# 第二部 第二十話 最後の一日 残り一日。
# 第二部 第二十話 最後の一日
残り一日。
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春風マンション。
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誰も眠れなかった。
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未来の火事。
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るなの運命。
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願いの部屋。
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全部が今日で決まる。
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朝。
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食堂。
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珍しく全員集まっていた。
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誰も話さない。
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重苦しい空気。
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その時。
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三枝さんがエプロン姿で現れる。
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「ご飯できてるよ」
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静寂。
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そして。
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「こんな時だからこそ食べなさい」
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みんな笑った。
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少しだけ。
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ほんの少しだけ。
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いつもの春風マンションに戻った。
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結衣が微笑む。
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「大丈夫ですよ」
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その言葉。
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みんなの緊張を少し溶かした。
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修司も頷く。
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「終わったらみんなで飯だ」
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ひまり。
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「面白そう!」
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かなめ。
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「フラグに聞こえます」
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怜司。
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「まあ何とかなるだろ」
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いつものやり取り。
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だから。
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みんな少し安心した。
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しかし。
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午後。
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願いの部屋。
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ルナが青ざめていた。
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「知ってるよ」
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「でも知らない」
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意味不明だった。
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かなめ。
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「どっちですか」
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ルナは震える。
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「未来が変わりすぎてる」
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静寂。
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「私が知ってる未来じゃない」
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その瞬間。
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管理人日誌が光る。
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パラパラとページがめくれる。
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最後のページ。
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そこには。
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未来の修司の文字。
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【ここまで来たか】
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全員息を呑む。
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続きを読む。
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【なら最後の真実を話す】
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修司の顔が強張る。
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【火事の日】
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【最後まで戦ったのは俺だ】
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静寂。
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【逃げなかった】
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【諦めなかった】
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【みんなを守ろうとした】
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結衣の目に涙が浮かぶ。
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未来の修司は続ける。
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【でも一つだけ間違えた】
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その一文。
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重かった。
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【俺は一人で背負った】
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全員が黙る。
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【みんなを守ろうとして】
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【みんなを信じなかった】
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風が吹く。
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管理人日誌のページが揺れる。
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【だから失敗した】
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静寂。
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そして。
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最後の文章。
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【今のお前へ】
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【一人で管理人になるな】
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【仲間を頼れ】
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修司は目を閉じた。
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未来の自分。
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ずっと戦っていた。
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そして。
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最後に残した答え。
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その時。
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ドォォォォン!!
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マンション全体が揺れた。
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全員立ち上がる。
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ルナが叫ぶ。
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「来た!!」
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窓の外。
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空が赤い。
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夕焼けじゃない。
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赤い光。
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願いの部屋から溢れている。
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創設者が振り返る。
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初めて焦った顔。
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「始まったか……」
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修司。
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「何がだ」
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創設者は答える。
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「最後の試練だ」
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静寂。
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「春風マンションは」
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「住人の願いで出来ている」
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「だから最後は」
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「住人全員の願いが必要になる」
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その瞬間。
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願いの部屋の中央。
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巨大な扉が現れた。
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誰も見たことがない扉。
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その表面には。
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全員の名前。
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修司。
結衣。
かなめ。
ひまり。
怜司。
るな。
ルナ。
蓮。
美咲。
神崎。
加賀谷。
三枝。
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全員分。
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そして中央。
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赤い文字。
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【あなたの帰りたい場所はどこですか】
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静寂。
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誰も答えない。
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いや。
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答えは決まっていた。
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修司が前へ出る。
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そして言う。
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「俺の帰りたい場所は」
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振り返る。
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仲間たちを見る。
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結衣がいる。
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かなめがいる。
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ひまりがいる。
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るながいる。
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みんながいる。
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修司は笑った。
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「春風マンションだ」
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その瞬間。
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扉が開いた。
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眩しい光。
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そして。
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るなが驚いた顔になる。
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「え……」
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光の向こう。
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そこにいたのは。
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十年後の自分だった。
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未来の月野るな。
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生きていた。
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## 次回
### 第二十一話
**「未来のるな」**
ついに現れた未来のるな。
彼女が知る火事の真実。
そして――
十年間隠されていた最大の秘密が明かされる。
**「火事を起こしたのは人間じゃない」**。




