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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
11/45

二時間目を待ちながら(11)

 ある日。二時間目を待ちながら。


 心春と夏海の所に千秋がやってきました。

「昨日、更屋敷のお菊さんの夢、見た。良かった」

二人が話している最中でも、千秋は唐突に話を始めます。いきなり話が強制中断された心春と夏海ですが、千秋の話に答えました。夏海は驚いたように言いました。

「お菊さんの夢? それ、嫌やろ!」

心春は嬉しそうに言いました。

「そう? 私は見てみたいなぁー」

「えぇ!? あんなん好きなん?」

夏海が尋ねると、心春と千秋はこくりと頷いて、千秋がお菊さんの真似をし始めました。

「一枚、二枚、三枚、四枚……」

「あっ、有名だよね。お菊さんが皿を数えるの」

「八枚、九枚」

千秋は一呼吸置くと言いました。

「十枚」

「あっ、十枚目、数えてしもた」

夏海が思わずつっこむと、千秋はまた皿を数えるフリをしました。

「一枚、二枚……」

「また続くんか」

「七枚、八枚、九枚」

千秋は一呼吸置きました。その時、心春が突然千秋に向かって言いました。

「お菊さん! そんなモタモタと数えてたら、お客様に料理がお出し出来ませんよ!」

「ガーン!」

「千秋、『ガーン!』って古いっ! その前に、心春もいきなりボケるな!」

「一枚、二枚……」

「また続くの?」

呆れる夏海をよそに、千秋はまた皿を数える真似をします。

「七枚、八枚、九枚」

千秋は一呼吸置きました。

「一枚足りない。……ま、いいや」

「いいんかいな!」

呆れていた夏海ですが、ほとんど反射的に千秋にツッコんでしまいました。

「はい! 私もやってみます!」

心春は笑顔で挙手します。

「3、6、9と。一枚足りませ~ん!」

「早い! 数えたらイイってもんとちゃう!」

続けて千秋が言いました。

「一枚、二枚、三枚。よし、九枚!」

「途中で端折はしょるな!」

「一枚足りない。これじゃ、出荷、出来ない。困った」

「お菊さんは工場で働いてへん!」

続けて心春が言いました。

「一枚、二枚、三枚、四枚、五枚、六枚、七枚、八枚、あれ? えっと、八枚、九枚。一枚足りないよぉ!」

「八枚目、二回数えとる!」

千秋が続けました。

「一枚、二枚、三枚。足りない」

「足りなさすぎや!」

夏海は切らせた息を整え、二人に説明しました。

「もう…… もう流石にええやろ? いいか、お菊さんは、こわ~い怪談話に出てくるねん。そんなふざけた話とちゃうねん!」

『えぇ!? そうなの!?』と驚く心春と、本当に驚いているのか、表情からは分からないけど、とにかくすごく仰け反って自分の股から顔を出した千秋に、夏海が驚きました。

「それ、怖い!」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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