# 第二部 第十九話 るなが消える日 願いの部屋。
# 第二部 第十九話 るなが消える日
願いの部屋。
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静寂。
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誰も動けなかった。
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壁に浮かぶ文字。
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【月野るな】
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その名前だけが。
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残酷なほどはっきり見えていた。
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ひまりが最初に口を開く。
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「嘘だよね?」
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笑おうとした。
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でも笑えなかった。
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かなめも震えている。
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「それ絶対おかしいです……」
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るなは俯いていた。
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まるで。
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ずっと知っていたみたいに。
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修司が気づく。
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「お前」
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るなが顔を上げる。
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涙を浮かべながら。
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小さく笑った。
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「ごめんなさい」
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静寂。
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「ずっと黙ってました」
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ルナが目を閉じる。
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知っていた。
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全部。
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るなは言った。
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「私」
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深呼吸。
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そして。
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「この時代の人間じゃないんです」
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全員。
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「……」
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言葉が出ない。
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るなは続ける。
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「私は十年後の世界で死にました」
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「それは本当です」
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「でも」
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震える声。
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「生まれ変わったんじゃありません」
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静寂。
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「私は」
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「未来から落ちてきた人間なんです」
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願いの部屋が揺れた。
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創設者の男が目を閉じる。
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そして。
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静かに頷いた。
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「やっぱりか」
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全員が見る。
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創設者は言う。
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「君は本来」
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「存在してはいけない」
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るなの顔が強張る。
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その言葉。
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ずっと怖かった。
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ずっと。
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ずっと。
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聞きたくなかった。
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創設者は続ける。
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「未来で死んだ君を」
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「春風マンションが救った」
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「願いが君を呼び戻した」
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静寂。
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「だから君は存在できた」
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「本来なら」
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「とっくに消えている」
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るなの涙が落ちる。
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結衣が駆け寄る。
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抱きしめる。
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「そんなことありません!」
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強い声だった。
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結衣らしくないほど。
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強かった。
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「るなちゃんはここにいます!」
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「一緒に笑いました!」
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「一緒に泣きました!」
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「だから本物です!」
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かなめも頷く。
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「そうです!」
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「それ絶対本物です!」
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ひまり。
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「るながいなくなったら私泣く!」
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怜司。
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「まあ何とかなるだろ」
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「消させない」
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神崎。
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「人生そんなもんだ」
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「理屈より大事なものがある」
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三枝さん。
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「ご飯できてるよ」
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「だから帰ってきなさい」
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加賀谷。
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「ほう」
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「仲間というのはいいな」
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るなは泣いていた。
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止まらなかった。
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ずっと一人だと思っていた。
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未来でも。
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今も。
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だが違った。
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その時。
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願いの部屋が光る。
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壁の文字が変わる。
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【運命更新】
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全員。
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「え?」
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さらに文字。
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【月野るな】
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その名前が。
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少しずつ消える。
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代わりに。
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新しい文字。
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【保留】
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ルナが驚く。
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「知ってるよ」
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「こんなの見たことない」
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創設者も驚いていた。
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「未来が変わった……?」
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その瞬間。
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部屋全体が大きく揺れる。
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ドォォォン!!
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全員よろめく。
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そして。
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天井に。
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巨大な亀裂。
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赤い光。
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ルナが青ざめる。
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「まずい!!」
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「最終日が前倒しになった!!」
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全員。
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「なにぃぃぃ!?」
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ルナは叫ぶ。
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「未来が抵抗してる!」
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「残り三日じゃない!」
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静寂。
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壁に新しい文字。
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赤く。
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大きく。
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まるで警告のように。
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【残り一日】
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春風マンション最大の危機。
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運命との最後の戦いが。
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ついに始まろうとしていた。
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## 次回
### 第二十話
**「最後の一日」**
残された時間は二十四時間。
未来の火事。
るなの運命。
そして――
修司が知る衝撃の真実。
未来で最後まで戦っていた人物は、
**未来の修司自身だった。**




