# 第四十五話 本管破裂
# 第四十五話 本管破裂
「これ、本管です」
黒崎の一言。
その瞬間。
全員の顔色が変わった。
「本管?」
かなめが聞く。
黒崎は真顔だった。
「マンション全体の水道管です」
沈黙。
そして。
ひまりが叫んだ。
「終わったぁぁぁぁ!!」
完全終了宣言。
しかし。
黒崎はすでに動いていた。
「管理人!」
「はい!」
「全住人に連絡!」
「はい!」
「月島さん!」
「はい!」
「もう何も触らないでください!」
「なんで!?」
「あなたが原因だからです!」
正論だった。
月島、
しゅんとなる。
その時。
ゴゴゴ……
変な音が響いた。
全員停止。
「……今の何?」
怜司が聞く。
黒崎が天井を見る。
嫌な顔。
かなり嫌な顔。
そして。
「……水圧です」
「大丈夫なんですよね?」
かなめが恐る恐る聞く。
黒崎は答えない。
代わりに。
天井を指差した。
ピキ。
小さな音。
ピキピキ。
ひびが広がる。
全員。
「逃げろぉぉぉ!!」
ドバァァァァァァ!!
天井が破れた。
大量の水。
滝みたいな勢い。
廊下が一瞬で川になる。
「ぎゃあああああ!!」
ひまり流される。
「助けてぇぇぇ!!」
「なんで本当に流されてるんだ!?」
俺と怜司で救出。
かなめは避難。
結衣は住人誘導。
黒崎は元栓確認。
加賀谷は工具を持ってくる。
春風マンション、
総力戦だった。
その様子を。
怜司のスマホが、
全部配信していた。
コメント欄。
【映画か?】
【面白すぎる】
【管理人頑張れ】
【募金したい】
【本当に救ってくれ】
【住みたい】
最後のコメントは意味不明だった。
その時。
ピコン。
新しい通知。
怜司が見る。
そして。
固まった。
「……え?」
「どうした?」
俺が聞く。
怜司は震える声で言った。
「クラファン……」
「ん?」
「始めたら」
「うん」
「開始五分で十万円入った」
全員停止。
「…………」
ひまり。
「は?」
かなめ。
「え?」
結衣。
「十万?」
黒崎まで固まった。
コメント欄が流れる。
【続けろ】
【春風マンション残せ】
【猫に使え】
【住人に飯食わせろ】
最後だけ正しい。
その時。
三枝さんが泣きそうに笑った。
「……応援してくれる人、
いるのねぇ」
誰も答えなかった。
でも。
みんな少しだけ嬉しそうだった。
そして。
屋上の白石の椅子に、
朝日が差し込む。
誰もいないはずなのに。
ほんの一瞬だけ。
そこに誰かが座って、
笑ったような気がした。
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## 次回
### 第四十六話
**「目標金額一千万円!? 春風マンション、全国デビューする」**
配信が大バズり。
増える視聴者。
現れる謎の大口支援者。
そして――
春風マンションを潰そうとする、
本当の敵が動き出す。




