表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Boundary  作者: 楓シロ
60/74

第60話 コアの死守

 能力者たちが次々と力を封じられる中――


 ただ一人、前線で動き続けている男がいた。

 カイだった。


 旧AIコアの干渉など、彼の踏み込みを止める理由にはならなかった。


「関係ない。俺の身体は、俺のものだ」

 カイが閃光となって幹部へと肉薄する。


「防げ!」

幹部の護衛が二人、前に飛び出してきた。


 カイの刀が滑らかな半月を描く。肉体の重みをすべて乗せた一撃が一人を強烈に吹き飛ばし、その回転の勢いのまま、横から迫ったもう一人の装甲を深く切り裂いた。


 残された最後の一人が、カイの圧倒的な気迫に気圧され、たまらず後退する。

 幹部の目の前まで、あと一歩。

「これで終わりだ――!」

 カイが渾身の力で床を蹴り、踏み込んだ。

敵は後退りをする。


 その刹那。

「……浅はかだな、能力者」

 幹部が旧AIコアを天に向けて、限界まで出力を開放した。


 ドォォォォンッッッ!!!


 それは炎や魔力の爆発ではなかった。空間そのものを激しく歪ませる、高電磁波の爆発だった。


 視界が白光に染まり、強烈な衝撃波が倉庫全体を吹き飛ばす。


「カイさん……っ!!」

 ソラの絶叫が響く中、カイの頑強な肉体が弾き飛ばされ、背後のコンクリートの壁へと激しく叩きつけられた。


 カラン、と高い音を立てて、愛刀が手から離れ、床へと転がっていく。


「く、つ……!」


 カイは壁に手をつき、必死に立ち上がろうとした。

 幹部はそれを見下ろしながら、冷酷に出口へと歩を進めた。


「目的のコアは回収した。引き上げるぞ」

「待て……っ!」


 カイは追いかけようとするが幹部たちは倉庫の外へと脱出し、待ち構えていた飛行型の無人機群に守られながら、夜空へと急速に浮上していく。


 遠ざかっていく小さな光。

やがて、それらは暗雲の向こうへと完全に消え去り、見えなくなった。


 カイは無言で刀を拾い上げた。


すでに追撃は間に合わない。

それだけを確認すると、静かに刀を握り直した。


 無人機が一斉にその動きを止めたのは、それからすぐのことだった。


 幹部が旧AIコアを遠方へと持ち去ったことで、現場の制御信号が完全に切断されたのだ。ガラガラと音を立てて、何十体もの鉄屑が床へと崩れ落ちていく。


 機構に、あまりにも遅すぎる静寂が戻ってきた。


 しかしーーー代償は大きすぎた。


 中央制御室は半壊。

 防衛システムの半分以上が機能停止。

 東棟は無残に崩落し、そして――


 旧AIコアが一個、完全に敵の手へと奪われた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ