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21. 1-Eの生徒を威嚇するのはやめるんだ

「君が学校帰り、毎日のように1-Eの生徒たちを人目のないところに誘い出し、その生徒たちが連れて行かれた方角から大きな悲鳴が聞こえると……。」

確かに私たちは学校帰り、ルカスと共に森や湖など人気のない場所に移動して、そこで訓練という名の地獄に突き落とされ、毎日大絶叫をしている。うん、何も間違っていない。


「そうなんです、エリオット様ー。助けてくださーい。」

うるうるとした目でエリオットの両手を取ったのは、私………ではなくてセオドアだ。

「また、セオの悪ふざけが始まった。」

レオはため息を吐きながらセオドアから距離を取る。とばっちりを受けないために。


「お前、覚えてろよ。本当に虐めてやるからな。」

「ひっ!」

やはり怒られるセオドア。そして嗅覚の抜群なレオ。

「1-Eの生徒を威嚇するのはやめるんだ!」

「いや、こいつは面白がってるだけだろ。顔を見ろ、顔を。」

ルカスが指差したセオドアはへらりと笑っている。

「えっ?」

エリオットはそれを見て困惑の表情を浮かべる。


「エリオット様、ご心配をおかけしてすみません。私たちの特訓にルカスが付き合ってくれているだけなんです。叫んでいるのは私たちの実力が足りないだけで、別に虐められているわけでは………ないと思います。」

何だか急に自分の言っている事が間違っている気がして言葉に詰まってしまった。え、ほんとに虐められてないよね。

「しっかり言い切れよ。虐めてないだろ。」

ルカスは私を真上から見下ろして来た。生徒スタイルのため、そんなに大きな身長差は無いはずなのだが、今日は威圧感が凄すぎる。


「君のその態度じゃ、この子たちが脅されているとしか思えない。リディア嬢は私の友だちなんだ。本当に虐めているのならば許さない。」

「エリオット様………。」

私は感動のあまり泣きそうになる。そういえば私たちは三年間、仲良くする事になっているのだ。それはもう友だちになったという事。


「それじゃあ、お前も見にくれば良いんじゃないのか?」

もう既に面倒くさくなったらしいルカスがため息を吐きながら提案する。

「そうそう、だいぶ上達したんですよ。ね?」

私は笑顔でレオとセオドアに同意を求める。

「まあ、そうだな。人に見せられる程度にはなったか。」

レオは腕を組んで頷く。

「僕は基本、何やっても器用なんだよねー。」

セオドアはへらへらと笑いながら髪をかき上げた。



と言うわけで今日の訓練には急遽エリオットが見学に来る事になった。

「これは………。」

エリオットは目玉が転げ落ちそうなほど目を見開いて上空を見上げている。

「ひゃっほーー!」

「よし、そこ右に曲がれ!」

「いい子ね、もっとスピード出せる?」

視線の先にはグリフィン(飛竜)を乗りこなす私たちの姿。


私たちはすでにグリフォン(飛竜)の安定した騎乗に成功している。初日こそ腕力のみでラプター(走竜)にしがみついていた三人だが、自身の身体に身体強化をかけバランスをとり、グリフォン(飛竜)にも魔力を流す事で意思疎通を行って操縦している。もちろん今ではラプター(走竜)の騎乗もお手のものだ。


「悲鳴ではなく、奇声………ならぬ喜声。全然虐められていないじゃないか!」

エリオットは私たちの方を指差し、横にいるルカスに抗議を入れる。

「だから何度も言ってるだろうが。それにEクラスといってもこいつらの魔力量、虐められるような奴らじゃないんだよ。」

他にも森での活動や、湖での散策なども余裕でこなせるようになった。元々魔法は使えた三人。使い方の応用さえ分かれば、なんて事ない事だった。


「森での散策は氷魔法で魔力探知。魔物と遭遇しても炎魔法は使わない。」

炎魔法が得意な私は森での戦闘には向いていない。

「湖の中では風魔法を纏って水中に入る。」

「もしくは風魔法をぶち込んで水を割る。」

「それができるのはレオだけね。」

レオは風魔法が得意だ。

「そして、湖の中では炎魔法が使えない。」

炎魔法が得意な私は湖での戦闘にも向いていない。


結論、『宝探し』競技はリディアには向いていない。絶対に『宝探し』が当てられる一年でEクラスの砂場宝探しになったのは本当に幸運だったのだろう。

「来年は絶対に『宝探し』はしないわ。」

「ああ、それがいいな。」

ルカスは大真面目な顔で頷いた。


「ルカス……君を疑って悪かった。虐めてなんていなかったね。それどころか、君たちは友人のようだ。」

私たち四人は目をぱちくりとさせながら顔を見合わせる。

「ええ、そうね。私たちはお友だちよ。」

私はにこりと微笑んで返事をした。


「俺は入学初日からずっとやり直したいと思っている。お前と友だちになったあの日から。」

レオは頭を抱えて俯いてしまった。

「えー、何で? リディアもルカスも面白いからいいじゃんー。」

ニヤニヤしながらレオの肩を揺らすセオドア。

「俺はこんなところから早く卒業して、こいつらから解放されたい。」

ルカスは遠い目をしながらそう言った。彼が言うとその言葉の深みがすごい。


「ふふっ、息ぴったりでしょ?」

「どこがだよ。」

レオに突っ込まれた。

「本当だね。できれば私も仲間に入れてもらいたい。明日の収穫祭、もし良ければ一緒に回ってもらえないだろうか?」

エリオットはにこりと微笑んで私たちに提案する。推しと過ごせる『収穫祭』。何とも魅力的な提案だが私は頭を抱える。


「あー、えっと……その……。」

「どうしたの?」

エリオットは不思議そうに私の顔を覗き込む。

「残念ながら、こいつらEクラスに収穫祭を楽しむ時間はない。」

言い淀む私の代わりにルカスが抑揚のない声で答え、チラリと私に冷めた目線を向けた。え、何その顔……。

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