# 第二部 春風マンションの未来編 ## 第一話 新しい住人
# 第二部 春風マンションの未来編
## 第一話 新しい住人
春風マンション再生計画から三か月後――
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「平和だなぁ……」
俺は管理人室で呟いた。
本当に平和だった。
水漏れなし。
地下探検なし。
幽霊騒動なし。
奇跡である。
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結衣がお茶を持ってくる。
「修司さん」
「ん?」
「その発言、フラグです」
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かなめも頷く。
「絶対何か起きます」
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ひまり。
「春風マンションだし」
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住人からの信頼が酷い。
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その時。
ピンポーン。
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全員停止。
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「来た」
かなめが言う。
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「来たね」
結衣も言う。
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「来たな」
俺も言う。
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嫌な予感しかしない。
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玄関を開ける。
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そこにいたのは。
一人の女の子だった。
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高校生くらい。
小柄。
長い黒髪。
大きなスーツケース。
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そして。
不安そうな顔。
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「……あの」
小さな声。
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「入居募集を見て来ました」
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静寂。
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新しい住人だった。
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ひまりが小声で言う。
「かわいい」
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かなめも頷く。
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結衣は優しく笑った。
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だが。
俺は気になった。
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その子の目。
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どこか。
昔の結衣に似ていた。
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「名前は?」
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少女は少し迷ってから答えた。
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「月野るなです」
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そして。
小さく笑った。
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「帰る場所がなくて」
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その瞬間。
春風マンションのみんなの表情が変わった。
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神崎が言っていた。
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ここは。
人生に迷った人が来る場所。
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白石が言っていた。
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もう一回生き直す場所。
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そして今。
また一人。
新しい住人がやって来た。
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しかし。
誰も知らなかった。
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この少女が。
春風マンション史上最大の騒動を連れてくることを。
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その夜。
るなの部屋の荷物を運んでいた時だった。
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ガタン。
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スーツケースが倒れる。
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中から落ちた一冊のノート。
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表紙。
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【絶対に開けないこと】
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全員。
「…………」
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ひまり。
「開こう」
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「開けるな!!」
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第二部。
開幕だった。




