↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Boundary  作者: 楓シロ
101/140

第101話 闇の奥

 ソラは戦場全体を必死に見渡していた。

誰が限界に近いか、集中力は保てているか。


 蓮のプラズマの光が、先ほどに比べて明らかに細くなっている。

 連続行使で消耗しているようだ。


(蓮くんなら、まだいける!)


 ソラが蓮の精神の深部へ、わずかな後押しをする。

 次の瞬間、蓮の身体から立ち上る青白い火花が、目に見えてその輝きと出力を取り戻した。


「おっ、ソラの援助か!」

蓮がニカッと笑う。

「助かる、一気に軽くなった!」


「みんなの力を、少しだけ支えているだけです!」

「それが一番ありがてぇんだよ!」


 さらにソラは、紫苑の展開する氷の防壁が、敵の猛攻によって弱くなり、崩れかけているのを見逃さなかった。


(紫苑さん……!)


 次の瞬間。

紫苑の操る氷が一気に膨れ上がった。


 轟音と共に氷壁が広がり、迫っていた幹部と機械たちをまとめて飲み込む。

 幹部と機械たちはその場で完全に凍りついた。


 激戦が始まってから、すでに十分以上が経過していた。

 足元を埋め尽くす鉄屑の山。

 旧AIコアに操られていた機械の数は、皆の奮闘によって確実に減り始めていた。


 最前線では、カイが一切の無駄のない動きで刀を振り続けていた。

 彼が刃を閃かせるたびに、機械の急所を的確に切断していく。


 圧倒的だった。けれど、この終わりの見えない物量戦だ。カイの呼吸もまた、僅かに浅くなり始めていた。


 その時だった。


 ザッ、とカイが一瞬だけ、本当に一瞬だけ、その完璧な刀撃の手を止めた。

 

 何かを探るようにーー

 あるいは何かに気づいたように

 その視線が、暗い地下の奥へ向いた。


 誰も、その異変には気づかなかった。

 蓮も、紫苑も、ソラも、目の前の機械の残党を処理することに全神経を集中させていたからだ。


 誰かが、そこに立っていた。


 黒いマントーーだが、これまでに遭遇したどの「黒マントの能力者」とも、違っていた。


 その体格。立ち姿。

 そして、戦場の混乱をただ冷然と見下ろす、その独特の動き方。


 カイの瞳が、わずかに細められた。

 頭の中で散らばっていた情報と、過去の記憶の断片が、最悪の形でカチリと繋がった。


「……師乃」


 カイは、隣で操作を続ける師乃にだけ聞こえるような、極めて低い小声で呟いた。

「はい」

師乃が視線をモニターに置いたまま応じる。


「お前はここを維持しろ」


「どこへ」

 師乃の指が、一瞬だけ止まる。


「すぐ戻る」


「カイさん」


「問題ない」


 それだけ言い残すと、カイの身体が弾かれたように動いた。


 彼は襲いかかる機械の隙間を風のように縫い、皆が戦っている中心部を離れ、一直線に通路の奥の闇へと向かって疾走していった。


 誰も気づかない。


 爆鳴と怒号が飛び交う激しい戦闘の混乱の中で、隊長であるカイだけが、静かに、その人物の後を追い始めた。


 気づいたら前回で100話でした。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

これからも最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。