# 第二部 第十三話 迎えに来る男
# 第二部 第十三話 迎えに来る男
翌日。
午後五時三十分。
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春風マンション。
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全員集合。
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理由は一つ。
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午後六時。
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結衣を迎えに来る男。
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かなめは腕を組む。
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「それ絶対おかしいです」
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今日だけで十五回目だった。
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ひまりは竹ぼうきを持っている。
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「武器!」
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「やめろ」
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修司が即座に止める。
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怜司はため息。
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「まあ何とかなるだろ」
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だが。
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声は少し硬かった。
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実際。
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誰も余裕なんてなかった。
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結衣は管理人室にいた。
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ルナ。
るな。
かなめ。
ひまり。
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全員で守っている。
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そして。
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午後五時五十九分。
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静寂。
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誰も喋らない。
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時計の音だけ。
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カチ。
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カチ。
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カチ。
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そして。
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午後六時。
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ピンポーン。
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全員凍る。
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来た。
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修司が玄関へ向かう。
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ドアを開く。
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そこにいたのは――
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知らない女性だった。
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二十歳くらい。
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茶色の髪。
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泣きそうな顔。
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「え?」
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修司が固まる。
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女性は頭を下げた。
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「お願いです」
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「結衣さんを助けてください」
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全員。
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「は?」
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意味がわからない。
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その瞬間。
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ルナが悲鳴を上げた。
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「逃げて!!」
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全員振り返る。
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ルナの顔が真っ青だった。
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「知ってるよ!」
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「この人だ!!」
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静寂。
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女性も驚く。
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ルナは震えていた。
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「未来で最初に傷つく人」
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全員。
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「え?」
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次の瞬間。
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ドォォォン!!
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爆音。
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マンション全体が揺れた。
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悲鳴。
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窓ガラスが震える。
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ひまり。
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「なにぃぃぃ!?」
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かなめ。
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「外です!!」
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全員飛び出す。
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マンション前。
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そこには。
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一台の車。
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突っ込んでいた。
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電柱に激突している。
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煙が上がる。
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そして。
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運転席。
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黒い帽子。
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黒いマスク。
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あの男だった。
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全員凍る。
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男は笑っていた。
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怪我しているのに。
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笑っている。
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異様だった。
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修司が近づく。
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男は顔を上げる。
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そして。
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結衣を見る。
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「やっと見つけた」
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静寂。
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結衣の顔色が変わる。
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男は震える声で言った。
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「ごめん」
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「本当にごめん」
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全員。
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「え?」
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男は泣いていた。
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今までの不気味な男じゃない。
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壊れそうな人間だった。
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「俺のせいなんだ」
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「全部」
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涙が止まらない。
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「未来も」
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「火事も」
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「春風マンションも」
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全員が息を呑む。
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その時。
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女性が叫ぶ。
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「兄さん!!」
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兄?
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全員が見る。
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女性も泣いていた。
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「もうやめて!」
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「何度やり直しても同じじゃない!」
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静寂。
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何度やり直しても?
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ルナが震える。
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そして。
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ゆっくり言った。
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「……タイムリープ」
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全員。
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「は?」
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男は笑った。
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悲しそうに。
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苦しそうに。
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「五回目だ」
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風が吹く。
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男は空を見上げる。
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そして。
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「俺は五回」
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「この十年をやり直してる」
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静寂。
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春風マンション最大の秘密。
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それは未来予知でも。
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幽霊でもなかった。
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誰かが。
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未来を変えようと。
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何度も戦い続けていた物語だった。
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そして男は。
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修司だけを見て言う。
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「管理人」
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「次はお前の番だ」
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その瞬間。
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未来の部屋のノートに。
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新しい文字が浮かび上がる。
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【第三の条件達成】
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【最終章開始】
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春風マンションの運命。
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そして十年後の火事の真相へ。
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物語は最後の章へと進み始めた。




