# 第二部 第六話 十年後の写真 601号室。
# 第二部 第六話 十年後の写真
601号室。
未来の部屋。
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全員固まっていた。
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写真。
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未来の春風マンション。
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十年後の俺。
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そして。
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隣に立つ天城美咲。
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「なんで!?」
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ひまりが叫ぶ。
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「来たばっかじゃん!!」
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完全同意だった。
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美咲本人も混乱している。
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「わ、私も知らないです!」
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かなめが写真を凝視する。
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「待って」
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「裏に何か書いてある」
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全員が写真を裏返した。
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そこに書かれていた文字。
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【この未来は失敗した未来です】
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静寂。
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全員。
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「は?」
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意味がわからない。
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未来の春風マンションは綺麗だった。
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住人もいる。
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俺もいる。
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なのに。
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失敗?
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その時。
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ページが勝手にめくれた。
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まただ。
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春風マンションではもう慣れてきた。
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慣れたくなかった。
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新しい文字。
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【十年後】
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【春風マンションは残る】
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全員。
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「おお!」
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良かった。
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残るらしい。
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だが。
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次の文章。
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【しかし】
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嫌な予感。
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【大切な人を失う】
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空気が止まる。
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結衣が顔を上げる。
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かなめも。
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美咲も。
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誰も喋らない。
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その時。
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るなのノートと同じ赤い文字が浮かぶ。
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【一人だけ消える】
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ゾワッ。
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背筋が寒くなる。
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ひまり。
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「やめてくれ」
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俺もそう思う。
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その瞬間。
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ガタン。
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未来の部屋の奥で音がした。
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振り向く。
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そこには。
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古い映写機。
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誰も触っていない。
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なのに。
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勝手に動き始めた。
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カタカタカタ……
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壁に映像が映る。
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白黒の映像。
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昔の春風マンションだった。
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若い神崎。
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若い加賀谷。
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若い三枝さん。
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そして。
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藤堂先生。
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全員が映っている。
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だが。
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その中に。
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知らない少女がいた。
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十歳くらい。
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笑顔。
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元気そうな子。
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かなめが首を傾げる。
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「誰?」
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神崎の顔色が変わる。
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加賀谷も凍る。
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三枝さんも言葉を失う。
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俺たちは気づく。
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この反応。
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知っている人だ。
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神崎が震える声で言った。
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「……まさか」
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映像の少女が笑う。
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そして。
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カメラへ向かって手を振る。
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その顔を見た瞬間。
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るなが悲鳴を上げた。
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「ルナ!?」
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全員。
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「え?」
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映像の少女。
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もう一人のルナにそっくりだった。
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いや。
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そっくりじゃない。
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同じ顔だった。
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そして映像は最後に。
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少女の声を残した。
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『未来で待ってるよ』
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ブツッ。
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映像が消える。
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静寂。
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誰も喋れない。
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そして。
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未来の部屋の壁に。
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新しい文字が浮かび上がった。
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【ルナを見つけろ】
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【それが未来を変える最初の一歩だ】
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美咲が呟く。
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「未来って……」
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「何が起きるんですか……?」
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誰にもわからない。
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ただ一つ。
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春風マンションの物語は。
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また大きく動き始めていた。
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## 次回
### 第七話
**「ルナの正体」**
なぜルナは未来を知っているのか。
なぜ昔の映像に映っていたのか。
そして――
るなが隠し続けていた秘密が、
ついに明かされる。
**「私は一度、このマンションで死んでいます」**。




