第72話 終わりなき再生
一方、風車の丘の麓――。
「どけよッ!! 面倒くせぇなァ!」
蓮の怒号と同時に、青白い雷が轟音を上げて蔦の壁へと炸裂した。
バリバリと火花が散り、焦げた蔦が千切れ飛ぶ。
だがーー
次の瞬間には、焦げた断面から新たなツルが生き物のように這い出し、一瞬で元の分厚い壁へと修復されていく。
「チッ、キリがねぇ!」
「下がれ、蓮」
紫苑が前に出ると同時に、周囲の空気が一気に氷点下へと叩き落とされた。
「『凍てつけ』」
蔦の壁がパキパキと音を立てて真っ白に凍りつく。しかし、内側から凄まじい生長圧が加わり、数秒もしないうちに氷の壁は粉々に粉砕され、さらに巨大化した緑の触手が牙を剥いた。
「私の空間干渉でも、座標の切断速度より植物の再生速度が上回っています……!」
師乃が額に汗を浮かべ、モニターを叩きつけながら悔しげに声を上げる。
ズバァッ!!
その混沌を切り裂くように、カイの刀が目にも留まらぬ速さで一閃した。
密集していた蔦が綺麗に十数本両断され、一瞬だけ、奥へと続くわずかな隙間が顔を覗かせる。
「カイさん!」
ソラが叫ぶが、カイの表情は険しいままだった。
「ダメだ、追いつかねぇ……!」
カイの言葉通り、斬り開いた先から、信じられない速度で新しい根がドロドロと噴き出し、すぐに視界を塞いでしまう。
効果があるのはカイの斬撃くらいだが、その圧倒的な再生力の前には、文字通り刃が立たなかった。
「クソッ……どうしたらいいんだ……!」
ソラは、目の前の強固な緑の壁を睨みつけながら、激しく拳を握りしめた。
すぐ向こうに、日和さんがいる。小さな子どもを守るために、一人で中に飛び込んでいった。
それなのに、自分たちの誰も、その壁一枚すらぶち破ることができない。
(何か、こいつらを止める方法は……!考えろ!何かあるはずだ!)




