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二時間目を待ちながら  作者: 白上 しろ
10/45

二時間目を待ちながら(10)

 ある日。二時間目を待ちながら。


 心春は教室で飼っているメダカの水槽を眺めていました。

「何を真剣に見てんねん? 心春」

「あっ、夏っちゃん」

「メダカがそんなに珍しいか?」

夏海はいたずらっぽく尋ねました。

「ううん。メダカじゃなくて、中の水草を見てたの」

「水草!?」

水槽の中で水草がゆらゆらと揺れていました。

「水草って踊っているみたいで面白いなぁ、と思って」

「水草を真剣に見ている心春も十分面白いと思うけど。まぁ、踊っていると言えば踊ってる、かな?」

「ゆらゆら踊ってメダカに伝えてるんだよ。『私は怪しい者ではありません。だから近づいておいで』って」

「う~ん、十分怪しいな」

「『さぁ、おいで、おいで』と誘い、メダカが誘惑につられて近づいてくるの。そして十分近くまで来た、その時!」

「うん、どうなるんや?」

「何も起こらない」

「そやな」

「そうやって水草は、毎日メダカと遊んでるんだねぇ~」

「遊んでるのは心春や! 毎日、妙な妄想して」

「そう、毎日。そして、その妄想女に何も知らずに近づいて来る夏っちゃん」

「え? 何? まさか、水草話を餌に、最初からうちが近づくのが狙いやったんか!?」

「その通り! が~ぶぅ~!!」

心春は夏海に噛みつくふりをします。

「うわ~! ……って何やねん、これ!」


二時間目開始のチャイムが鳴りました。


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