第73話 一緒にいたい
操作ミスで昨日は投稿になってなかったので
今日は2話です。
日和の心の奥底が、冷たい何かで凍りついていく。
(怖い……)
クロエが弾き飛ばされた。
アウルも墜ちた。
男の子は再び蔦に囚われている。
目の前にはどうしようもない力の差。
(また私は、何もできないまま)
日和の前に立ち塞がるノアに、無数の蔦が叩きつけられる。
(身体が動かない)
日和は拳を握りしめる。
それなのに、一歩も前へ出られない。恐怖が足に
絡みつき、身体を縫い付けていた。
(私は何もできない)
ダァァァァーン
ついにノアが段々小さくなる。
ノアの向こうから、巨大な蔦が牙を剥いた。
(何とかしなきゃ‥‥でも‥‥どうせ‥‥)
その瞬間だった。
「日和!」
聞き慣れた声が響く。
蔦の濁流へ、黒い影が飛び込んだ。
ガギィッ!
鋭い爪が蔦を切り裂く。
「クロエ!」
地面に転がっていたはずのクロエが、再び日和の前に立っていた。
「本当に学ばない主だにゃ」
息は荒い。毛並みも乱れている。
それでもクロエは不敵に牙を剥いた。
上空では、アウルが大きく翼を広げる。
「私達は何のためにここにいるのですか」
そして。
小さくなりつつある身体を精一杯広げたノアが叫ぶ。
「また一人で抱え込んでるクマ!」
「ノア……」
「オレ達がいるクマ!!」
日和は息を呑んだ。
クロエがいる。
ノアがいる。
アウルがいる。
ボロボロになりながらも、誰一人として彼女のそばから離れようとはしない。
「みんな…いる?」
クロエが不敵に鼻を鳴らした。
「今さら気付いたのかにゃ」
日和の目に、じわりと涙が滲む。
「……ごめん」
「却下だにゃ」
即答だった。
「日和は1人ではないホーよ」
アウルが空で羽ばたいている。
日和は、そっと震える手を伸ばした。
「……みんな」
ぽろりと涙が落ちる。
ノアが耳をぴくりと動かし、振り返る。
「日和」
ノアは短い手を伸ばし、日和の指先をぎゅっと握りしめた。
「いるクマ」
「うん」
「ボクは、ずっとここにいるクマ」
日和の胸の奥で、頑なだった何かが、
すっ とほどけていった。
日和は泣きそうな顔のまま、それでも確かに笑った。
クロエが不敵に鼻を鳴らした。
「やっと前を見たにゃ」
上空では、アウルが大きく翼を広げて風を起こす。
「それでこそ、私達の日和です」
日和は笑って、ゆっくりと、深く息を吸い込んだ。
そして、愛おしそうに三匹を見つめる。
ノア。クロエ。アウル。
私の、大切な仲間たち。
「――私も何かしたい」
ズズズッ、と巨大な蔦が迫る。
勝ちを確信したように男がこちらを見ている。
それでも、日和はもう目を逸らさなかった。
「――一緒にいたいから」
次の瞬間、日和の身体から、圧倒的な光が溢れ出した。




