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# 第二部 第七話 私は一度、このマンションで死んでいます

# 第二部 第七話 私は一度、このマンションで死んでいます


翌朝。


春風マンション食堂。


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誰も元気がなかった。


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理由。


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ルナ。


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未来。


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失敗した未来。


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そして。


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【ルナを見つけろ】


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意味不明すぎた。


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ひまりが机に突っ伏す。


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「もう普通の恋愛話しようよ……」


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かなめも頷く。


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「賛成です」


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俺も賛成だった。


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その時。


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るなが現れる。


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顔色が悪い。


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ほとんど眠れていないのだろう。


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結衣が心配そうに聞く。


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「大丈夫?」


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るなは首を振る。


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「……もう隠せません」


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空気が変わる。


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るなは決意した顔だった。


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「全部話します」


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静寂。


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みんな席に座る。


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神崎も。


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加賀谷も。


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三枝さんも。


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全員揃った。


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るなは深呼吸する。


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そして。


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静かに言った。


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「私は一度」


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「このマンションで死んでいます」


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全員。


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「は?」


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ひまり。


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「朝から最大級来た」


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かなめも固まる。


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結衣も言葉を失う。


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俺は聞いた。


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「どういう意味だ」


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るなは震えていた。


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怖いのだろう。


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でも。


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逃げなかった。


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「私には昔の記憶があります」


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「十年前の記憶です」


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十年前?


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るなの年齢は十七歳。


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計算が合わない。


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るなは続ける。


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「私は別の未来を知っています」


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静寂。


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「春風マンションがなくなった未来です」


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全員が息を呑む。


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「その未来で私はここに住んでいました」


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「そして」


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涙が落ちる。


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「火事で死にました」


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誰も喋れない。


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火事。


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失敗した未来。


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写真。


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全部が繋がり始める。


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るなは俯く。


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「目が覚めたら」


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「私は赤ちゃんに戻っていました」


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ひまり。


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「待って」


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「それ転生?」


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るな。


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「たぶん」


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本人もわからないらしい。


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「でも記憶だけ残っていた」


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「だから私は知ってる」


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るなの声が震える。


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「十年後に何が起きるか」


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静寂。


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そして。


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「誰がいなくなるか」


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空気が凍る。


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俺は立ち上がる。


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「誰なんだ」


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るなは答えない。


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言えない。


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その顔を見ればわかった。


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言いたくないのだ。


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その時だった。


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玄関のドアが開く。


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バタン。


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全員振り向く。


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そこにいたのは。


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ルナだった。


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いつもの笑顔。


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でも。


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今日は笑っていない。


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珍しく真剣な顔。


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ルナはゆっくり言った。


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「るな」


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るなが顔を上げる。


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ルナは優しく笑った。


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「もう一人で抱えなくていいよ」


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るなの涙が溢れる。


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ずっと一人だった。


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未来を知って。


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誰にも言えなくて。


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ずっと怖かった。


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ルナは俺たちを見る。


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そして。


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言った。


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「私の正体を教えるね」


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静寂。


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ルナは胸に手を当てた。


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「私は未来のるな」


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全員。


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「えええええええええ!?」


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大絶叫。


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かなめ椅子から落ちる。


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ひまり机に頭をぶつける。


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怜司フリーズ。


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俺も固まる。


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ルナは苦笑した。


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「正確には違うけど」


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「未来の記憶が形になった存在」


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意味わからない。


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でも。


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春風マンションなので受け入れるしかない。


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ルナは窓の外を見る。


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空は青かった。


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そして。


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静かに告げる。


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「残り九年と八か月」


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「未来はまだ変えられる」


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その時。


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未来の部屋のノートが。


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勝手に開いた。


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新しい文章。


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【第一の条件達成】


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全員。


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「条件?」


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ページがめくれる。


---


そこに現れた次の文字。


---


【次は】


---


【火事を起こす人間を見つけろ】


---


春風マンションに。


---


新たな謎が投げ込まれた。


---


## 次回


### 第八話


**「犯人は住人の中にいる?」**


十年後の火事。


未来で起きる悲劇。


そして――


未来のノートが示した容疑者の名前に、

全員が凍りつく。


その名前は――


**「修司」だった。**


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