第57話 制御室手前
制御室の手前では、絶え間ない爆発音が鳴り響き、破壊された外壁から黒煙が激しく吹き荒れていた。
その最前線で、第三部隊のモモと凪が背中を預け合い、凄まじい連動で動いていた。
迫り来る無人機の増援を視界に捉え、凪が叫ぶ。
「隊長、北側を!」
「任せなさい!」
凪が瞬時に風を走らせた。
猛烈な気圧の障壁が廊下を吹き抜け、押し寄せていた無人機の群れが紙屑のように風に押され、北側の強固な隔壁へと次々に叩きつけられて圧壊していく。
「隊長、向こうからも来ます!」
「見てる!」
間髪入れずに死角から飛び出してきた大型無人機に対し、モモが鋭い視線と共に重力操作を展開した。
「……浮きなさい!」
超重力の檻に捕らえられ、数トンの巨体がふわりと宙に浮く。モモがすかさず声を張った。
「凪!!」
「はいなっ!」
息を合わせる合図すら不要だった。凪の放った高圧の烈風が、無防備に浮いた大型機を真横から容赦なく叩く。
ドガァン! と凄まじい音を立てて無人機が壁面へと激突し、火花を散らして完全に沈黙した。
「ふぅ……! ナイスっす隊長! 失恋した後めちゃくちゃ強いっすね!」
「――黙りなさい!!」
顔を真っ赤になって怒鳴るモモに、凪は風を纏いながらケラケラと笑う。
「いーじゃないですか! 後でまた、たっぷりと振られた話を聞いてあげますからねー!」
「今そんなところじゃないでしょ! 後、後!!」
「あはは、約束っすよ!」
凪は弾けるような笑顔を残し、再び軽快に風を走らせて、煙の奥へとかけていった。
ーーその直後だった。
中央制御室の方向から、建物全体を内側から爆破するような、凄まじい大爆発の衝撃が突き抜けた。
凄まじい地響きと共に、東棟と制御室を繋ぐ頑強な回廊が、一瞬にして爆炎の中に崩落していった。
凪が、ちょうど駆け抜けていった、その場所が。
「――凪っっっ!!!!!」
ゴォォォ、と炎が全てを飲み込んでいく。
モモの、喉を掻き切るような悲鳴に似た絶叫が、無情な爆音の中に虚しく響き渡った。




