第119話 地下三層廊下
ドローンの第一波を突破し、地下三層へと到達した時、通路の両脇に並んでいた鋼鉄製の機械たちが、一斉に駆動音を立てて動き始めた。
先ほどのドローンとは、明らかに頑強さが違っていた。
大型で、重装甲。何より、その動きの速さは生物の限界を超えている。
「チッ、こっちは本格的な軍用モデルかよ!」
蓮が防戦一方になりながら叫ぶ。
紫苑がその隙に踏み込み、氷の刃で一体の腕を叩き落とした。だが、機械兵は痛覚を持たず、火花を散らしながら、残された左腕で正確に紫苑の胸元を狙って拳を突き出してくる。
「しぶとい……! 動きが止まらねえ!」
「この階層の機械は、マザーのメインフレームと直結してるんだと思います!」
ソラが叫んだ。
「咲洲の時とは違う、マザーの本体から直接、電力を供給されてる……だから、出力が落ちないんだ!」
「なるほどな。じゃあ、一体ずつ確実にブチ壊すしかねえか!」
紫苑が奥歯を噛み締めた、その時だった。
「ここは、我々が食い止めます」
九条が静かに前に出た。
隣には、第二部隊の隊員たち。
「九条さん!?」
ソラが振り返る。
「先に行きなさい。私たちは、あなたたちが進む経路と、戻るための退路を確保しておきます」
「あたしもここに残るわ」
モモが、フッと不敵な笑みを浮かべて九条の隣に並んだ。
「ソラ、蓮、紫苑、日和。……あなたたちは、賢者様を連れて先に行きなさい」
「モモさん……っ」
「重力は足止め向きなの。こういう時くらい、あたしを使いなさい」
モモは、もうここにはいない親友の名前を呟くと眼前の巨大な機械兵に向かって、最大出力の重力場を爆発させた。
「行くぞ、ソラ! モモさんたちが止めてる間に先へ行く!」
紫苑に背中を押され、ソラは唇を噛み締めながら、再び走り出した。




