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# 第二部 第十七話 春風マンションを作った男 702号室。

# 第二部 第十七話 春風マンションを作った男


702号室。


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静寂。


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誰も喋れなかった。


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写真の男。


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三十年前の写真。


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そして。


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十年後の火事の日。


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全く同じ姿。


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歳を取っていない。


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かなめが震える。


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「それ絶対おかしいです……」


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今回は本気で怖がっていた。


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ひまりも笑えない。


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「人間?」


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怜司。


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「普通じゃないな」


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ルナは写真を見つめる。


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「知ってるよ」


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小さな声。


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「未来でも見た」


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「でも名前は知らない」


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その時。


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机の引き出しが勝手に開いた。


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ガタッ。


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全員。


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「うわぁぁぁ!!」


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ひまりが修司の後ろに隠れる。


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引き出しの中。


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一通の手紙。


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古びている。


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封筒には。


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【未来の住人たちへ】


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修司がゆっくり開く。


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中には数枚の便箋。


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達筆な字だった。


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【初めまして】


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【私は春風マンションを作った者です】


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静寂。


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全員が息を呑む。


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続きを読む。


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【君たちがここへ来たということは】


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【未来が壊れかけているのでしょう】


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【まず伝えたいことがあります】


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ページをめくる。


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【春風マンションは普通の建物ではありません】


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かなめ。


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「知ってました」


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全員頷く。


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もう薄々気づいていた。


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【このマンションは】


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【人の願いから生まれました】


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静寂。


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意味がわからない。


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だが。


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次の文章で。


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全員の顔色が変わる。


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【ここに住む人は皆】


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【人生で一度】


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【帰る場所を失った人たちです】


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結衣。


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るな。


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蓮。


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美咲。


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誰も否定できない。


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【だから私は願いました】


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【迷った人が帰れる場所を作りたいと】


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風が吹く。


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手紙が揺れる。


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【その願いに応えたのが】


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【春風マンションです】


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静寂。


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三枝さんが涙ぐむ。


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神崎も黙っていた。


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創設者の想い。


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それがここに残っていた。


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だが。


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次のページ。


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空気が変わる。


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【しかし】


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嫌な予感。


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【願いには代償があります】


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全員凍る。


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【人を救い続ければ】


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【いつかマンションそのものが壊れる】


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修司。


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「なんだって……」


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ページをめくる。


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そこには。


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春風マンションの設計図。


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だが。


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普通じゃない。


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建物の中心。


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地下深く。


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見たことのない部屋。


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赤い丸。


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その名前。


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【願いの部屋】


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ルナが青ざめる。


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「知らない……」


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未来でも見たことがない。


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そして。


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最後の文章。


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【十年後の火事は事故ではありません】


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全員。


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「!!」


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【願いの部屋が暴走した結果です】


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静寂。


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修司の手が止まる。


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火事。


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未来。


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全部。


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繋がった。


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だが。


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最後の一行。


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そこに書かれていた名前。


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全員が凍りつく。


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【願いの部屋を開ける鍵を持つ者】


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【管理人 修司】


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修司。


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「また俺かよ!!」


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ひまり。


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「主人公だからだよ!!」


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少しだけ空気が和む。


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だが。


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ルナだけは笑わなかった。


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窓の外を見る。


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夜空。


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その向こう。


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未来を見ているような目。


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そして。


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震える声で言った。


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「知ってるよ」


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「最悪の日が近い」


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静寂。


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「未来では」


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「次の日に始まった」


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その瞬間。


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702号室の壁に。


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赤い文字が浮かび上がる。


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【最終条件】


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【地下へ行け】


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そして。


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さらに。


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【残り三日】


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春風マンション最大の秘密。


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その中心にあるという。


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願いの部屋。


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全ての答えが。


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そこに待っていた。


---


## 次回


### 第十八話


**「願いの部屋」**


地下に隠された最後の部屋。


春風マンション誕生の真実。


そして――


修司が見つける一冊の日記。


そこには未来の自分が残した言葉が書かれていた。


**「もし読んでいるなら、俺はもう失敗した」**。


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