表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
66/79

# 第二部 第十四話 五回目の世界

# 第二部 第十四話 五回目の世界


夜。


春風マンション前。


---


誰も喋れなかった。


---


男の言葉。


---


「五回目だ」


---


「俺は十年を五回やり直している」


---


常識なら信じない。


---


だが。


---


ここにはルナがいる。


---


未来の写真がある。


---


未来の部屋がある。


---


今さら否定できなかった。


---


修司が聞く。


---


「お前は誰だ」


---


男は静かに答えた。


---


「黒瀬悠真」


---


初めて名前を名乗った。


---


「未来の春風マンションの住人だ」


---


全員。


---


「未来の……?」


---


悠真は頷く。


---


「十年後」


---


「俺はここに住んでいた」


---


「そして火事の日」


---


言葉が止まる。


---


苦しそうだった。


---


「俺は逃げた」


---


静寂。


---


風だけが吹く。


---


「みんなを置いて」


---


ひまりが顔を上げる。


---


悠真は笑った。


---


自分を嫌うような笑顔。


---


「助けられたのに」


---


「怖くなった」


---


「逃げた」


---


拳が震えている。


---


「その結果」


---


「結衣さんが――」


---


そこで言葉が止まった。


---


結衣も息を呑む。


---


言いたくない。


---


でも。


---


言わなければならない。


---


悠真は目を閉じる。


---


そして。


---


「結衣さんが最初の犠牲者だった」


---


静寂。


---


かなめが涙ぐむ。


---


ひまりも俯く。


---


修司は黙ったまま。


---


結衣だけが不思議そうに笑った。


---


「そうなんですね」


---


みんな驚く。


---


結衣は震えていた。


---


怖くないわけがない。


---


それでも。


---


笑った。


---


「だったら」


---


修司を見る。


---


「変えましょう」


---


静かな声。


---


「未来を」


---


その言葉に。


---


ルナが泣きそうになる。


---


未来の結衣は。


---


最後まで誰かを心配していた。


---


今も同じだった。


---


その時。


---


未来の部屋のノートが光る。


---


ページが開く。


---


新しい文章。


---


【最終条件】


---


全員が見る。


---


文字が浮かぶ。


---


【失敗した未来を見ろ】


---


静寂。


---


次の瞬間。


---


部屋全体が光に包まれた。


---


眩しい。


---


何も見えない。


---


そして。


---


目を開ける。


---


そこは。


---


春風マンションだった。


---


だが。


---


壊れていた。


---


壁は焦げている。


---


窓は割れている。


---


静かだった。


---


あまりにも。


---


静かすぎた。


---


「ここ……」


---


かなめが震える。


---


ルナが呟く。


---


「十年後」


---


誰もいない廊下。


---


誰も笑わない食堂。


---


灯りの消えた管理人室。


---


そして。


---


壁に掛けられた一枚の写真。


---


そこには。


---


若くない修司。


---


結衣。


---


かなめ。


---


ひまり。


---


怜司。


---


みんなが写っていた。


---


だが。


---


一人だけ。


---


写真から切り取られている人物がいた。


---


全員が凍る。


---


修司が近づく。


---


写真の裏。


---


そこには。


---


赤い文字。


---


【この人を救え】


---


そして。


---


切り取られた跡の下に残っていた名前。


---


【相沢 蓮】


---


ルナが息を呑む。


---


悠真も青ざめる。


---


「そんなはずない……」


---


蓮。


---


未来で消えた男。


---


火事の日に姿を消した男。


---


その人物こそが。


---


未来を壊した最大の鍵だった。


---


## 次回


### 第十五話


**「消えた住人」**


未来で消えた相沢蓮。


切り取られた写真。


そして――


失敗した未来の春風マンションで、

修司たちは蓮が残した最後の日記を見つける。


その最初の一文は、


**「ごめんなさい。全部、僕が始めました」**。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ