表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Boundary  作者: 楓シロ
43/74

第43話 ソラの能力

 重厚な会議室のドアを開けると、すでに円卓には醍醐、久世、九条、モモ、そして賢者様が席に着いていた。

後ろの方にソラが待機していた。

 遅れて入ってきた伊那瀬が、悠然と腰を下ろす。


 中央本部長の醍醐が重々しく口を開いた。

「昨日の通天閣周辺における事件の報告、および今後の対応について話し合う。まず師乃、収集したデータの分析結果を報告しろ」

「はい」

 師乃が起立し、中央の大型モニターに複雑な解析資料を映し出した。


「今回の模造コアによるテロについて、特筆すべき点が二点あります」

 師乃が画面を切り替える。


「一点目。通天閣の最地下区画から、廃棄されたはずの『旧AIコア』の残骸が発見されました。今回の敵の模造コアは、ここから抽出・製造されたと考えられます。これで、使用済みを含めて計4個の旧AIコアの所在が確認されました。」


 会議室に緊張が走る。師乃はさらに画面をスクロールした。


「そして二点目。ソラ隊員の『固有能力』について、今回の事件で極めて重要な新事実が判明しました」


 全員の視線が、一斉にソラへと集まる。

 ソラは緊張で、思わず小さく背筋を伸ばした。

「以前の事件では、能力を使うと、激しい反動が発生してました。しかし今回は、協力して発動した結果、その反動が大幅に軽減されたのです」


 師乃が透過モニターの波形データを示す。

「数値を比較分析したところ、ソラさん単独発動時の身体負荷を100とした場合、今回の実数値は30前後にまで低下しています」

「三分の一以下か」

九条が低く呟いた。

「え……? なんで、そんなに違うんですか?」

ソラが思わず身を乗り出した。

「今回は単独発動ではなかったからです」

師乃が新たな波形を表示する。

「簡単に言えば、今までは一人で抱えていた反動を、複数の流れに逃がせたということです」

「……だからそんなに痛くなかったのか」

「はい」

カイが横からこちらを見て

「1人で抱えるなってことだ」

「そういうことです」


 ソラは机の下で、包帯の巻かれた右手を見つめた。

 痛みはあった。けれど、あの命を削られるような重さは、どこにもなかった。

 ――一人じゃ、なかったからだ。


「それともう一つ」

師乃が眼鏡のブリッジを押し上げる。

「敵の模造コアは、人間の抑圧された感情を負の方向へ増幅させます。怒りをさらなる怒りに、諦めを絶対的な無気力に…」


 師乃がソラをみながら

「しかし、ソラさんの能力はその逆です」


「逆とは?」

 醍醐が問いかける。


「つまりソラさんの能力は、侵食された感情そのものに干渉していた可能性があります」


「だから模造コアを無効化できた?」

「そうです。そしてこの能力は、自分の感情をごまかしていない人間には、侵食も、正気化も効きにくい傾向があります」


「だからカイにはきかないわけね」

第一部隊のモモが、おもしろそうに口笛を吹く。  


 カイは何も言わず、つまらなそうにそっぽを向いた。


「へえ、面白い能力じゃない。まさに『信じる力』そのものってわけね」


「厄介な能力だ、と言わざるを得ないな」

 久世が不機嫌そうに腕を組み、冷ややかな声をあげた。

「だから俺は危険だと言っている」

「今回は、完璧に制御できていた」

カイが短く遮る。

「今回は、たまたまだろう!次失敗したらどうするつもりだ!」

「じゃあ、次も1人で抱えさせなければいい。それだけの話だ」

 カイの断固とした態度に、久世は不快そうに少し目を細めた。

「それこそ、保証がないだろう!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ