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二時間目を待ちながら(10)
ある日。二時間目を待ちながら。
心春は教室で飼っているメダカの水槽を眺めていました。
「何を真剣に見てんねん? 心春」
「あっ、夏っちゃん」
「メダカがそんなに珍しいか?」
夏海はいたずらっぽく尋ねました。
「ううん。メダカじゃなくて、中の水草を見てたの」
「水草!?」
水槽の中で水草がゆらゆらと揺れていました。
「水草って踊っているみたいで面白いなぁ、と思って」
「水草を真剣に見ている心春も十分面白いと思うけど。まぁ、踊っていると言えば踊ってる、かな?」
「ゆらゆら踊ってメダカに伝えてるんだよ。『私は怪しい者ではありません。だから近づいておいで』って」
「う~ん、十分怪しいな」
「『さぁ、おいで、おいで』と誘い、メダカが誘惑につられて近づいてくるの。そして十分近くまで来た、その時!」
「うん、どうなるんや?」
「何も起こらない」
「そやな」
「そうやって水草は、毎日メダカと遊んでるんだねぇ~」
「遊んでるのは心春や! 毎日、妙な妄想して」
「そう、毎日。そして、その妄想女に何も知らずに近づいて来る夏っちゃん」
「え? 何? まさか、水草話を餌に、最初からうちが近づくのが狙いやったんか!?」
「その通り! が~ぶぅ~!!」
心春は夏海に噛みつくふりをします。
「うわ~! ……って何やねん、これ!」
二時間目開始のチャイムが鳴りました。




