表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

14.これをお使いください

Eクラスの授業が簡単な文法、かけ算、時計の読み方に入ったところで学園の最初の行事、運動会の日がやってきた。このままのペースでEクラスの生徒は学園を卒業できるのだろうか。


「お前は何の競技に出るんだ?」

配られたリボンを頭に結んでいると、後ろから声をかけられた。私に声をかける生徒は今の所ほとんどいない。そして、振り返らずとも、こんな風に無愛想な話し方をする生徒は一人しかいない。

「私は宝探しよ。」

「だろうな………。一年のリディアは皆んなそれだよ。」

隣に並んだのはやはりルカスだ。


「ルカスは?」

「ああ。俺も一応、宝探しにしておいた。」

「えっ?」

聞き捨てならないセリフに、私は耳を疑う。

「しておいたって何? Aクラスはくじ引きで競技決めるんじゃないの?」


「もちろんくじ引き……お前俺を誰だと思っている。くじの結果くらい別にどうにでもできる。」

「イカサマじゃん。」

一年生はそれぞれの競技内容や自分の特性も掴めていないという事で、運動会競技はくじ引きで決められる事になっている。まあおそらくゲーム上の都合であろう。先ほどルカスが口を滑らせていたし間違いない。『一年のリディアは皆んなそれ』という事は、そういう事だ。


「誰のためにやってると思ってるんだ。」

「す、すみません……。」

結構真面目なトーンで怒られた。しかし、イカサマはするなと言われていたのに、ルカスはめちゃくちゃイカサマをしている。大丈夫だろうか。


「まあ、せいぜい頑張れよ。」

私の心配を他所に、ルカスは片手を上げてどこかに行ってしまった。多分自身の競技会場に向かったのだと思う。同じ宝探しと言えど、クラスが違えば会場も違うのだ。

「イカサマしてまで同じ競技にする意味あったのかしら………。」

ルカスの背中を見送りながら私はポツリと呟く。


「まもなく競技が始まります! 一種目目に出場する生徒は速やかに移動して下さい!」

大音量で移動を促すアナウンスが流れてきた。

「やばっ、私もそろそろ競技場所に向かわないと。」

プログラムを見ながら、学園内の指定された競技会場に小走りで移動を始める。


ちなみにクラスによって競技の難易度は変えられていて、例えば魔獣乗り競走であればA・Bクラスはグリフォン(飛馬)、C・Dクラスはラプター(走竜)、Eクラスはロックトータス(岩亀)に乗って競争を行う。ここまで来たら区別ではなく差別だ。我々Eクラスでは未だに魔法の魔の字も学んでいないのでまあ当然だろう。今グリフォン(飛馬)などに乗せられたなら一瞬で死ぬ気しかしない。


「ここ……ね。」

そんな事を考えている間に、私は自分の競技の指定場所に到着した。私とルカスが参加する宝探しは、その名の通り隠されている宝に模した光る玉を探し集め、その色と個数によって点数が決まると言うものだ。どのように難易度を調節されているかというと、それは宝探しを行う場所によって変えられている。A・Bクラスは学園の湖、C・Dクラスは学園内の森で、Eクラスは…………砂場。


「これをお使いください。」

スコップを渡された。

「…………ありがとうございます。」

言いたい事は山ほどあるが、湖の中を泳いで宝を探す度胸も、森の中を迷いながら宝を探す勇気もないため、これで良かったのだと心の底から思う。だって……ちゃんとした魔法なんて何一つ習っていないのだから。


「よーい、始め!」

スタートの合図と共に周りにいた生徒たちと一緒に一斉に砂を掘り始める。まあ、砂場といっても前世の公園にあるような小さな者ではなく、ある程度の広さがあり、大人でも普通に宝探しが楽しめるほどの大きさがある。


「あった!」

私は順調に光る玉を集めていく。ふと見ると、砂を掘っているのは同じクラスの生徒たちだけだ。学年別に競技が行われるのかもしれない。視線を落として再び砂を掘り始めようとしたところで、私の手はピタリと止まる。視界の端にウヨウヨと蠢く何かを捉えたからだ。恐る恐るその方向に顔を向ける。センチピード(大百足)だ。それもかなり大きい。


「ぎゃーーーーーー!」

私は思わず大きな叫び声を上げてしまった。クラスの中で浮いた存在である私の側で砂を掘っているクラスメイトはいない。必然的にセンチピード(大百足)に気がついているのは私だけのようだ。私の叫び声を聞いて周りがざわめき出す。誰かが近づいてきたら危険かもしれない………そう思った瞬間に私は手に持っていたスコップを振り上げていた。

「えいっ!」


ヘギュッ。


頭を見事に叩き潰し、センチピードは一発で絶命した。

「私………すごい。」

集まってきたクラスメイトたちは、私がセンチピード(大百足)にスコップを叩き込んだ所を見ていたようで、誰からともなく拍手が起きた。後から聞いた話だとセンチピード(大百足)は攻撃力は高くないが、すばしっこいため一発で仕留めるのは至難の業らしい。


「宝探し砂場部門が終了しました。センチピード(大百足)討伐も点数に加えて、リディア・ヴェルディの圧勝でした。」

宝探し砂場部門の結果が学園全体のアナウンスで読み上げられた。あれ、上の学年の砂場宝探しは?


「宝探し湖部門、優勝はルカス・スペンサー! セイレーン(呪人魚)の討伐ポイントが追加され、後続を遥かに突き放しました!」

ルカスも普通に優勝していた。


ちなみにEクラスの他の競技は輪投げ、虫取り、ダンスだった。正気か……Eクラス。他の競技もいろいろと紹介したい所だが、今日はとにかく精神的に疲れたので、早く寮に帰って休もうと思う。また来年も生きて運動会に参加できれば是非とも紹介したい。


ピコン。


1stミッション

魔物討伐宝探し クリア

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ