなりで偉そうやけど、『冬菜』って呼んでもいいかな?」

「はい。全然オッケーです!」

夏海に続いて心春が言いました。

「私はニックネームで呼んでるの。『夏っちゃん』とか『ちーちゃん』とか。冬菜ちゃんは『ふーちゃん』でもいい?」

「はい、わかりました!」

「私は基本、名前、呼ばない」

「呼んであげてください」

千秋に冬菜が言うと、夏海、心春は『うん、うん』と強く頷きました。

「えっと、私は」

悩んでいる様子の冬菜に夏海が声を掛けた。

「なんて呼んでもいいよ。好きな呼び名で呼んでや」

「それじゃ、思い切って、『夏海さん』と『心春さん』で!」

冬菜が笑顔で言うと

「全然思い切ってないやん!」

「ひぃ!ごめんなさい!」

夏海につっこまれ、冬菜は驚いて、またまた千秋の後ろに隠れてしまいました。

「そんな驚かんでも。うち、いっつもこんなんやで?」

「知ってます。いつもよく見てますから」

「ん? 見てる?」

「はい」

「『二人の仲の良い雰囲気が、羨ましい、友達に、なりたい』と、よく、言っている。だから、紹介した」

また千秋が説明しました。

「そうなんや。どっかでうちらの事見とったんやな。恥ずかしがり屋で直接話しかけられへんかったから千秋に頼んだ、って訳か。そういえば、千秋とはいつ知り合ったん?」

「千秋さんとは幼なじみです。幼稚園の時から」

「そうなんや」

「そろそろ、クラスに、戻る」

「もう次の授業始まるしな。ほなまた」

「またね、ちーちゃん」

夏海と心春は千秋を見送りました。

「あれ? 冬菜は?」

「え?」

夏海が言うと、冬菜が不安そうな顔をしました。

「冬菜は戻れへんの?」

「ふーちゃんももうクラスに戻らないとチャイムが鳴っちゃうよ?」

「えっ!?」

「ん? え? どないしたん?」

「あの、私、同じクラスです!」

「えぇ!?」

夏海と心春は真面目に驚きました。

「あっ、そうなん?いや、そうやったそうやった。なぁ、心春。じょ、冗談やな?」

「うん、も、もちろんだよ!」

「あの、私…… いつも目立たないので、ごめんなさい!」

「なんで冬菜が謝るねん! 悪いのは今まで全く気がつけへんだ、うちらや!」

「今まで気がついてなかった事、言っちゃってるよ、夏っちゃん。しかもサラッとひどいし」

「謝るのはうちらやん。せやろ?」

「はっ、はい! ごめんなさい!」

「うん。分かってくれたら、ええんやけど…… なんか、違っ……」

少し間があって夏海がまた言いました。

「いや! だから! なんで冬菜が謝ってんねん!」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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