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第74話 赤い光
柔らかな光が、日和の身体から溢れ出した。
温かく、どこまでも優しい、夜明けのような輝き。
それは風車の丘を覆う薄暗い緑の檻を、内側から強烈に押し返していく。
迫っていた巨大な蔦が、そのまばゆさに恐れをなしたようにピキピキと硬直した。
男の余裕に満ちていた表情が、ここで初めて、揺らいだ。
「……何だ、その出力は」
「――これは、私の力?」
日和の掌から、赤い光が滲んだ。
それは最初、火種のような小さな灯だった。
だが次の瞬間、空間を埋め尽くすほどの紅蓮へと爆ぜる。
赤い光は蔦の領域を塗り潰していくほどの圧倒的な奔流となって溶け合っていく。
そして、一筋の陽光が日和の前に差し込む。
その光が、日和の放つ赤い光に触れた途端
――世界が、静止した。――
日和の足元にぴったりと寄り添う3匹。その中心で、光に包まれた「それ」がゆっくりと姿を現した。
白い衣。
女性の輪郭。
長い髪。
それを見た誰もが、本能で理解してしまった。
――近づいてはいけない、と。
その少女は、あまりにも美しく、そして、圧倒的に怖い。
その存在は、静かに目を開いた。
アウルが呟く。
「アカルヒメ…」
「アウル?」
「ようやくお会いできましたホね」
男の顔から余裕が消える。
「……そんな、馬鹿な」




