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2

 現在―


 微弱(びじゃく)な音波で、建物が揺れていた。


 ガクは、短剣を構え、建物に入る。なかには黒い影。黒いフードを被り、黒い装具を構えた人物。その周囲には、数人の騎士。


「ソーニャ……他の皆も無事だったんですね」


 ガクは、息を吐き、短剣を仕舞う。


 騎士たちは武装を解き、ガクの肩を叩く。


 ソーニャも、ガクを見て、表情を緩(ゆる)ませる。


「ごうりゅうできて、よかった」


 ソーニャは、大きく息を吐き、その場に座り込んだ。騎士団長(ゲオルク)と共に、ここに来て、《激流》の攻撃を受け、バラバラになっていた。


「はぐれた時の合図を決めててよかった……」


 ソーニャが小さく微笑み、


「とんだ復帰戦になっちゃったね」


 ガクが言うと、ソーニャは、照れくさそうにうなずく。異能殺し(ザ・キラー)との戦いから数か月。傷を治し、戦線に復帰するまで、時間が掛かってしまった。


「ちゆき、たべものをさがしにいった。もうすぐかえってくる」


 ガクは、チユキの名を聞き、大きく息を吐く。


 ―無理しちゃって、チユキめ


「みんなと、はやく、ごうりゅうしよう」


「そうだね」


 ガクは、周囲を見渡し、


「ここは、変な臭いがする……誰もかれもが、殺意を抱いている。異常だよ」


 ガクは、予備品の剣を受け取り、また歩き出す。


 ―とりあえず、離脱だ


 ガクは、元いた方向に戻る。建物から出て、周囲を見る。


 数メートル先に、白い影。


 白いマントをはためかせ、長身の人物が立っていた。髪をオールバックにした中年の男で、その姿は正に騎士と言える。


「フェルグス!」


 ガクは、騎士団長の名を呼ぶ。フェルグス・ゼーフェリンク。北部同盟内で、最も権威のある騎士。ガクの恩人。


 フェルグスは、ハッとし、持っていた、何かを捨てる。ごろり、と転がったのは、人の首。


「え……」


 ぼうぜんとするガクの目に移ったのは、フェルグスの顔。黒い顔料で塗りつぶされ、目だけが白くぎょろぎょろと動いている―正気とは思えなかった。

 読んで頂きありがとうございます。

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