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錬金術師は家に帰りたい ~百年寝過ごしたら自宅が異界化してました!?~  作者: ワイエイチ
異界都市炎上編

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想定外の……

 炭酸水の源泉らしきポイントを離れ、そのまま対岸を目指す。


 すると、近づいている間は魔物の発生が止まっていたのだが、僕達が離れることで再びカーボネーテッドウォーター・エレメンタルの発生が始まったようだ。……何か発生に条件でもあるのだろうか?


「やっぱり、また湧き始め、たわね!……う、さすがにこれはちょっと面倒ね」


 僕達の背後で発生したカーボネーテッドウォーター・エレメンタルを、マリナさんが振り向きざまに光銃で撃ちぬいていく。


 先程までは向かう方向から襲いかかられていたので対応は楽だったのだが、さすがに後ろから発生するとなると話は変わってくる。


 当然のことなのだが、対応するには後ろを頻繁に振り向く必要があるためだ。だからといって後ろを向いたまま歩くにはマリナさんがブーツに慣れていない現状では少々無理が過ぎる。


 マリナさんの表情を見るに序盤は見られなかった疲労も見え始めたようだ。


「そろそろマリナさんの練習は切り上げて、ひとまず対岸まで急ごうか。戦うのは対岸にたどり着いてからってことで」


「ああ、それは助かるわ。さすがにそろそろ疲れてきたしね」


「お疲れ様です。これをどうぞ」


「お、アリスちゃんありがと」


 僕の提案にマリナさんが安堵の表情を見せる。気をつけなければいけない点が多かったため仕方がないことではある、か。


 アリスもそれに気がついたのか、労いの言葉をかけつつ疲労回復のポーションをマリナさんに手渡す。……なかなか見事な飲みっぷりだ。


「それじゃあ、ちょっと急ごうか」


 その言葉を待っていたかのように、皆の移動速度が上がる。さすがにマリナさんも慣れてきたのかぎこちなさも見られない。


 ――程なくして対岸にたどり着いた。


 湖側だけでは無く、周辺にも警戒を向けながら視界内の魔物たちとの距離を確認し、それに合わせて隊列を組み直して各自が武器を抜き戦闘準備を始めた。


 現在、湖側から迫るカーボネーテッドウォーター・エレメンタルの数は四体。水上では陸上での移動に比べて高速に移動が可能なようなので、無理に水上で相手をせずに陸上で迎え撃つのが正解だろう。


 そして周辺には距離はそれぞれ異なるが、僕達をコの字に囲むように十体ほどのレアアース・エレメンタルが見える。


 これくらいの数であれば、ガーディアンに挑む前哨戦には丁度良いだろうか。……まあ、この先にガーディアンの領域があれば、という前提条件付きではあるが。


 皆の様子を見て戦闘準備が完了していることを確認する。


「よし、皆はカーボネーテッドウォーター・エレメンタルに集中して。ジークとエリーシャでニ体、アリスとマリナさんでもうニ体担当で。周りからくるレアアース・エレメンタルは僕が一掃しておくよ」


「あいよ!」


「かしこまりました」


 いち早くジークとアリスの声が響き、二人はカーボネーテッドウォーター・エレメンタル向かって走りだす。


 対照的なのはジークがほぼ一直線に走るのに対して、アリスは少し上空に駆け上がりながら斜めに回り込んでいるところだろうか。二人の戦闘スタイルの差がよく現れている。


「私も前に出るわ!」


「風の精霊よ力を貸して!」


 二人の後に続き、マリナさんも光剣を片手に走りだした。エリーシャは精霊魔術で皆のサポートを始める。精霊魔術により一層身軽に動けるようになったのか皆の速度も更に加速する。


 皆の戦力なら四体程度なら多少連携されたとしても、難なく片付けることができることだろう。


 周辺をうろつくレアアース・エレメンタルへと視線を向けて、アイテムポーチから月詠を取り出して、一振り素振りをする。


 こちらを皆に任せても別に良かったのだが、ガーディアンがウォーター・メガ・エレメンタルの可能性が高いため皆に慣れてもらうことを優先した形だ。


「――さて、それじゃあ僕も始めようかな」


 既にこちらに気がついた個体が数体こちらに向かってきているのが見える。そしてその数体より更に奥に小高い丘が目に入った。


 この周辺の地形を頭のなかで思い出しながら、現在地とすり合わせる。


「ということは、ガーディアンがいるとすれば、あの小高い丘の向こう側かな?」


 取り敢えずこちらに近寄ってくるレアアース・エレメンタルに向かって走りだす。


 そして背中越しに皆の戦う音が聞こえ始めた。




「――これで最後っと」


 上空で身を翻しながら振り下ろすと、眼下のレアアース・エレメンタルの脳天に吸い込まれるように月詠は抵抗なく振りぬかれる。そして魔物はそのまま真っ二つに分かれていく。


 大きな音を立てながら地面に崩れていくレアアース・エレメンタルを余所に改めて周辺を見渡す。

 この周辺では新たな個体は発生していないようで、ひとまず見渡した限りでは魔物は存在していない。


「バーナード様、お疲れ様でした」


「そっちもお疲れ様。魔物側も中々の連携だったけど、さすがに皆の敵じゃなかったみたいだね」


 アリスの言葉に振り向き視線を合わせた後、そのまま皆のコンディションも確認する。ジークとマリナさんが小さな怪我はしているが、この後の探索に問題はないレベルだろう。

 疲労に関しては、対岸から渡ってきた後にそのまま戦闘に入ってしまったので、少々蓄積しているように見える。


「もう少し早く倒せてたらそっちの手伝いもできたんだがな。間に合わなかったぜ」


「いや、十分早かったと思うよ。それに慌ててミスしてもダメだから」


 ジークは満足していないようだが、横目で確認していた限りでは皆十分に動けていた。これ以上となると、もう一層の鍛錬が必要となると思われるが、向上心があるのは良いことである。


「皆疲れていると思うから一息休憩してから、あの丘の向こう側を見に行こうか」


 そう言いながらアイテムポーチから結界の魔道具を取り出して起動すると、装備品の確認を行ったり喉を潤したり思い思いに休憩を取り始めた。……えっと、休憩にならないからジークはその素振りを止めようか。




 ――休憩終了後、小高い丘を越えるとその向こう側にはガーディアンの領域らしきものが自然と目に入った。


「こ、これは!?」


 皆の思いを代表するように誰と無く口にしたその驚きの声が響き渡る。多分ガーディアンの領域を目にした僕たちは皆同じように驚いたのだろうと思う。


 ガーディアンの領域はこれまでの道程と同じく、岩石地帯をベースにしつつも所々に水たまりが存在している。それは良い。まったく問題はない。


 そしてその領域のほぼ中央に位置する辺りに、ガーディアンは存在していた。それも良い。


 問題はガーディアンそのものにある。


 第十八層のガーディアンと同様、僕達の視界に収められたその巨体は例外なく見るものを圧倒することだろう。

 そしてその身体には胸のあたりに薄っすらと見えるコアを守るように包み込むのとは対照的に、周辺一帯を焼きつくさんばかりに猛々しく真っ赤に燃えさかる――


《ファイア・メガ・エレメンタル》


 ……こら。


「おい、ウォーター・メガ・エレメンタルじゃねぇのかよ!? 話が違うじゃねぇか!」


 ジークの言いたいことは至極もっともである。


 第十八層のガーディアンはアース・メガ・エレメンタル。そして第十九層の入り口から今に至るまで、ガーディアンがウォーター・メガ・エレメンタルである事を示す布石が、十二分に散りばめられていた。


「……何だか頭が痛くなってきました」


「アリスちゃんも同じね。私も何だか頭が痛くなってきたわ」


 この理不尽さに頭を抱えるアリスとエリーシャだが、エリーシャの方が幾分か諦めに似た表情を見せているのは年の功というやつだろうか?


「独り言が漏れてるわよ。次言ったら精霊に頼んで嵐起こすからね」


「バーナード君、もちろん知ってると思うけど女性にその話題はタブーだからね」


 あれ、今喋ってたか?


 ジト目で見てくるエリーシャとマリナさんからは静かな殺気が漏れている。この殺気は恐らく理不尽な存在であるファイア・メガ・エレメンタルに向けられたものだろう。……そうだよね?



遂に600万PVを突破することが出来ました。

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