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# 第二部 第五話 未来から来た住人

# 第二部 第五話 未来から来た住人


三日後。


午後三時五十八分。


---


管理人室。


---


全員集合。


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「本当に来るのかな……」


かなめが時計を見る。


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「未来を知ってる人なんている?」


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ひまり。


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「春風マンションならいる」


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反論できない。


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午後三時五十九分。


---


静寂。


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四時。


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カチッ。


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時計の針が重なる。


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その瞬間。


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ピンポーン。


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全員。


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「来たぁぁぁ!!」


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完全にホラー待機である。


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俺は玄関へ向かった。


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開ける。


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そこにいた。


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赤いスーツケース。


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そして。


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一人の女性。


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二十四、五歳くらい。


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綺麗な人だった。


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だが。


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泣いていた。


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今にも崩れそうな顔。


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「……あの」


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小さな声。


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「まだ」


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「空いていますか?」


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春風マンション。


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全員沈黙。


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ルナの予言通りだった。


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一言も違わない。


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かなめが青ざめる。


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ひまりも固まる。


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結衣も息を呑む。


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俺は言った。


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「はい」


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「空いてます」


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女性はその場で泣き崩れた。


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「よかった……」


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本当に安心した顔だった。


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その姿を見た瞬間。


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誰も追い返そうなんて思えなかった。


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数十分後。


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管理人室。


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女性は温かいお茶を飲んでいた。


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名前は。


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天城美咲。


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二十五歳。


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会社を辞めたばかり。


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家も失った。


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頼れる人もいない。


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まるで。


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昔の結衣。


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昔の怜司。


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昔の神崎たち。


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春風マンションへ来る人間だった。


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その時。


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美咲がスーツケースを開く。


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荷物を出そうとして。


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一通の封筒が落ちた。


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全員の視線が集まる。


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表紙。


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【未来の部屋より】


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静寂。


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俺。


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「……え?」


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かなめ。


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「え?」


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ひまり。


---


「え?」


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結衣。


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「え?」


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本日何回目かわからない。


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美咲も驚いていた。


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「これ……」


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「知らないです」


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「最初から入ってました」


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怖い。


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普通に怖い。


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封筒を開く。


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中には一枚の紙。


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たった一行。


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【修司へ】


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俺だった。


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背筋が凍る。


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誰も喋らない。


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続きを読む。


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【未来の部屋の最後のページを開け】


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それだけ。


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かなめ。


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「完全にフラグ」


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ひまり。


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「春風マンションだもん」


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もう慣れてきた。


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その夜。


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601号室。


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未来の部屋。


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俺たちは集まった。


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例のノート。


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最後のページ。


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以前は名前を書いただけだった。


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しかし。


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今見ると。


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違っていた。


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文字が増えている。


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誰も書いていないのに。


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そこには。


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【ようこそ】


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【第二の物語へ】


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静寂。


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ページが勝手にめくれる。


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そして。


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真っ白だった次のページ。


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そこに。


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一枚の写真が現れた。


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全員固まる。


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その写真には。


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春風マンションが写っていた。


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だが。


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違う。


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新しい。


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綺麗だ。


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未来の春風マンションだった。


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そして。


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入口に立つ管理人。


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その顔を見た瞬間。


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俺は息を止めた。


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「……嘘だろ」


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その人物は。


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俺だった。


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だが。


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今より十年以上年を取っている。


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隣には。


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見覚えのある女性が立っていた。


---


結衣?


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かなめ?


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違う。


---


天城美咲だった。


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全員。


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「ええええええええ!?」


---


未来の写真。


---


未来の管理人。


---


そして。


---


未来の住人。


---


春風マンションの新しい謎が、

静かに動き始めた。


---


## 次回


### 第六話


**「十年後の写真」**


未来は決まっているのか。


それとも変えられるのか。


そして――


写真の裏に書かれていた一文が、

修司たちをさらに混乱させる。


**【この未来は失敗した未来です】**。


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